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あの頃の自分を重ねて(映画『明け方の若者たち』)

Twitterでの“妄想ツイート”が話題となり、140字で人々を魅了し続け、獲得したフォロワーは14万人以上、10〜20代から圧倒的な支持を獲得した作家、カツセマサヒコのデビュー作を映画化した『明け方の若者たち』が12月31日から公開される。

あらすじ

ある夜の出会いは沼のような5年間の始まりだった。

東京・明大前で開かれた学生最後の退屈な飲み会。そこで出会った<彼女>に一瞬で恋をした<僕>。下北沢のスズナリで観た舞台、高円寺で一人暮らしを始めた日、フジロックに対抗するために二人で旅をした7月の終わり。自分の世界が<彼女>で満たされる一方で、社会人になった<僕>は「こんなハズじゃなかった人生」に打ちのめされていく。息の詰まる会社、夢見た未来とは異なる現実。夜明けまで飲み明かした時間と親友と彼女だけが、救いだった。

でも僕は最初からわかっていた。いつか、この時間に終わりがくることを……。

主人公の<僕>を演じるのは『君の膵臓を食べたい』や『東京リベンジャーズ』の演技も注目された北村匠海。<彼女>にのめり込みながら、退屈な社会人生活を送る<僕>を体現する。飲み会で<僕>が一目で恋に落ちる<彼女>を演じるのは、2022年放送開始予定のNHK連続テレビ小説『ちむどんどん』でヒロインを務めることが発表されたばかりの注目の女優、黒島結菜。<彼女>は<僕>のタイプドストライクの魅力と美しさを兼ね備え、恋と仕事そして何か秘密をまとっている。

新入社員の<僕>の同期で後に親友となる<尚人>役には、数々のドラマや映画で活躍の場を広げ、映画『Bittersand』主演の記憶も新しい、人気急上昇中の俳優・井上祐貴が抜擢された。高いポテンシャルと意識を持ち、優秀であるにも関わらず、希望とは程遠い部署に配属される<尚人>。同じく現実と理想のギャップに悩む<僕>と思いを分かち合い、支えていく。

監督は幼少より子役として活動する傍ら、中学2年より映像制作を始め、『脱脱脱脱17』が注目されて以降、映画、ドラマを精力的に手掛ける若き映画監督・松本花菜。

キャスト、監督が原作者のカツセマサヒコが描いた若者たちと同じ年をリアルに生きている年代であり、その生き方、心の中を繊細に表現していく。

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何か懐かしいあの頃の記憶

20代前半は模索の時代だ。あれからずいぶん時が経っても、私は今も模索中だ。年をとればとるほど模索している気もする。10代で描いてきた夢はそう簡単には叶わないことを20代で知らされる。でもどこかあきらめもきかないまま、わかっているけれど、今も自分が夢見た世界から離れることも出来ずに生きている。

将来を夢見て、そのまま自分の夢を叶えられる人はほんの一握り。大手企業に就職出来た=勝ち組ではないことを<僕>は身を持って知ることになる。そんな<僕>の支えは一目惚れした<彼女>。愚痴も聞いてくれて、癒やしもくれる彼女にどっぷりと浸かる。まだまだ大学から継続したモラトリアムな生活を続けているようにも見える。「就職しても青春は続く」という<僕>と「何だっていつかは終わるよ」と言う<彼女>。二人の時間が大切に描かれるからこそ、<僕>が最初から分かっていたが見ないようにしていた「いつかは終わる現実」の正体に驚く。<僕>の友人で同僚である<尚人>は<僕>と同じく自身の思いとは違う部署に配属されたが、<僕>とは違う生き方を選択をしていく姿も描かれる。

<僕>と<彼女>と<尚人>。三者三様の生き方の中に共感できるものを感じるだろう。

知らない大人の常識が若者たちを待ち受ける。楽しいことだけでは生きていけない。自身の理想と矛盾する現実のギャップにどう折り合いをつければいいのかがわからなかったあの頃。

山中崇演じる<僕>の上司に、割り切って生きている大人の姿を感じるのだが、私はそこに一番共感出来てしまった。やはり若くはないらしい。懐かしさとあの頃にはもう戻れないという寂しさも感じた。そう、この作品は確実に観ている人の年代によって思うことが違う作品になるはずだ。

私にとっては「あの頃」の自分と「今」の自分がいた。きっとあなたもいつかの自分を見るに違いない。

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夜の街の浮かび上がるライトや夜明けの空。私たちが知っているあの思い出の中の色。

あなたは今を生きている若者ですか?
それともあの日を生きていた若者ですか?

好きな人と好きな音楽と。そして朝まで飲み明かしたあの日。
観ながら自分の思い出が自然と重なるだろう。

映画『明け方の若者たち』http://akegata-movie.com は12月31日(金)より全国公開。東海3県ではミッドランドスクエアシネマ、センチュリーシネマ、ユナイテッド・シネマ豊橋18、イオンシネマ岡崎、TOHOシネマズ(木曽川、赤池、東浦、津島、モレラ岐阜)、ミッドランドシネマ名古屋空港で公開。

北村匠海 黒島結菜 井上祐貴
楽駆 菅原健 高橋春織 三島ゆたか 岩本淳 境浩一朗 永島聖羅 わちみなみ 新田さちか 木崎絹子 田原イサヲ 寺田ムロラン 宮島はるか
佐津川愛美 山中崇 高橋ひとみ 濱田マリ
監督:松本花奈 脚本:小寺和久 原作:カツセマサヒコ「明け方の若者たち」(幻冬舎文庫)
主題歌:マカロニえんぴつ「ハッピーエンドへの期待は」(TOYS FACTORY)
制作:「明け方の若者たち」製作委員会 カツセマサヒコ・幻冬舎 「明け方の若者たち」製作委員会
制作プロダクション:ホリプロ
製作:「明け方の若者たち」製作委員会
配給:パルコ   R-15指定
カツセマサヒコ・幻冬舎/「明け方の若者たち」製作委員会

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