Cafemirage

Cafe Mirage--岐阜発 映画・エンタメ情報サイト

カテゴリリンク

IMG_20180205_115556

EntaMirage! Movie

中川運河の魅力を伝える短編集(『Filmusic in 中川運河・秋』)

2018/04/07

名古屋都市センター【中川運河助成ARToC10】の助成事業として製作されている短編映画集『Filmusic in 中川運河』
今年は秋と音楽をテーマに製作された
FilmusicとはFILM(映画)とMUSIC(音楽)をかけあわせた造語だ

今回の作品は
『ダイナマイト・ソウル・バンビ』(監督・脚本 松本卓也)
『中川運河サンダーボルト』(監督・脚本 北岡真紀子)
『マンドリンの女』(監督・脚本 白石和彌)

の三本。去年の夏に名古屋でオーディションが行われそのオーディション通過者が映画に参加している

完成披露上映会が中川区のリンナイ旧研修センターで行われたので一足早く鑑賞した

 

『ダイナマイト・ソウル・バンビ』(40分)

決まった条件の中で作品を撮るということに関して名人級だと思っている松本卓也監督の新作は中川にあるリンナイをメイン撮影場所にした作品

今回はインディペンデント映画出身の監督が商業映画デビューする作品をメイキング監督の視点から描いていく

インディペンデント映画と商業映画の間での様々な違いが浮き彫りになる。
個人的にはどちらも区別をつけたくないのだが、よくその違いが捉えられていて、「ああ、そうなんだよねえ…」とどっちの現場も見ている自分には納得

上映場所のリンナイ旧研修センターやその回りの敷地も使って撮影されたため、帰りには「あ、ここあのシーンで使われた場所だ」と思いながら歩いて帰ってきた

撮影スタイルは合宿撮影。延べ17日間の撮影でリンナイ旧研修センターにスタッフキャスト総勢25名が泊まり込んで撮影を行った

結構人間関係的にもエグい所はあるが結局最後は泣けるエンディングを持ってくるのはさすがだなと思う

ぐるぐる巻きの包帯の男が出てきてシネマ健康会のロゴを思い出したのは私だけだろうか

今回は中川バージョンとして約40分の短編だが長い撮影期間で撮られた作品を繋いだディレクターズカットバージョンとして120分越えの長編も計画しているそうだ。
詳しくはシネマ健康会のサイトへ http://www.cineken.com

上映には沢山の関係者が集まった

上映には沢山の関係者が集まった

 

『マンドリンの女』

ブルーリボン賞監督賞に輝いた白石監督が作った作品
オーディションの際にどこがロケ場所にいいと思うかと尋ねられたが名古屋在住でない私は答えられなかった。あの時、もう監督の中に話があったのか、それともロケハンして出来上がったのかそれはまた聞いてみたいところ

主人公は小学生の少年だ。少年の目から見た大人が描かれるがこれは舞台挨拶で子役の子が言った通り『子供が見る映画』ではない。子供の目を通した大人が見る映画

全編モノクロ。そこに現れるマンドリンを持った女
白石監督の『牝猫たち』で好演した井端珠里が独特な存在感を残す

そして映画だからできることを監督は色々やってくれている。(見てのお楽しみ。)
しかも、遊び心も忘れない
若松組出身の監督の若松愛が溢れている

シネマスコーレの坪井副支配人が出演しているが実は木全支配人も出演しているので支配人を知っている方は探してみてほしい

撮影はわずか2日。あの時は台風が来ていた
「とても寒い中の撮影だった」そうだが、雨がモノクロの味わいを一層感じさせてくれる。中川運河周辺の建物の質感が晴れた日とはまた違う顔になっていた

 

『中川サンダーボルト』

「他の監督の作品には負けてないと思います」
と北岡真紀子監督が舞台挨拶で話していた
NHK文化センターの映画講座のメンバーで製作されたこの作品、私は好きだ

河童が祀られている中川区の鹽竈神社の境内社である無三殿神社やささしまライブに移転してきたばかりの中京テレビ放送の全面バックアップで撮影された
河童が日本の結界を守っているという設定で河童や天狗、雷神が登場する

精霊が擬人化されて出てくる話が普通に受け入れられるのは日本だからであり、日本だからこそ生まれたストーリーだと思う

ちょっと不思議な世界と仕事でいまいち気が利かないテレビディレクターが出会って繰り広げられる話は分かりやすく純粋に楽しめた
雷神が演奏している場所は今池のTOKUZO。河童の衣装はどうやって作ったのかすごく聞いてみたかった

