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国家を敵に回しても無罪を勝ち取れ(映画『弁護人』)

弁護士には様々な仕事がある。
法的書類の作成、会社の顧問弁護士、罪を犯した人の弁護…。

貧しかった過去があるゆえに豊かさを求めて
収入の多い税務弁護士の仕事をしていた主人公が
貧しい時代に助けてくれた恩人の息子を冤罪から救うために
人権派弁護士へ転身。

権力を怖れず立ち向かっていく姿を描いた映画『弁護人』。
韓国での上映から2年。やっと日本で見ることができる。

あらすじ

高卒で司法試験に受かり判事になったが、1年後には弁護士に転身したソン・ウソク。
学歴もコネもないウソクは、弁護士が行うことにまだ許可が下りたばかりで
誰も手を付けていなかった不動産登記業務に目を付け、
釜山一の税務弁護士へとのし上がっていく。
ある日、馴染みのクッパ屋の息子・ジヌが公安当局に突然逮捕されたと知る。
自分の専門分野ではなかったが、大恩あるジヌの母親・スネからの懇願を受け、
拘置所へ向かうが面会すらできない。
ようやく会えたジヌは、衝撃的な姿だった。
すっかり痩せ細り、顔や身体には無数の痣が出来ている。
ウソクは拘置所での取り調べに不信感を抱き、ジヌの無実を証明しようと立ち上がる。

実話をべースに描かれた社会派作品

軍事政権下の韓国で、1981年9月に実際に起きた冤罪事件
「釜林(プリム)事件」をモチーフにしている。
全斗煥(チョン・ドファン)政権に反対する民主勢力を抹殺するために、
社会科学書籍を勉強した釜山地域の学生と会社員など19人を逮捕し拘束した事件だ。
民主化の流れを突然塞き止めた軍事政権は
大学生に嘘の容疑をかけて犯罪をでっち上げ、
逮捕状なしで逮捕後、長時間の拘束と自白の強要を行った。

この事件の被告側弁護士は盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領。
政治家になる前の人権派弁護士時代の彼をモデルに
本作が長編映画デビューとなるヤン・ウソク監督が映画化。
この事件が無ければ政治家・盧武鉉(ノ・ムヒョン)も存在しない。

冷戦下の韓国でどんな出来事があったのかを
知ることができる作品だ。

 

韓国の80年代の社会の仕組み

日本では弁護士は司法書士が行う仕事についてはすべて行えるが
韓国では不動産登記業務については
この時代に認可されることになった。
現在、韓国では司法書士のことは「法務士」というのだとか。
この当時の呼び名の方が日本人にはしっくり来て
違和感なく見ることが出来るだろう。

 

ソン・ガンホの圧倒的演技力

主人公ウソクを演じたのは『シュリ』、『観相師』など
韓国映画界の名優ソン・ガンホ。
貧しさ、庶民の心を知る男の変化を見事に演じる。
軽さも重みも持ち合わせたその演技力には
唸らされる。
一人の男の生き方が変わる一瞬を見逃してはならない。
後半の法廷シーンは圧巻だ。

主人公ウソクの正義の心に火をつける
ジヌ役はアイドルグループ「ZE:A」のイム・シワン。
『太陽を抱く月』のホ・ヨム(子役)、
『HOPE~期待ゼロの新入社員~』の原作となった『未生~ミセン~』の主演
とドラマで活躍しているが本作はスクリーンデビューとなった作品。
拷問を受けたジヌの姿を見事に演じている。

韓国で大ヒットした作品が満を持しての公開

封切り前には偏見や誤解もあった本作だが
2014年に韓国で公開されると
1,100万人を超える動員をし、年間興行収入第4位という大ヒットを記録した。
さらに、韓国最大の映画祭・第35回青龍映画賞で最優秀作品賞・男優主演賞ほか、
数々の映画祭で賞を獲得した。

 

弁護士の本懐とは何か。
歪んだ司法の中で一人の男が突き進む。

映画『弁護人』(http://www.bengonin.ayapro.ne.jp/)は
11月12日より新宿シネマカリテ他全国順次公開。
名古屋地区では12月17日よりセンチュリーシネマで公開。

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