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映画『はりぼて』 名古屋初日リモート舞台挨拶レポート

映画『はりぼて』名古屋初日リモート舞台挨拶が名古屋・名演小劇場で8月22日10時の回上映後に開催された。
名演小劇場ではリモートの舞台挨拶はこれが初。名演小劇場、五百旗頭幸男監督、砂沢智史監督の3カ所を中継し、『はりぼて』制作の裏側が話された。
(司会進行:水野由美子シネマアナウンサー)

 

映画『はりぼて』映画レビューはこちらから

 

水野さん
「今日は名演小劇場50席が満席です。50人以上お客様がいらっしゃいましてお帰りになられたり、次の回を観ますということで次の回をロビーで待っている方もいらっしゃるほど名古屋の皆様も注目している作品です。まずお二方からご挨拶をお願いいたします」

五百旗頭監督
「今日はコロナ禍の中、お越しいただきましてありがとうございます。おそらく観終わってもやもやしている方もいらっしゃると思うんですが、その気持ちを持ち帰って色々な方と議論したり、考えて頂ければ嬉しいです。今日はよろしくお願いいたします」

砂沢監督
「この映画は自分達に一番身近な政治である市議会や町村議会について少しでも関心を持ってもらいたくて作りました。観終わった後自分達に身近な政治を見てみようかなと関心を持っていただければありがたいです。今日はよろしくお願いいたします」

水野さん
「まずこの映画を作ることになったきっかけから教えてください」

五百旗頭監督
「この作品は4年前に『はりぼて 腐敗議会と記者たちの攻防』という1時間のドキュメンタリー番組を作ったんですが、その番組の時の矛先が当局であり、議会であったんですけれどもこの4年間を見た時に議会の本質が何も変わっていないと。その責任はどこにあるのかと考えた時に市民だったり、私たちメディアにも責任があるのではないかと思いましたので、その部分も描こうと思って当時付けていたサブタイトルを外して今回映画化した次第です」

水野さん
「今回、五百旗頭監督と砂沢監督のお二人で監督を務められるという形を取られた訳なんですが、お二人どちらが言い出したとかはあるんですか?」

五百旗頭監督
「提案は私からしました。私も一部は取材しましたが、メインで取材をしたのが砂沢だったので、取材を砂沢、編集と構成は私というような役割分担がありました」

名演小劇場、五百旗頭幸男監督、砂沢智史監督をリモートで結んで。

名演小劇場、五百旗頭幸男監督、砂沢智史監督をリモートで結んで。

 

水野さん
「砂沢監督、映画化の話を五百旗頭監督から聞いた時はどんなことを思われましたか?」

砂沢監督
「そうですね。最初は引き気味というか消極的で。不正の問題が起こってから4年が経っていまして、刑事裁判も終わっていて。辞職した市議とか家族や関係した業者さん達はもう新しい人生を歩んでいるのでそれをもう一回蒸し返すことによって彼らが不利益を被るんじゃないかとどうしても気にはなったんですけど、あれだけの事件があって、富山市議会のルールも変わったんですけど、本当に市民のための良い議会になったのかということを考えるとその後取材していてもそれは思えなかったので。もう一回この映画を上映することでそういうきっかけが作れればいいなと思って五百旗頭に協力したという感じです」

水野さん
「最初は消極的というのは意外です。先程観客の皆様とお話していたのですが、笑っていいのかなと思いながらも議員の方のしどろもどろな様子とか言っていることがガラッと変わってしまう様子を観ると笑ってしまうようなところがありましたが、これはそうやって観てもいいんでしょうか?」

五百旗頭監督
「これはコメディのつもりで作りましたので。7割笑いで3割シリアスというところで作っています。なぜこういう表現にしたかというのはやはり取材している議員たちは悪いことをしているんですけど、彼らの憎めない人柄があったり、単純には説明できない関係性の中で彼らをずっと取材していて。そういうところで僕らも彼らを許してしまっていた部分もあったと思うので。ドキュメンタリーとコメディというのは本来結び付かないと思うんですけが、この映画で追求した笑いというのは巷にあふれる刹那的で瞬間的に消費される笑いではなくて観ているうちにどんどん観ている人に突き刺さってくるような、そしてその後で笑いたくなるような笑いを追求したつもりです」