ショートフィルムは分かりやすさが第一という点では三作品の中で一番分かりやすいと感じた

中川運河をテーマに全く違うカラーの三作が楽しめる
短編作品の面白さを感じてほしい

取材&舞台挨拶レポート(4月7日 シネマスコーレ)

シネマスコーレでの公開初日舞台挨拶が行われた。
挨拶前に『中川サンダーボルト』の北岡監督に話を伺うことができた。

Q.すごく聞きたかったんですがあの河童の造形すごいですよね。
北岡監督
「あれは天狗役で出演しているひと:みちゃんのお知り合いの造形作家の方からお借りしたものなんです。実ははじめは自分達で作ろうとしていたんですがいまいちでひとみちゃんが紹介してくださったんです」
ひと:みさんの天狗役は実はあて書きだったと舞台挨拶で北岡監督は話していた。

Q.脚本はお一人で書かれたんですか?
北岡監督
「エンドロールにはありますが3人で書いています。書いては意見を言い合って、映画講座の先生である木全さんにもアドバイスを受けて作っていきました」

Q.神社がすごく素敵でした。元々あの神社のことは知っていたんですか?
北岡監督
「中川のことを全然知らなくて、シナハンすることで色々知ったんですがその中でもあの神社はディープな場所だと思います。あの神社があって今回の話はできました」

舞台挨拶では出演者のナカムラルビイさんやひと:みちゃんの撮影裏話が披露されていた。

『中川サンダーボルト』北岡監督と出演者の皆さん

『中川サンダーボルト』北岡監督と出演者の皆さん

『マンドリンの女』の舞台挨拶は子役も登壇した。
白石監督
「僕は実は小学校1、2年の時まで名古屋に住んでいてそこから北海道に行ったんです。この作品では主人公の親が離婚して母親の実家の北海道に行くことになります。これは僕の本当の話で今回は初めて自伝的な話になりました。今日観させていただいた他の作品は1、2週間使って撮影されていますが、僕の都合でこの作品は2日で撮影しました。しかも台風が来ていてとても寒かったんです。」

わずか2日間という中での撮影は役者たちにとっても非常に適応能力の必要な現場になったという。

『マンドリンの女』白石監督と出演者の皆さん

『マンドリンの女』白石監督と出演者の皆さん

これが白石監督の自伝と考えれば、なぜこの映画にシネマスコーレが出てきたのかが初めて見た時よりも一層意味を持つ。
そんなシネマスコーレから主人公の少年に映画を観ていかないかと声をかけるのはシネマスコーレの副支配人坪井さんだ。
坪井さん
「僕はこの映画の箸休めだと思っていただければいいんです。朝早くからここで撮影したんですけど、芝居している僕を見て、みんながなんか笑うんですよ(笑)僕が親しくさせていただいている白石監督には白石和彌さんともう一人白石晃士監督がいて、セリフにアドリブで最後に『白石晃士監督の作品もあるよ。』って言ってって白石晃士監督から言われて。でもそれはさすがにまずいかなと思って言わなかったんですけど、後から和彌監督に言ったら『言ってもらいたかったですね。』って言われて(笑)」

このシネマスコーレを作った若松孝二監督の下で助監督をしていた白石監督の若松リスペクトがわかる人にはわかる仕組みになっている。
そしてさらに10月には若松孝二監督の若かりし頃を描いた『止められるか、俺たちを』が公開される。若松プロダクション再始動第1弾となる。

白石監督
「10月の公開の頃にキャストと一緒に戻ってきたいと思っていますのでよろしくお願いします」

 

『Filmusic in 中川運河・秋』は4月7日(土)~27日(金)まで
名古屋・シネマスコーレで上映される
『ダイナマイト・ソウル・バンビ』の松本監督の舞台挨拶は後日を予定している
詳しくはシネマスコーレのブログでの発表をチェックしてほしい
https://ameblo.jp/rengousekigun/entry-12364984701.html

-EntaMirage!, Movie

おすすめの記事はこれ!

houtei1 1
映画『親のお金は誰のもの 法定相続人』三重先行上映舞台挨拶レポート

映画『親のお金は誰のもの 法定相続人』の三重先行上映、舞台挨拶が9月22日三重県 ...

Screenshot_20230922_200759_Drive 2
映画『私はどこから来たのか、何者なのか、どこへ行くのか、そしてあなたは…』名古屋凱旋上映決定!

映画『私はどこから来たのか、何者なのか、どこへ行くのか、そしてあなたは…』が ...

