Cafemirage

Cafe Mirage--岐阜発 映画・エンタメ情報サイト

カテゴリリンク

20171020_175237

EntaMirage! Movie

涼夏のこれが今ツボ④ 映画『ひかりのたび』(ネタバレあり)

親と子。親にとって子はいつまでも子であり、
子にとっていつまでも親は親。

昨今のニュースで子の不祥事に親が頭を下げるのを見ては
大人だから個人の責任というのはわかっていても
親が頭を下げるというのが日本の昔からの伝統、慣習なのだと
感じずにはいられない。
そして同じように親の行動で子の居場所がなくなるということがあるのも
昔から変わらない。

最近偶然にもモノクロの映画を立て続けに見た。
フランス映画『婚約者の友人』、そして『ひかりのたび』。

『ひかりのたび』
現在名古屋今池にある名古屋シネマテークで上映している。
田舎の町でやや強引に不動産売買の仕事をする父親・植田とその娘・奈々の物語。

ただその強引さはあまりこの作中では植田自身からは見えてこない。
出てくる登場人物の植田に対する言動や態度、
嫌がらせからわかってくる。
この男は秘密裏に暗躍して手に入れるタイプなのだ。

その嫌がらせを娘も薄々はわかっているのに
この町が好きで父親が東京に戻ると言っても戻ろうとはしない。

海外からやって来て大金を積んでもいいからここで住みたいという人々のために
田舎の土地や家屋を持ち主から譲渡させようとする植田。
大金の先に見えるその人たちの思いを感じる男は国籍など気にせず
その思いを叶えようと奔走しているがそれは一方で強引な取引でもある。

父親の仕事の都合であちこち転校してきた奈々は
今までの中で一番長く住んでいるその町を
自分の生きる町と決めた。

ある死を利用してこの町で父が暗躍し始めたと知っても
揺るがない故郷に残るという思い。

生きづらい町かもしれない。
父親がしたことはまだまだ町で語り継がれる。
しかしそれも全て受け入れて生きる。

最後の父娘の笑顔。
たまらなかった。
あのタイミングの笑顔は親しい関係にしかわからない。

この作品は伊参スタジオ映画祭シナリオ大賞2015グランプリ受賞作品。
今回が商業作品デビューで監督脚本を担当した澤田サンダーさんの脚本の構成は
見ているとそれぞれのシーンがバラバラのように見えて最後にはきっちりつながる。
台詞の内容に説明がない。どうしても台詞で説明してしまう脚本も多いが
それがなく進み、後半で種明かしがやって来る。

日本の田舎の風景がモノクロで描かれているわけだが先に見た
『婚約者の友人』とは全く違ったモノクロであり、
絵本作家としての顔を持つ澤田監督の作るモノクロ世界は非常に興味深かった。


伊参スタジオ映画祭シナリオ大賞の作品をここ数年見続けており、
今年も観に来てよかった。
山田真歩さんが出演されているのもあって観に来たのだが
植田役の高川裕也さんと浜田晃さんの大人の会話のやりとりとその間を最後まで楽しんだ。
高川さん、いい声だなあと思ったらカンブリア宮殿のナレーションの方…。(;´д`)
しかも無名塾出身。存じ上げず申し訳ない。

劇場で老夫妻が上映後に澤田サンダー監督と
植田役の高川裕也さんのサインを見つめていた。
じっくりと今日は鑑賞されたに違いない。

親は子を思い、子は親を思う。
この映画のラストシーンの後で観ることが出来た素敵な光景だった。

『ひかりのたび』(http://hikarinotabi.com/)は
名古屋シネマテークで現在公開中(21日からは20時30分からの上映。)

大須のシアターカフェでは12月23日から澤田サンダー監督作品を特集上映する。
商業デビュー以前の短編作品が上映されるのでこちらも是非チェックしてほしい。

『ひかりのたび』公開記念 澤田サンダー監督特集上映

上映スケジュール
12/23(土) 15:00B/17:00A
12/24(日) 15:00A/17:00B ※舞台挨拶等情報は更新していきます

料金 1プログラム1000円
Aプロ(2 作品 87 分)
『惑星のささやき』 (2011 年/73 分)
『私は知ってる、私は知らない』(2013 年/14 分)

Bプロ (3 作品 86 分)
『劇場的、かつ遊戯的なもの』(2014 年/57 分)ドキュメンタリー
『ECHO』(2014 年/14 分)
『謎のワークショップin AOMORI』(2016 年 6 月/15 分)

※舞台挨拶情報はシアターカフェブログで更新予定。

-EntaMirage!, Movie

おすすめの記事はこれ!

room6 1
映画『ルームロンダリング』×池田エライザ トーク&インタビュー at 名古屋

6月5日名古屋PARCOで【映画『ルームロンダリング』×PARCO SWIM D ...

2
ようこそ岐阜へ。今年も秀作揃い 第6回MKE映画祭 レポート

第6回MKE映画祭が6月9日岐阜県図書館多目的ホールで行われた。 上映されたのは ...

yuzuriha1 3
葬儀の現場に涙は見せない(映画『ゆずりは』)

どの時代でも文化や仕事の技は受け継がれていく。 人から人へ。意思を継ぐ者達の命の ...