砂沢監督
「冒頭でもあったんですが、富山県というのは日本一の自民党王国と言ってもいいくらい保守王国なんですね。事件当時もですし、今もそうなんですが、富山市議会の過半数を自民党員が占めています。なので何か議会で政策を可決しようとしたり、作ろうとしたりするときは自民党の中で合意を取れば全て出来てしまうような構成になっているんですが、そういった中でああいう不正が起きたんですね。実はこの映画はコメディタッチで笑える感じだと思うんですけど、起きていることは全て事実でこの構図というのは富山だけでなくおそらくいろんなところで似たような構図があると思うのでそういった部分も考えながら観てもらえばいいのかなと思います」

水野さん
「映画のラストに近づくにつれて、私は観ていて「えっ!」と声を上げてしまうシーンになったのが五百旗頭監督の退職です。これは最後どうなっていくのかドキドキしながら観ていたんです。今は退職されて別の会社で五百旗頭監督は働かれているそうですが、このあたりのことを伺ってもいいですか?」

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五百旗頭監督
「そこはいろんな取材で必ず聞かれるんです。この映画ではこの表現を選びましたので、それ以上のことを言ってしまうとじゃあなぜ映画には入れなかったのかということになってしまうので、そこは皆さんに考えてもらいたいですし、想像していただきたいところです。ただなぜこの表現を選んだかというとこの映画を通して僕らの組織ジャーナリズムに身を置く人間としての苦悩だったり、葛藤だったり矛盾だったりというものを描きたくて。ある意味あの表現というのは組織ジャーナリズムとしては限界の表現だったと思うんですね。僕たちは組織に忖度している『はりぼて』なんですよね。『はりぼて』な僕達が描いた『はりぼて』な映画というその意味を考えてほしかったというのもありますし、同業他社が「こんなものは作れない、無理です」と言われるんですけど、それはちょっと違うと思っていて。僕は次の会社に行くことが決まっていたので僕はたいしたことないんです、チューリップテレビに残ることを決断してこの映画を世に出すことを成功した砂沢だったり、プロデューサーの服部というのは会社側と向き合って、会社側も最終的には認めてくれた。そこの意味も含めて映画を観た皆さんに考えていただきたいと思います」

©チューリップテレビ

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水野さん
「それでは名古屋の初回上映をご覧いただいた皆様に一言ずつメッセージをお願いいたします」

砂沢監督
「この映画を自分たちが住んでいる地域とどこが重なるかとか、こういった部分は自分達でもあるんじゃないかと重なり合う部分を考えながら観てもらえたら、政治に対してもそうですし、市民自身がが関心を持たなければいけないということがなんとなく伝わるのではないかと思います。今日観ていただいた方はよければ他の方にも富山市でこういう事件があってこんな映画があってということを少しでも話していただければと思います。いろんなところに広がって、少しずつ自分達の生活が良くなっていくのではないかと思っているのでぜひ広めて頂ければと思います」

五百旗頭監督
「皆さんの身近にいろんな『はりぼて』があって僕自身もその『はりぼて』の中にいたりとか、いろんなことがあると思うんですけど、その時に日本社会というのは「まあそんなもんだろうな」と思ったり、あえて無関心を装ったり、本当に無関心であったり。そういったことがいろんな組織の中であると思うんですよね。だけど本当にそのままでいいんでしょうかということをもちろん一番政治について考えていただきたいんですけど、あらゆることにおいて考えていただきたいなと思っています」

映画『はりぼて』https://haribote.ayapro.ne.jp/は現在全国順次上映中。

名古屋・名演小劇場は絶賛公開中。10月10日より岐阜CINEX、11月7日から伊勢進富座で公開予定。

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