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漁師達のコーラスグループがメジャーデビュー!?(映画『フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛をこめて』)

歌が巧いというのは音程が取れるという意味もあるが、それよりも歌をいかに自分のものとして表現出来るかではないかと常々思っている。そんな歌は聴く人の心に直接響いてくる。

小さな頃から生活の一部として昔から伝わる舟唄を歌ってきた漁師達が結成した「フィッシャーマンズ・フレンズ」がメジャーデビューし、全英チャートのトップ10入りを果たしたという実話は、彼らの歌が聞く人の心に染み入ったことの証だろう。

このサクセスストーリーを基に映画化したのが『フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛をこめて』だ。

この映画はイギリスで公開されると、出演しているのは通好みの演技派の役者ばかりで派手さはあまりない作品なのに、興行収入10億円を突破する大人気に。すでに続編も決まっているという。その映画がいよいよ日本で公開される。

あらすじ

旅先でフィッシャーマンズ・フレンズの浜辺ライブを偶然見かけた音楽マネージャーのダニーは、上司に彼らとの契約を命じられ、小さな港町に居残るハメに。民宿の経営者でシングルマザーのオーウェンはダニーの失言に敵意をむき出しにしていたが、彼が見せた音楽への情熱に心を動かされる。契約はできたものの、上司からは「契約を命じたのは冗談だ」と言われたダニーは会社を辞め、漁師達を一人で売り込み始める。はたしてフィッシャーマンズ・フレンズは評価が厳しい音楽業界でメジャーデビューできるのか?

海に生きる男たちが音楽界の波に乗る?

漁師として働きながら、海での救命活動を使命とし、息抜きと言えば仲間が経営するパブで飲むことだった漁師達は名声やお金よりもコミュニティや今の生活を大事にする。メンバーの年齢は若いとは決して言えず(若者もいるが)、現実世界の酸いも甘いもよく知っている大人。突然都会からやってきた男から「デビューしないか?」と言われてもまともに受け取るはずがない。

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なんとしても契約を取りたいダニーは漁師達に振り回されながらも行動を共にし、ふれあうことで彼らの絆の深さを知る。自分の周りの人達との間にはない関係性にひかれ、彼らの音楽の良さを信じて彼らを説得。売り込みを進めていく。

舟唄の歌詞は何百年前の漁師の生活から生まれたものだ。悲しい歌も楽しい歌も日々の生活の中から生まれた。漁師達は伝統や言い伝えを信じ、験を担いで船に乗り、自然と共存しながら生きてきた。歌詞を体現しながら生きてきた彼らが歌う本物の舟唄がダニーを動かしていく。

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デビューへの道のりの中にある漁師達の日常生活、リーダーのジムの頑固さの裏にある過去や、ジムの娘・オーウェンとダニーの大人の恋、パブを経営するローワンの苦悩など様々な出来事が描かれる。

ロンドンから遠く離れたコーンウォール

映画の舞台コーンウォール州ポート・アイザックはロンドンから公共交通機関を使って6時間はかかる。コーンウォールの人達の先祖はケルト人で、449年にアングロ・サクソン人がグレートブリテン島に侵入した時にこの地に逃れ生き延び、独自の文化を創り出してきた。ここで生きる人達はコーニッシュ人としての誇りが高い。川を渡ってコーニッシュにやって来たのならコーニッシュのルールに従えと観光客にも必要以上の忖度はしない。それもあってエリザベス女王の誕生日にイギリス国歌を歌って欲しいというオファーに、フィッシャーマンズ・フレンズは自分達の国歌はこれだと言ってまさかの行動に出るのだ。

大人の男の低音が魅力のハーモニー

人生が感じられる漁師達の歌声がこの作品の魅力。

特に教会でのレコーディングシーンでの歌は低音の魅力が教会の作りで柔らかく響いてくる。
彼らの歌をもっと聞きたいという衝動に駆られた。

何を得て、何を失うか

人生には転換期がある。何かを捨てることで新しい道が開けるというのはよく言われることだ。

この映画の中で人生が一変するのは漁師達だけではない。都会での生活に疲れていたダニーにとっても大きな転換期が訪れる。彼は何を捨て、何を得たのか。この視点で観るのも面白い。

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インターネットが普及し、沢山の音楽が溢れる現代。その中で人々が求めている歌とは?海の男たちの固い絆とパワフルな歌声で人々の心を動かしたフィッシャーマンズ・フレンズをこの映画で知り、じっくりと歌を聴こう。

映画『フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛をこめて』https://fishermans-song.com/は1月10日 (金)から新宿ピカデリー他で全国順次公開。
中部地区ではミッドランドスクエアシネマ、MOVIX三好で1月10日より公開。伊勢進富座でも順次公開予定

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