4
声から広がる作品の世界・中川龍太郎監督インタビュー(映画『四月の永い夢』)

世界四大映画祭の一つと言われるモスクワ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞とロシア映 ...

5
迷うのも決めるのも私(映画『29歳問題』)

あらすじ 2005年の香港。あと1ヶ月で30才を迎えようとしているクリスティは仕 ...

dav 6
第17回CINEX映画塾-撮影監督・柳島克己トーク レポート

第17回CINEX映画塾が岐阜柳ケ瀬ロイヤル劇場で5月12日開催された。 ロイヤ ...

1525665750821 7
渡辺哲、再びカクエイを演じる(舞台『カクエイはかく語りき』)

『カクエイはかく語りき』が12年ぶりに上演される。 この作品は星屑の会でもタッグ ...

kobani 8
ラジオ・コバニ 戦地の中の放送局(映画『ラジオ・コバニ』)

94.3Mhz ラジオ・コバニが街を取り戻す 94.3Mhz でオンエアされるラ ...

kimikyori 9
地球の裏側のきみに恋して(映画『きみへの距離、1万キロ)

好きな人は地球の裏側。しかも恋人もいて…。 あらすじ 北アフリカの砂漠地帯にある ...

©2018「孤狼の血」製作委員会 10
東映実録路線を引き継ぐ妥協のない作品(映画『孤狼の血』)

ここまで今の日本でよく作ったと思える映画だった。熱き男達の闘い。それは昭和の時代 ...

IMG_20180503_085253 11
第17回CINEX映画塾開催決定!『ソナチネ』上映&柳島克己トーク

第17回CINEX映画塾の開催が5月12日に決まった。 今回は場所が岐阜CINE ...

12
篠原哲雄監督、文音さん登壇 映画『ばぁちゃんロード』名古屋舞台挨拶レポート

映画『ばぁちゃんロード』の舞台挨拶が4月21日名古屋名演小劇場で開催された。 篠 ...

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 13
CINEX映画塾第16回『一陽来復 Life Goes On』トークショーレポート

第16回CINEX映画塾『一陽来復 Life Goes On』上映と尹美亜(ユン ...

14
第1回加藤るみと映画館で会いましょう レポート

2018年3月17日、岐阜新聞映画部が企画したイベントが新たにスタート。 『加藤 ...

15
みんなが僕のストレージ(映画『クソ野郎と美しき世界』名古屋舞台挨拶レポート)

映画『クソ野郎と美しき世界』公開記念舞台挨拶が名古屋ミッドランドスクエアシネマで ...

IMG_20180205_115556 16
中川運河の魅力を伝える短編集(『Filmusic in 中川運河・秋』)

名古屋都市センター【中川運河助成ARToC10】の助成事業として製作されている短 ...

dav 17
自分の心の中を見たら(『ミュージカル ジキル&ハイド』)

ミュージカル『ジキル&ハイド』 2018年3月25日(日) 13:00  名古屋 ...

18
今を、そしてこれからを生きる(映画『一陽来復 Life Goes On』)

東日本大震災から6年。 6年という月日が早いのか遅いのか。それは人それぞれ感覚が ...

19
映画『レオン』名古屋初日舞台挨拶レポート

映画『レオン』公開初日舞台挨拶が名古屋ミッドランドスクエアシネマで行われた。 こ ...

@2017 ASESORIAS Y PRODUCCIONES FABULA LIMITADA; PARTICIPANT PANAMERICA, LCC; KOMPLIZEN FILM GMBH; SETEMBRO CINE, SLU; AND LELIO Y MAZA LIMITADA 20
あなたが愛した私でいたい(映画『ナチュラルウーマン』)

前情報は全く入れずに鑑賞し始めた映画『ナチュラルウーマン』。 ナイトクラブで歌う ...

ビガイルド 21
女の園に男が一人。さて何が起こる?(映画『ビガイルド 欲望のめざめ』)

女の怖さを知っているのは男より女だと思う。女はいつか敵になるかもしれないのになぜ ...

22
悠久の流れ長江・何度も巡り合う男と女(映画『長江 愛の詩』)

中国・長江。 世界の三大河川に数えられるこの河は全長3600キロ。中国を横断する ...

23
岐阜新聞映画部の新たな企画はアート&加藤るみ

岐阜新聞映画部の2018年最初のイベントと次のイベントが発表になった。 今年は新 ...

24
未来につながる映画を(映画『センターライン』下向拓生監督インタビュー・前編 Mirageなお客様その⑤)

自動車技術は日々進化している。 自動運転はまだまだ先のことと思っていたがCMでも ...

25
未来につながる映画を(映画『センターライン』下向拓生監督インタビュー・後編)

映画『センターライン』 下向拓生監督へのインタビュー後編をお送りする。 前編はこ ...

kenen1 26
兄弟(姉妹)だから色々あって面白い(映画『犬猿』吉田恵輔監督インタビュー)

一人っ子の私は兄弟がいる人たちを羨ましく思っていた。 絶対に勝てない親子喧嘩より ...