20230902_141200 3
ロイヤル劇場存続をかけてクラウドファンディング開始! 【ロイヤル劇場】思いやるプロジェクト~ロイヤル、オモイヤル~

岐阜市・柳ケ瀬商店街にあるロイヤル劇場は35ミリフィルム専門映画館として常設上映 ...

hamon12 4
第76回 CINEX映画塾 映画『波紋』 筒井真理子さんトークレポート

第76回CINEX映画塾『波紋』が7月22日に岐阜CINEXで開催された。上映後 ...

seiyou1 5
岐阜CINEX 第17回アートサロン『わたしたちの国立西洋美術館 奇跡のコレクションの舞台裏』トークレポート

岐阜CINEX 第17回アートサロン『わたしたちの国立西洋美術館 奇跡のコレクシ ...

doll5 6
女性監督4人が撮る女性をとりまく今『人形たち~Dear Dolls』×短編『Bird Woman』シアターカフェで上映

名古屋清水口のシアターカフェで9月23日(土)~29日(金)に長編オムニバス映画 ...

sister 7
映画『私の大嫌いな弟へ ブラザー&シスター』公開記念 アルノー・デプレシャン監督舞台挨拶付き上映 伏見ミリオン座で開催決定!

世界の映画ファンを熱狂させる名匠アルノー・デプレシャンが新作『私の大嫌いな弟へ  ...

bakanuri1 8
自分の生きる道を探して(映画『バカ塗りの娘』)

「バカ塗りの娘」というタイトルはインパクトがある。気になってバカ塗りの意味を調べ ...

bishu1 9
「シントウカイシネマ聖地化計画」始動!第一弾「BISHU〜世界でいちばん優しい服〜」(仮)愛知県⼀宮市にて撮影決定‼

株式会社フォワードがプロデュースし、東海地方を舞台にした全国公開映画を毎年1本ず ...

erithabeth1 10
エリザベート40歳。これからどう生きる?(映画『エリザベート1878』)

クレオパトラ、楊貴妃と並んで世界の三大美女として名高いエリザベート皇妃。 彼女の ...

mitoyamane4 11
ポップな映像と音楽の中に見る現代の人の心の闇(映画『#ミトヤマネ』)

ネット社会ならではの職業「インフルエンサー」を生業にする女性を主人公に、ネット社 ...

高野豆腐店の春_場面写真 12
豆腐店を営む父娘にやってきた新たな出会い(映画『高野豆腐店の春』)

尾道で小さな豆腐店を営む父と娘を描いた映画『高野(たかの)豆腐店の春』が8月18 ...

pabjyo5 13
映画『フィリピンパブ嬢の社会学』11/10(金)より名古屋先行公開が決定!海外展開に向けたクラウドファンディングもスタート!

映画『フィリピンパブ嬢の社会学』が 11月10日(金)より、ミッドランドスクエア ...

Yokosuka10 14
『Yokosuka1953』名演小劇場上映会イベントレポート

ドキュメンタリー映画『Yokosuka1953』の上映会が7月29日(土)、30 ...

Yokosuka1 15
海外から届いたメッセージ。66年前の日本をたどる『Yokosuka1953』名古屋上映会開催!

同じ苗字だからといって親戚だとは限らないのは世界中どこでも一緒だ。 「木川洋子を ...

youko4 16
彼女を外に連れ出したい。そう思いました(映画『658km、陽子の旅』 熊切和嘉監督インタビュー)

42才、東京で一人暮らし。青森県出身の陽子はいとこから24年も関係を断絶していた ...

egoist_5 17
第75回CINEX映画塾 『エゴイスト』松永大司監督が登場。7月29日からリバイバル上映決定!

第75回CINEX映画塾 映画『エゴイスト』が開催された。ゲストには松永大司監督 ...

komuragaeri14 18
映画を撮りたい。夢を追う二人を通して伝えたいのは(映画『愛のこむらがえり』髙橋正弥監督、吉橋航也さんインタビュー)

7月15日ミッドランドスクエアシネマにて映画『愛のこむらがえり』の公開記念舞台挨 ...

PSX_20230713_212926 19
あいち国際女性映画祭2023 開催決定!今年は37作品上映

あいち国際女性映画祭2023の記者発表が7月12日ウィルあいちで行われ、映画祭の ...

komuragaeri5 20
映画『愛のこむらがえり』名古屋舞台挨拶レポート 磯山さやかさん、吉橋航也さん、髙橋正弥監督登壇!

7月15日ミッドランドスクエアシネマにて映画『愛のこむらがえり』の公開記念舞台挨 ...

tooi3 21
彼女たちを知ってほしい。その思いを脚本に込めて(映画『遠いところ』名古屋舞台挨拶レポート)

映画『遠いところ』の公開記念舞台挨拶が7月8日伏見ミリオン座で開催された。 あら ...

