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映画『あしやのきゅうしょく』名古屋舞台挨拶レポート

映画『あしやのきゅうしょく』名古屋公開記念舞台挨拶が3月12日(土)に名演小劇場で行われた。白羽弥仁監督が登壇、その様子をお届けする。

白羽弥仁監督(以下白羽監督)
「土曜日の午前中からお越しいただいてありがとうございます。この映画は実際の学校の給食や養護施設の学校の調理師さんや栄養士さんに観ていただいていることが多いようです。そういう方々からすると、自分達にスポットライトが当たるということはとても嬉しいとご感想をいただいたりしておりますが、いかがだったでしょうか?」

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白羽監督
「この映画の企画が最初にあがったのは2017年。芦屋生まれで神戸で育った私にオファーが来たんですが、もう5年前になります。私はこの映画が実現するまでの間にもう一本『みとりし』という別の映画を作っているということになります。そういうことで言うととても時間がかかった作品です。兵庫県の芦屋というまちは2020年に市制80年を迎えました。名古屋に比べれば80年でまだまだ歴史は新しいまちになります。昭和15年に芦屋市が出来ました。昭和16年に戦争が始まりましたので、その前の年になります。それまで芦屋は精道村という村でした。ご存知の方もいらっしゃるかもしれないですが、谷崎潤一郎という作家がこの芦屋、神戸あたりに住んで執筆活動をしていて、三回映画化された「細雪」という超大作を書いた頃というのは、芦屋はまだ精道村だったんです。本作の中でアレルギーを治すお医者さんの病院がありますが、あの病院は「細雪」でも出てくる病院なんです。だから80年前からあります。ご多分に漏れず、阪神淡路大震災で潰れて再建された由緒正しき建物だったりします」

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白羽監督
「当初芦屋市はその谷崎潤一郎だったり、今話題の『ドライブ・マイ・カー』の原作者である村上春樹さんも芦屋を舞台に作品を書かれていますので、そのあたりの本をあらためて読んでみたんです。村上春樹さんで言えば「羊をめぐる冒険」が映画化されていなくて芦屋が舞台なんですが、いずれにせよ、どれもお金がかかりますし、谷崎潤一郎さんの作品に至っては時代劇になってしまうので、どうにもこうにも尺に合わないので、市長室に行って文芸作品を題材に映画を撮るのは無理ですとお断りに行ったことがありました。その時に市長室に「芦屋の給食」というレシピ本が置いてあったんです。給食のレシピが書かれた本で、カラーのかわいらしい表紙で。これは面白そうだなと。その頃すでに芦屋の給食が美味しいと聞いていましたので、これを原作にしませんかと申し入れたら、「それはいいですね」となり、始まりました」

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白羽監督
「給食のことを色々と調べたんですが一番驚いたのは全て手作りなんです。ケチャップも一から、カレーもルーから作っていく。驚いたのは、映画の中でも松田るかさん演じる主人公の栄養士・菜々が秋野暢子さん演じる蓮子からバトンタッチされますが、本当に大学を卒業したばかりの栄養士さんがいきなり一つの学校を受け持つんですね。

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映画では非常に優しい秋野さんが優しく色々とアドバイスしたりするんですが、実際はそんなこともなく、ドライに「では今日からお願いします」という形で、研修期間もなくいきなり四月から給食の献立作成をお願いしますとなるので、新人栄養士さんは大変だという話を聞いて書き上げたものです」

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白羽監督
「それほど大事件がある作品でもないですし、芦屋の給食は派手で綺麗でと思われるかもしれないですが、全国的に栄養士さんや行政が頑張っていろんな給食を作っているみたいです。芦屋の給食は自校式というところが特色ではあるんですが、食の教育といいますか、子供が学校で美味しいもの食べる事で体が成長し、頭も良くなるということを本気で考えていらっしゃるんです。それは取材している過程だけですぐに伝わってきました。利権めいたことは一切なかったです。納入している業者の方々も全然儲け度外視だということがわかりましたし、ことこの給食に関していうと、本当に子供の成長のためということ、子どもの未来のためということをまっすぐに考えているということがよくわかったので、テーマをそこに絞り、ストレートな子どもへの愛として描いたつもりです。皆さんにもお子さんがいらっしゃるかもしれませんし、親族に栄養士の方がいらっしゃるかもしれません。いろんな方にこんな映画を観たよと声をかけていただいて広めていただけると嬉しいです。今日は本当にお越しいただきまして、ありがとうございました」

白羽弥仁監督

白羽弥仁監督

映画『あしやのきゅうしょく』http://ashiyanokyushoku.com/

は現在東海3県では愛知 名演小劇場、イオンシネマ豊田KiTARA、ユナイテッド・シネマ豊橋18、三重 イオンシネマ東員で公開中。

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