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コケシに捧げる愛の歌?(映画『コケシ・セレナーデ』)
2019 年初の長編自主映画となる『みぽりん』がカナザワ映画祭2019「期待の新人監督」 部門観客賞、おおさかシネマフェスティバル 2020ワイルドバンチ賞を受賞した松本大樹監督の2本目の長編映画『コケシ・セレナーデ』が名古屋のシアターカフェで公開される。
『コケシ・セレナーデ』というタイトルがなんとも気になる。
だってセレナーデって恋人に向かって歌ったり、奏でられたりする曲。いわゆる恋の歌の意味なわけで。
ということは…。コケシLOVEな話なのか?
と思いつつ見始めたら…。今回も松本監督ワールドが炸裂する!
あらすじ
新型ウイルスが蔓延する中、兵庫県三田市に住む桜井夫婦は自宅で自粛生活を送っていた。
仕事を完全に失ってしまい、落ち込む作曲家の夫。そんな夫をよそに、妻は外に出られないストレスを紛らわすため、夫のクレジットカードで一体の"こけし"を購入した。それ以来妻は次々と新しいこけしを買い続け、家計は圧迫される。夫は大量のこけし達との共同生活にも辟易し始めていた。
ある時、こけしによる不思議な出来事が訪れる。買った覚えが無いのに、気が付けば増えている新たなこけし。置いた覚えのない場所で、ひっそりと佇むこけし。まるで何かを伝えているかのような奇妙なこけし達に導かれ、夫婦が向かった先は…。
コロナ禍。誰もが感じた閉塞感も作品の中に
コロナ禍、外出自粛。エンターテイメント界も仕事はない。出て行けないストレス。誰もが思った閉塞感。世間ではいらないと不評だった「あれ」も登場。リアルな自粛生活が描かれている。
というのも『コケシ・セレナーデ』は2020年5月末、緊急事態宣言が明けてすぐに企画・撮影開始をし、僅か1ヶ月半という短期間でスピード制作された。コロナ禍においては映画制作には様々な制約がある。その中で登場人物は主人公夫妻と数人のみ。家の中での1シチュエーションのみで物語を構成。スタッフも極めて少人数体制で制作され、万全の感染症対策や様々な表現の工夫を凝らした。そこに大きな存在感を放つのがこけし。彼女達は密になっても問題ない偉大なる出演者だ。
人間とコケシのコラボレーションがコロナ禍の映画業界に一石を投じる。
もの言わぬコケシがもの申す!
妻が増やしていくコケシ。次第に増えるコケシは次第に徒党を組んで主人公に何かを訴えかけていく。黙っているのにしっかりと意志を告げてくるコケシ達。よく見ると一体一体顔が違い、味がある顔でじっと見つめてくる。え?これホラー?とも思える一瞬もありながらそれを超えるシュール感がたまらない。
実は音楽エンターテイメント映画
音楽を担当したのは今回主演をつとめた片山大輔。演技も初めてとは思えないキャラ濃い感を出しているが、本業は音楽制作。場面に合わせて様々な音楽を制作している。バラエティ溢れる楽曲が楽しめる。音楽がこの映画の大事なアイテムでもある。サウンドトラックもあるのだが、観終わった後に欲しくなること間違いなしだ。
映画『コケシ・セレナーデ』は1月23日よりシアターカフェで公開。なお松本監督の『みぽりん』アンコール上映会も併せて開催される。
場所: シアターカフェ(名古屋市東区白壁4-9)
日時:
1/23(土)24(日)30(土)31(日)
コケシ・セレナーデ14:00、18:30
みぽりん16:00
*23(土)16時みぽりん残席わずか
1/25(月)28(木)29(金)
みぽりん 16:00
コケシセレナーデ 18:30
料金:みぽりん 500円+ドリンク(600円~) 入場者特典福袋つき
コケシ・セレナーデ 1000円+ドリンク(600円〜)
定員:各回10名
ご予約はこちら
映画『コケシ・セレナーデ』
監督・撮影・脚本・編集:松本大樹
出演:片山大輔、佐藤萌々花、海道力也、上野伸弥、篁怜、うみのはるか、藤本豊、森川鉄矢、梅本奈己峰、史志
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