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今も受け継がれる神曲・市船Soul。それは魂がこもる大切な曲(映画『20歳のソウル』)
ある番組の吹奏楽の旅を観る度に号泣している。
私は決して吹奏楽部ではない。コーラス部だった。しかし、泣けるのだ。
みんなで一丸となって作り上げる。このあたりが自分の経験にオーバーラップするらしい。
今回取り上げるのは一つの吹奏楽部と将来は音楽教師になり、吹奏楽部の顧問になる夢を持つ青年が主役の映画だ。
埼玉県船橋市立船橋高校には受け継がれている応援曲「市船Soul」がある。
市立船橋高校と言えば甲子園に出場経験のある強豪高だ。そしてアルプススタンドから応援の音楽で彼らを支えたのが吹奏楽部。
彼らのオリジナル「市船Soul」が演奏されると負けない。勝利へ導く神応援曲とSNS上で話題になった。
この「市船Soul」は吹奏楽部に在籍した生徒が作ったものであることをご存知だろうか。
彼の名は浅野大義(たいぎ)。20才の若さでこの世を去った大義は音楽を愛し、また、沢山の人々から愛された。顧問・高橋先生の呼びかけに、彼の告別式には164人の吹奏楽部員が集まり、「市船soul」が奏でられたという。
この実話が市立船橋高校完全協力のもと、映画化された。
あらすじ
浅野大義(神尾楓珠)は市立船橋高校吹奏楽部に所属。担当はトロンボーン。
大義は、いつも周囲を明るく照らし、そして大義自身も部員たちに支えられ、青春を謳歌していた。
なにより特別な存在である顧問・高橋先生に大きな影響を受け、大義は心身共に成長していく。野球部のために、オリジナル応援曲の作曲にも挑戦。作曲の難しさに葛藤しながらも高橋先生からの叱咤激励や親友・佐伯斗真の助けもあり「市船soul」が誕生する。
高校を卒業した大義は、高橋先生の様な教師を志し、音楽大学へ進学、夢に向かってキャンパスライフを過ごしていたが、ある日、大義の身体を異変が襲う。診察の結果、大義の身体は癌に侵されていた。
将来を考える時期に出会う大切な仲間と恩師
高校生活を捉えた時間は本編内でそこまで長くはない。だがしっかりと濃密に描かれている。だからこそ、大義のその後の生き様が輝く。吹奏楽部の恩師と仲間たちとの出会いが彼を大きく成長させた。
高校生達の迷い、劣等感、挫折し、弱さを認めること。自分は何がしたいのか。どう生きて行けばいいのか。自身と向き合い、将来を模索する高校生達のぶつかり合い、それを見守り、大事な時には助言する高橋先生の指導者としての姿に胸が熱くなる。
浅野大義役は現在ドラマ「17歳の帝国」、「先生のおとりよせ」で全く違う姿を見せている神尾楓珠。映画、ドラマに立て続けに出演している注目の俳優だ。
大義が尊敬し、慕う高橋先生には佐藤浩市、大義を支える母親には尾野真千子、大義の治療に携わる医師には高橋克典と演技派が揃う。
大義の彼女・夏月には福本莉子、親友・佐伯には佐野晶哉(Aぇ! group/関西ジャニーズJr.)、吹奏楽部の仲間には前田航基をはじめ若手役者陣が揃う。撮影には市船吹奏楽部も参加し、リアルな稽古風景が映し出された。
彼が音楽として残した精神は市立船橋高校吹奏楽部の後輩たちに今も受け継がれ、生き続けている。
一人の青年の音楽は今もたくさんの人を勇気づける。
『20歳のソウル』 https://20soul-movie.jp/ は5月27日(金)より全国ロードショー。
東海3県では5月27日よりミッドランドスクエアシネマ、伏見ミリオン座、イオンシネマ(名古屋茶屋、岡崎、長久手、津南、鈴鹿)、ミッドランドシネマ名古屋空港、ユナイテッド・シネマ豊橋18、TOHOシネマズ(木曽川、赤池、東浦、津島、岐阜、モレラ岐阜)で公開。
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