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アスファルト

EntaMirage! Movie

団地の中のささやかな出会い 映画「アスファルト」

2016/09/28

アスファルト(Asphalte) フランスのある団地でのお話

あらすじ

修理代を払いたくないと言ったスタンコビッチは修理した後、エレベーターを使うなと言われた矢先
アクシデントで車いすの生活になってしまう。
内緒でエレベーターを使いつつ、
車椅子に乗っていても一人で買える自販機がある病院に向かう。
そこで夜勤の看護師という女性に出会うのだった。
母親はいるが家になかなか帰ってこないため一人で暮らす映画好きな青年シャルリ。
部屋の向かいに引っ越してきた母親ぐらいの年齢の女性が気になる。
あるきっかけで部屋を出入りするようになり、
彼女がかつて活躍していた女優だということを知る。
息子と訳あって別れて暮らすマダム・ハミダ。
自分一人では部屋の水漏れも直せない。
ある日、屋上に不時着したNASAの宇宙飛行士が突然やって来て
迎えが来るまで自分の部屋に住ませることになる。

団地の小さな物語

マンションなどの共有物件の大きな改修や修理をするには日本では5分の4の賛成が必要だ。
なかなか年季の入ったアパートでエレベーターの改修をどうするかを多数決で選ぶ光景は
フランスでもあるのだと冒頭感じながらこの映画の世界に入っていった。

阪本順治監督の『団地』、是枝裕和監督の『海よりまだ深く』と日本でも団地を舞台にした映画が
続けて公開になっているが今回はフランスのある地方の古びた団地が舞台だ。
懐かしさを感じる建物がそこにある。
雨で変色してしまった壁、されたままの落書き、
そして何をしているのかわからない青年たち、
気にはなるけど関わりたくないから知らぬふりをする外で聞こえる音。

団地とは一つの世界だ。
この作品は一つの世界であるアパートの様々な人々の生活を映しだす。

団地という場所で3つの話が描かれる。
一人で暮らしていた男女3人の元にやって来た男女3人。
出会いとは様々な変化を起こす。
エレベーターのように上がったり下がったり。
台詞で語られないことも多い。
だが、だからこそ面白い。

「え、どうしてそれで車椅子生活になっちゃうの?」
「なぜこんなところに宇宙飛行士が不時着するの?」
不思議な設定はいっぱいあるのに結局それを受け入れて最後まで見せてしまう力が
この作品にはある。
サミュエル・ベンシェトリ監督の世界観がたまらない。

アパートというのは同じ部屋の間取りが多い。
だからカメラアングルを同じ位置に据え、違う部屋を映しだしている光景が非常に面白い。
部屋の手狭さも感じられるカメラサイズ。

ジャケ買いという言葉がある。
今回はチラシ買い。

アスファルトメイン

 

 

この光景がいったいどこで起こるのかは見てのお楽しみ。
チラシではわからない、偶然の出会いで生まれる温かいストーリーが描かれている。

作品情報
・アスファルト(→公式HP
監督:サミュエル・ペンシェトリ
出演:イザベル・ユベール ギュスタヴ・ケルヴァン タサディッド・マンディ ジュール・ベンシェトリ マイケル・ピット他
現在公開中
名古屋地区は9月24日(土)より名演小劇場で公開

-EntaMirage!, Movie

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