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映画『北風アウトサイダー』名古屋舞台挨拶レポート
大阪府生野を舞台に日本で生きる在日朝鮮人家族を描いた『北風アウトサイダー』が2月26日(土)より名古屋・名演小劇場で公開が始まった。公開記念舞台挨拶が行われ、プロデューサー・脚本・主演を担当した崔哲浩さん、キャストの永田もえさん、田中あいみさん、許秀哲さんが登壇した。その様子をお届けする。
崔哲浩監督
「監督、プロデューサー、そして17年間失踪していたヨンギを演じました崔哲浩と申します。本日はお忙しいなかご来場くださいまして誠にありがとうございます!では、役者を呼びたいと思います」
永田もえさん
「今日は朝早くからご来場くださいまして誠にありがとうございます。オモニ役を務めさせていただきました。永田もえです。本日はよろしくお願いいたします」
崔哲浩監督
「映画の中ではすごく年をとってみえますが、本物はちょっとだけきれいです(笑)」
田中あいみさん
「チョロの妻、朱美役をやらせていただきました。田中あいみと申します。本日はよろしくお願いいたします」

田中あいみさん
許秀哲さん
「北朝鮮工作員役を演じました許秀哲です。本日はよろしくお願いいたします」
崔哲浩監督
「今回映画ではオモニ役、朱美役、北朝鮮工作員役で頑張っていただきましたが、実は裏のスタッフも手作りですべて自分達でやっております。オープニングの葬儀のシーンの後ろの壁も自分達で作りましたし、料理も自分達で作って、キャストも裏方も兼任してこの映画を作りあげました。永田さんはスクリプターでしたね」
永田もえさん
「そうですね、日本語でいうと記録担当です」

永田もえさん
崔哲浩監督
「カメラの横で何をしていたんですか?」
永田もえさん
「カメラの横でシーン毎に繋げるときにどこがどこのシーンというようにナンバーがあるんですが、それをすべて記録しましたし、レンズのサイズもすべて記録していくという仕事で、本当に最初から最後までカメラの側にいましたね」
崔哲浩監督
「田中さんは製作主任です。映画に何百人も出ていただいているので、各事務所さんに連絡したり、スケジュールを作ったり、ありとあらゆることを寝ずに頑張ってくれました。そんな形で、7カ月かけて撮った映画です。思い出のシーンを聞いてみたいと思います」
永田もえさん
「最初から最後までずっと現場にいさせてもらったので、思い出は溢れんばかりあるんですけれども、私が演じました役のことに関して申しますと、順番通り映画を撮るというのはなかなか難しいんです。オモニのシーンで、一番はじめに撮ったのが、子ども達が幼少期の、オモニの気がふれたシーンだったんですが、いきなりテンションを上げるというのは難しくて、時間をいただくことになったんですが、周りのスタッフ、キャストのみんなが支えてくれて、演じきったんです。その時に子ども達が怖がってしまって(笑)。心苦しいですけど、役者としては自分の中で頑張ったなと思えるシーンでした。今も子ども役の子達とは仲良くさせていただいていますので、根はいい人だと思っていただければ(笑)」
崔哲浩監督
「永田さんはこの辺出身でしたっけ?」
永田もえさん
「そうですね。三重県四日市市出身で、大学は愛知県に通っていました」
崔哲浩監督
「田中さんにも聞いてみたいと思います。今回役柄は非常に複雑だったと思うんですが、役作りをするにあたって考えたことや、意識したことはありますか?」
田中あいみさん
「はい。私はチョロの妻であり、養子の奈美を子どもに持つ親としてどう向き合っていくかというところで、まず3人で仲良くならなきゃいけないと思いまして。3人でホルモン屋さんに行って、奈美役の秋宮はるかちゃんには私のことをママと呼ぶことにしてもらって、チョロ役の伊藤航さんはパパと呼ばれて。私たちははるかちゃんのことを奈美と呼んで、敬語ではなく、タメ口で話そうと約束しました。3人でスタッフとして製作をやっていたので、朝一番に来てみんなのお茶を作ったりとか、一番最後までいて鍵締めをしたりとかずっと一緒にいたもので本当に3人は家族という感じに思えるようになってきて、最後の方のシーンでチョロが暴力を振るってしまうシーンでは一緒にずっとやってきたはるかちゃん、私の子どもである奈美が愛しているチョロに殴られた時は本当に苦しかったです。思いが入りました」
崔哲浩監督
「7カ月長期間でしたが、衝撃的だったこととか何かあれば教えてください」
許秀哲さん
「皆さんは7カ月ですが、僕は10日間だったんです」
崔哲浩監督
「許秀哲さんはオーディションで選ばれた役者さんなんです」
許秀哲さん
「当初僕は結婚式のお祝いをする友人の役でオーディションに受かったんですが、その現場に行った初日にまだ撮影も何も始まってない段階で監督に急に呼ばれまして。「おい、秀哲、役変える」と言われまして。「えっ!?何の役ですか?」「これ、やってくれ」と。僕は結婚式でハッピー全開のつもりで行ったのに、「そっちですか? 」というツッコミが本当にあって。ただおかげさまで、セリフもいただけて、流暢な朝鮮語でカッコよく話せましたし、その話はありがたく思っています」

許秀哲さん
崔哲浩監督
「現場でいきなり役を変えられたことってあります?」
(手を挙げたのは崔哲浩監督と許秀哲さん)
崔哲浩監督
「あれ、2人だけ?ありますよね、結構」
永田もえさん
「あっても楽しいですよね」
崔哲浩監督
「監督が意図することで変わります。許さんの場合は、友人役だともったいないなあと思って。降ってきたんですよ。殺す側に回るという」

崔哲浩監督
永田もえさん
「ハッピーからアンハッピーに回ったのは苦しかったかもしれませんね」
許秀哲さん
「いえいえ、そんなことはございません(笑)。監督の見る目があったということで」
崔哲浩監督
「割とほめられるのが好きなタイプなので、もっとほめて(笑)」
崔哲浩監督
「『北風アウトサイダー』は2月11日から東京新宿を皮切りに大阪のなんばパークシネマ、満を持してこちらの名演小劇場様での上映が始まりました。個人的にも思い入れがすごくあるところに来させてもらって、朝から緊張してテンション上がって昨日の夜は眠れなかったんです。皆さまにお願いがございます。皆様に舞台挨拶終了後にポスターに感想を書いていただきたいんです。この映画は人と人とをつなぐ映画で、コロナ禍の中で我々が何をすべきだろうと考えて1年かけて作りました。 公開もこうやって第6波があるときに始まりましたが、人との絆は大事なんじゃないのかなという思いもこめて作りましたので、何でもいいので感想を書いていただきたいです。これを全国の映画館で繋いでいってホームページに掲載していきたいと思っています。よろしくお願いいたします。またSNSで#北風アウトサイダーとつけて感想や今日の舞台挨拶を拡散していただけたらありがたいです。ありがとうございました!」
映画『北風アウトサイダー』 https://www.kitakaze-movie.com は現在名古屋・名演小劇場で公開中
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