MKE10-3 22
観てくれたっていいじゃない! 第10回MKE映画祭レポート

第10回MKE映画祭が7月8日岐阜県図書館多目的ホールで開催された。 今回は13 ...

1minutes_5 23
京都はファンタジーが受け入れられる場所(映画『1秒先の彼』山下敦弘監督インタビュー)

台湾発の大ヒット映画『1秒先の彼女』が日本の京都でリメイク。しかも男女の設定が反 ...

received_259295013361207 24
映画『老ナルキソス』シネマテーク舞台挨拶レポート

映画『老ナルキソス』の公開記念舞台挨拶が名古屋今池のシネマテークで行われた。 あ ...

PSX_20230429_093447 25
「ジキル&ハイド」。観た後しばらく世界から抜けられない虜になるミュージカル

ミュージカルソングという世界を知り、大好きになった「ジキル&ハイド」とい ...

math 26
『オールド・ボーイ』のチェ・ミンシク久しぶりの映画はワケあり数学者役(映画『不思議の国の数学者』)

映画館でポスターを観て気になった2本の韓国映画。『不思議の国の数学者』と『高速道 ...

nortoredame 27
全編IMAX®️認証デジタルカメラで撮影。再現率98% あの火災の裏側(映画『ノートルダム 炎の大聖堂』)

2019年4月15日、ノートルダム大聖堂で、大規模火災が発生した。世界を駆け巡っ ...

baby14 28
松岡ひとみのシネマコレクション  映画『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』 阪元裕吾監督トークレポート

松岡ひとみのシネマコレクション 映画『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』が4月1 ...

sidebyside1 29
映画『サイド バイ サイド』坂口健太郎さん、伊藤ちひろ監督登壇 舞台挨拶付先行上映レポート 

映画『サイド バイ サイド』舞台挨拶付先行上映が4月1日名古屋ミッドランドスクエ ...

zakodomo1 30
第72回CINEX映画塾 映画『雑魚どもよ、大志を抱け!』足立紳監督トークレポート

第72回CINEX映画塾が3月25日岐阜CINEXで開催された。上映作品は岐阜県 ...

mogiri1 31
片桐はいりさん来場。センチュリーシネマでもぎり(映画『「もぎりさん」「もぎりさんsession2」上映+もぎり&アフタートークイベント』)

センチュリーシネマ22周年記念企画 『「もぎりさん」「もぎりさんsession2 ...

PSX_20230319_165037 32
カンヌ国際映画祭75周年記念大賞を受賞したダルデンヌ兄弟 新作インタビュー(映画(『トリとロキタ』)

パルムドール大賞と主演女優賞をW受賞した『ロゼッタ』以降、全作品がカンヌのコンペ ...

feibru 33
アカデミー賞、オスカーは誰に?(松岡ひとみのシネマコレクション『フェイブルマンズ』 ゲストトーク 伊藤さとりさん))

松岡ひとみのシネマコレクション vol.35 『フェイブルマンズ』が3月12日ミ ...

son 34
親子とは。近いからこそ難しい(映画『The Son/息子)』

ヒュー・ジャックマンの新作は3月17日から日本公開される『The Son/息子』 ...

tyanomi1 35
先の見えない日々を生きる中で寂しさ、孤独を感じる人々。やすらぎはどこにあるのか(映画『茶飲友達』外山文治監督インタビュー)

東京で公開された途端、3週間の間に上映館が42館にまで広がっている映画『茶飲友達 ...

tyanomi5 36
映画『茶飲友達』名古屋 名演小劇場 公開記念舞台挨拶レポート

映画『茶飲友達』公開記念舞台挨拶が2月25日、名演小劇場で開催された。 外山文治 ...

ginpei8 37
第71回 CINEX映画塾 映画『銀平町シネマブルース』小出恵介さん、宇野祥平さんトークレポート

第71回CINEX映画塾『銀平町シネマブルース』が2月17日、岐阜CINEXで開 ...

gokudaru7 38
名古屋シアターカフェ 映画『極道系Vチューバー達磨』舞台挨拶レポート

映画『極道系Vチューバー達磨』が名古屋清水口のシアターカフェで公開中だ。 映画『 ...

wakareru 39
パク・チャヌク監督の新作は今までとは一味も二味も違う大人の恋慕を描く(映画『別れる決心』)

2月17日から公開の映画『別れる決心』はパク・チャヌク監督の新作だ。今までのイメ ...