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架空の密室で行われるオーディション、それはミステリー(映画『ある閉ざされた雪の山荘で』)

日本を代表するミステリー作家で著作の累計発行部数が1億部を突破した東野圭吾が1992年に発表した傑作小説『ある閉ざされた雪の山荘で』がついに映画化。1月12日から全国公開される。

あらすじ

役者7人に届いた劇団水滸新作舞台の主演を争う最終オーディションへの招待状。それは4日間の合宿で行われるという。
彼らが“演じる”シナリオの設定は「大雪で閉ざされた山荘」という架空のシチュエーションで連続殺人事件が起こるというもの。

出口のない密室で一人、また一人と消えていくメンバーたち。
果たしてこれは、フィクション?それとも本当の連続殺人か。彼らを待ち受ける衝撃の結末とは?

舞台は平成から令和へ

長らく映像化は困難とされてきた本作を『ステップ』『ヒノマルソウル〜舞台裏の英雄たち〜』『宇宙人のあいつ』と話題作を制作してきた飯塚健監督が加藤良太と共同で脚色。映像化するにあたり、平成の時代から30年経った令和に合う設定に変更した。

劇団代表からの連絡手段は現代の技術に合うものに変更されている。今ならスマホで電波さえあれば外部と連絡は出来るが、逃げたり、外部へ連絡したら、オーディション失格。主役の座どころか、公演で役を得られないかも知れないという言葉の呪縛と雪深い山荘にいて出られないというオーディションの状況設定、部屋についている監視カメラは役者達の性分を巧く捉え、スマホを使わせず、架空の密室に閉じ込める。

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オーディションに参加する役者達には若手実力派が揃った。山荘でのオーディションに招待された役者の中で唯一、劇団水滸とは異なる劇団から参加した“部外者”である久我和幸を演じるのは、映画単独初主演となる重岡大毅。東野が書いた原作とは異なるキャラクターの久我は事件に繊細に反応する、まさに受けの芝居をする男。周りの役者達の動きや会話から状況を読みとっていく。役を奪われた女優・中西貴子には中条あやみ、こじらせ怪優・田所義雄を岡山天音、世間知らずのお嬢様女優・元村由梨江を西野七瀬、勝気なワガママ女優・笠原温子を堀田真由、優しい劇団リーダー・雨宮恭介を戸塚純貴、圧倒的天才女優・麻倉雅美を森川葵、劇団のトップ俳優・本多雄一を間宮祥太朗が演じている。主演級の俳優が揃っており、彼らが演じる役者が演じているのか、役者のリアルな反応なのかがわからず、考えながら観ることになる。

最初はすべて芝居の設定だと思っていた彼らは一人ずつメンバーが消えていくことでお互いを疑い、時には一緒に犯人捜しをしようとする。

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役者達がオーディションで競いあっているようにも、タッグを組んで演じているようにも見えるが、ただ電話も通じず、電波もない山奥の雪深い山荘で、毎日一人消えていくミステリーを観ているようにも見える。

どこまでが芝居なのか。オーディションなのか。消えた役者はどこに行ったのか。いくつもの構造が映画には隠されていて、観るものを惑わせる。オーディション最終日に待つ衝撃展開、そして大団円は…?

演劇の演出も手掛ける飯塚監督が作り上げたラストは、演劇好きな筆者にはたまらなかった。

映画『ある閉ざされた雪の山荘で』https://happinet-phantom.com/tozayuki/ は1月12日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほかで全国ロードショー。東海三県ではミッドランドスクエアシネマ、伏見ミリオン座、109シネマズ(名古屋、明和)、イオンシネマ(大高、名古屋茶屋、ワンダー、岡崎、豊川、豊田KiTARA、長久手、常滑、各務原、津、津南、桑名、鈴鹿、東員)、TOHOシネマズ(木曽川、赤池、東浦、津島、岐阜、モレラ岐阜)、ユナイテッド・シネマ(豊橋18、岡崎、稲沢、阿久比)、コロナシネマワールド(中川、安城、小牧、大垣)、ミッドランドシネマ名古屋空港、MOVIX三好で公開。

※13日の公開記念舞台挨拶ライブビューイングの開催館は公式ホームページを確認

本映画は『UDCast』方式によるバリアフリー音声ガイド、バリアフリー日本語字幕に1月12日(金)より対応。
『UDCast』の詳細はhttps://udcast.net/howtouse/

『ある閉ざされた雪の山荘で』
出演:重岡大毅 中条あやみ 岡山天音 西野七瀬 堀田真由 戸塚純貴 森川葵 間宮祥太朗
原作: 東野圭吾「ある閉ざされた雪の山荘で」(講談社文庫)
監督: 飯塚健 脚本: 加藤良太 飯塚健 音楽: 海田庄吾
主題歌「FICTION」(WEST.)
配給: ハピネットファントム・スタジオ

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