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『あした、授業参観いくから。』+安田真奈監督ショートフィルム選 シアターカフェ 舞台挨拶レポート
2022/05/02
『あした、授業参観いくから。』+安田真奈監督ショートフィルム選 が4月30日からシアターカフェで始まった。初日舞台挨拶13時の回の様子をお届けする。
安田真奈監督(以下 安田監督)
「監督、脚本を務めました安田真奈と申します。本日はありがとうございます。『あした、授業参観いくから。』は片岡礼子さんという素晴らしい女優さんに出演していただきました。2021年の9月下旬に撮って、10月下旬に仕上げて。年内にとりあえず3日間限定上映を…と、大阪のシアターセブンで12月半ばにかけていただいたところ、すぐ完売したんですね。4回延長されて2月まで上映となり、その後、神戸元町映画館、名古屋シネマテーク、愛媛シネマルナティック、そして東京K’scinemaで上映していただきました。23分の短編が単独で上映されるのは珍しいことなんですが、たくさんの方に口コミ応援をいただいたおかげで、多くのご来場がありました。本日の名古屋アンコール上映も、13時、15時ともに満席ということでありがとうございます。この映画は、観た後に家族や親子について語り合える作品にしたいな…と企画しました。「あした、授業参観いくから」「えっ」「何よ」などという、同じ七つのセリフを五人の生徒の家庭で繰り返してます。このセリフは、演技や脚本のワークショップでよく使ってるんです。全く同じセリフでも、ト書きを変えたり、キャラクター設定を変えたりすると、全然違ったシーンになります。さらに撮影すると、撮り方や照明、音楽、効果音でも、描きわけが深まります。ワークショップを重ねるうちに、「この七つの台詞を繰り返すことで、色んな親子のカタチについて考えさせられる短編映画ができるなぁ」と思いつきました」

安田監督
「今日は『あした、授業参観いくから。』の武村カメラマンがいらしてます。どうぞ。パナソニックの店の60秒CMを7本撮っていただきました。兵庫県加古川市の青春映画『36.8℃ サンジュウロクドハチブ』と、小芝風花さんが近大マグロをアツく育てる青春映画『TUNAガール』でも、ご一緒いただきました」
武村敏弘カメラマン(以下 武村さん)
「はい。授業参観の撮影は、時間的にタイトでしたよね」
安田監督
「撮影は3日間、片岡さんのご参加は2日間でしたね。よく印象的と言われるのが、授業参観日の長回しのカットです。あれは武村さんからの提案でしたよね」
武村さん
「5つの家族が、それぞれの思いで教室に集約する。この物語の本質みたいなシーンだと思ったので、雰囲気を切らずにワンカットで行かせてくれ、と監督にお願いして」
安田監督
「あの長回しは、事前にリハができて良かったですね。衣装合わせで親子キャストが学校に集合できたので、教室で実際皆さんに動いてもらって。キャストにはこう動いてもらおう、カメラはこう移動しよう、と」

武村さん
「ハイスピード撮影でスローモーションにしているので、ほんの一瞬、人物の動くタイミングが遅れるだけで、間が空きすぎてしまうんです。そうならないよう、助監督さんに、動く合図を出すタイミングを詰めてもらったりしました。最終的にはいい感じで収まったかなと」
安田監督
「長回しの提案を受けて、私の方でも、じゃあスピードの変化をつけよう、音の演出を足そう、などとイメージが膨らみました。とても楽しかったです」
武村さん
「それぞれの家庭にちょっと色をつけたい、と、カラーライティングもさせてもらいました。最後のシーンは、片岡さんの芝居が引き立つように、一歩引いたところから見つめるつもりで撮りました」
安田監督
「本日は『こじらせて屋上』という8分のショートムービーも上映しました。この映画については、武村さんは、プロデューサー兼カメラマンなんですよね」
武村さん
「はい。こちらは、寒い屋上で、1日で撮影しましたね」
安田監督
「『あした、授業参観いくから。』のロケでも使われた、神戸市のふたば学舎という素敵な元校舎です。1月の、めちゃめちゃ風の強い日でした」
武村さん
「雪も降りましたね。屋上に置いてあるものが風で飛んでしまうので、貼りつけたり(笑)」
安田監督
「そうでした(笑)。『こじらせて屋上』主演の方も今日ここにいらっしゃるので、ご紹介します。渡辺綾子さんです。どうぞ。撮影の時の感想など、お願いします」
渡辺綾子さん(以下 渡辺さん)
「今日はお越しいただきありがとうございます。撮影の感想。そうですね。寒かったです(笑)。私は映画にメインキャストとして出演するのが初めてぐらいで」
武村さん
「違う映画を撮影しているときに、渡辺さんがお猿さんの役で来られてたんですよ」
渡辺さん
「全身着ぐるみで」
武村さん
「何匹か猿がいた中で、ええ芝居してくれてたんです(笑)。で、休憩時間に話しかけて」
渡辺さん
「舞台での活動経験はあったんですが、映画の出演はあまりない、やりたいんです、と話したら、あれよあれよという間に話をすすめてくださって」

安田監督
「武村さんから、個性的でイイ雰囲気の女優さんがいる、ショートムービーを撮りませんか、と誘われました。綾子ちゃんがちょっとオモロくなるような物語を…と、3人でzoomを使って相談しましたね」
渡辺さん
「俳優って、出来あがった台本を渡してもらって、それから役作りすることが多いんです。けど、お話を考えるところから参加したんで、自分の作品!という感じがしました」
安田監督
「寒い中、お疲れ様でした。共演の、側転をしている女の子は坪内花菜ちゃん。『あした、授業参観いくから。』では、お父さんと二人暮らしの子です。映画『大阪少女』の主演もされています」
安田監督
「今日は8ミリ映画などの旧作も上映しました。会社員をしながら自主映画を撮っていた頃のものです。『忘れな草子』『イタメシの純和風』『something interesting』は、音楽も自分で作っています。既成の曲だと、地味な作風に合わないし、著作権使用料を払うのも大変なので、自分で作るようになりました。ただ、シンプル曲しか作れないので、その後はよく、原夕輝さんに作曲していただいてます。『幸福(しあわせ)のスイッチ』『TUNAガール』『あした、授業参観いくから。』も、原さんです。『こじらせて屋上』はミキクワカドさん作曲です」
渡辺さん
「『忘れな草子』って安田監督が出られていますよね?」
安田監督
「1997年頃の作品だから、四半世紀前…。おそろしいですね(笑)。最後に、『こじらせて屋上』初めての上映ですが、感想をどうぞ」
渡辺さん
「アットホームな会場で、観に来ていただいた方から直接反応をいただけて、すごく嬉しかったです。ありがとうございました」

左 武村敏弘カメラマン 中央 渡辺綾子さん 右 安田真奈監督
『あした、授業参観いくから。』+安田真奈監督ショートフィルム選
最新短編含む5作品計78分
『あした、授業参観いくから。』
『こじらせて屋上』
『忘れな草子』
『something interesting』
『イタメシの純和風』
スケジュール:4/30(土)~5/6(金) 注:火水定休
連日13時/15時
料金:1000円+1ドリンク(600円~) 定員:19名
予約、詳細はこちら
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