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涼夏のこれが今ツボ④ 映画『ひかりのたび』(ネタバレあり)

親と子。親にとって子はいつまでも子であり、
子にとっていつまでも親は親。

昨今のニュースで子の不祥事に親が頭を下げるのを見ては
大人だから個人の責任というのはわかっていても
親が頭を下げるというのが日本の昔からの伝統、慣習なのだと
感じずにはいられない。
そして同じように親の行動で子の居場所がなくなるということがあるのも
昔から変わらない。

最近偶然にもモノクロの映画を立て続けに見た。
フランス映画『婚約者の友人』、そして『ひかりのたび』。

『ひかりのたび』
現在名古屋今池にある名古屋シネマテークで上映している。
田舎の町でやや強引に不動産売買の仕事をする父親・植田とその娘・奈々の物語。

ただその強引さはあまりこの作中では植田自身からは見えてこない。
出てくる登場人物の植田に対する言動や態度、
嫌がらせからわかってくる。
この男は秘密裏に暗躍して手に入れるタイプなのだ。

その嫌がらせを娘も薄々はわかっているのに
この町が好きで父親が東京に戻ると言っても戻ろうとはしない。

海外からやって来て大金を積んでもいいからここで住みたいという人々のために
田舎の土地や家屋を持ち主から譲渡させようとする植田。
大金の先に見えるその人たちの思いを感じる男は国籍など気にせず
その思いを叶えようと奔走しているがそれは一方で強引な取引でもある。

父親の仕事の都合であちこち転校してきた奈々は
今までの中で一番長く住んでいるその町を
自分の生きる町と決めた。

ある死を利用してこの町で父が暗躍し始めたと知っても
揺るがない故郷に残るという思い。

生きづらい町かもしれない。
父親がしたことはまだまだ町で語り継がれる。
しかしそれも全て受け入れて生きる。

最後の父娘の笑顔。
たまらなかった。
あのタイミングの笑顔は親しい関係にしかわからない。

この作品は伊参スタジオ映画祭シナリオ大賞2015グランプリ受賞作品。
今回が商業作品デビューで監督脚本を担当した澤田サンダーさんの脚本の構成は
見ているとそれぞれのシーンがバラバラのように見えて最後にはきっちりつながる。
台詞の内容に説明がない。どうしても台詞で説明してしまう脚本も多いが
それがなく進み、後半で種明かしがやって来る。

日本の田舎の風景がモノクロで描かれているわけだが先に見た
『婚約者の友人』とは全く違ったモノクロであり、
絵本作家としての顔を持つ澤田監督の作るモノクロ世界は非常に興味深かった。


伊参スタジオ映画祭シナリオ大賞の作品をここ数年見続けており、
今年も観に来てよかった。
山田真歩さんが出演されているのもあって観に来たのだが
植田役の高川裕也さんと浜田晃さんの大人の会話のやりとりとその間を最後まで楽しんだ。
高川さん、いい声だなあと思ったらカンブリア宮殿のナレーションの方…。(;´д`)
しかも無名塾出身。存じ上げず申し訳ない。

劇場で老夫妻が上映後に澤田サンダー監督と
植田役の高川裕也さんのサインを見つめていた。
じっくりと今日は鑑賞されたに違いない。

親は子を思い、子は親を思う。
この映画のラストシーンの後で観ることが出来た素敵な光景だった。

『ひかりのたび』(http://hikarinotabi.com/)は
名古屋シネマテークで現在公開中(21日からは20時30分からの上映。)

大須のシアターカフェでは12月23日から澤田サンダー監督作品を特集上映する。
商業デビュー以前の短編作品が上映されるのでこちらも是非チェックしてほしい。

『ひかりのたび』公開記念 澤田サンダー監督特集上映

上映スケジュール
12/23(土) 15:00B/17:00A
12/24(日) 15:00A/17:00B ※舞台挨拶等情報は更新していきます

料金 1プログラム1000円
Aプロ(2 作品 87 分)
『惑星のささやき』 (2011 年/73 分)
『私は知ってる、私は知らない』(2013 年/14 分)

Bプロ (3 作品 86 分)
『劇場的、かつ遊戯的なもの』(2014 年/57 分)ドキュメンタリー
『ECHO』(2014 年/14 分)
『謎のワークショップin AOMORI』(2016 年 6 月/15 分)

※舞台挨拶情報はシアターカフェブログで更新予定。

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