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映画『明日を綴る写真館』名古屋公開記念舞台挨拶レポート 平泉成さん、佐野晶哉さん、秋山純監督登壇!
映画『明日を綴る写真館』の公開記念舞台挨拶が6月8日(土)に名古屋ミッドランドスクエアシネマで開催された。80歳で初主演の平泉成さんの地元愛知県で行われた舞台挨拶。平泉成さん、佐野晶哉さん(Aぇ! group)、秋山純監督が登壇したトークの様子を一部お届けする。
映画『明日を綴る写真館』平泉成さん インタビューはこちらから
Q.皆様から一言ずつご挨拶をお願いします。
平泉成さん(以後 平泉さん)
「映画、どうでしたか?温かい涙をいっぱい流してくださったと思います。 俳優になって60年、脇役をずっと続けてきましたけれども、今回80歳で生まれて初めて映画の主役をやらせていただきました。嬉しかったですね。「継続は力なり」という昔からの言葉がありますが、続けてみるものですね。どんなことでもきっと何か続けていれば、何かいいことがあるんですね。今回はつくづくそう思いました。ありがとうございます」

平泉成さん
佐野晶哉さん(以後 佐野さん)
「太一役を演じさせていただきました、佐野晶哉です。この映画を観るのは今日が初めてという方(たくさん観客から手が挙がる)。おお、すごい。ありがとうございます。2回目、3回目、4回目以上だよって人は?あ、1人になった。何回目ですか?4回目!すごい。ありがとうございます。公開2日目で、もうこんなにたくさんの人に観ていただけてほんとに幸せです。成さんの初主演映画が昨日から始まり、今日明日と末永く愛していただけるように、また今日からも頑張っていきますので、今日は短い時間ですがよろしくお願いします」
秋山純監督(以後 秋山監督)
「監督を務めさせていただきました、秋山純です。毎日言っていますが、成さん本当におめでとうございます。成さんのポリシーとして、主役はやらないと今の佐野くんぐらいの年の時から決めて、ずっとやってきて、60年。成さんに電話して、「主役やりませんか?」 と言ったら、本を読んでくださって、その後で、「お前が言うならやるよ」と言ってくださった時本当に嬉しかったです。それから半年です。半年でこんなにたくさんの方に観ていただいて、こんな満席で感無量です。今日は本当にありがとうございます」

秋山純監督
Q.撮影時の思い出のエピソードありますか。
佐野さん
「岡崎はとてもいい場所でしたね。撮影が終わってから夜中に助監督さんと2人でカメラを1つずつ持って散歩へ出かけまして、 岡崎の夜景とかを撮り回っていて、気づいたら岡崎城が目の前にありました。岡崎城はきれいですよね。岡崎城の写真を撮って帰ってきて、ホテルのロビーでパソコンに画像を映してこの設定だとこんな風に見えるんだという感じでカメラ修行をしてもらっていたんですが、本当にどこを切り取っても絵になるようなまちで素敵でした」

佐野晶哉さん(Aぇ! group)
Q.今回平泉さんも写真が趣味ですから、たくさん撮られたのではないですか?
平泉さん
「そうですね。今回いっぱい撮りました。話題に全く関係ないですが、これ(ネクタイを持って) 昨日、佐野くんから80歳の誕生日祝いにいただきました」
佐野さん
「おめでとうございます。でも、脈略がなさすぎます(笑)。これ何カラーって言うんでしたっけ?昨日も言ったし、もう覚えたでしょ」
平泉さん
「なんちゃらカラー。いや、最近セリフが覚えられなくなってきたから(笑)」
佐野さん
「メンバーカラーね。僕のメンカラである緑のネクタイをプレゼントしまして、昨日も今日もつけていただけてありがとうございます!」
平泉さん
「ほんとにありがとうございます。HERMÈSの素敵なネクタイ」
佐野さん
「僕としては平泉の"H‟のつもりなんですけどね(笑)」

平泉さん
「佐野くんは本当に気遣いの人で素敵ですよね。涙というのは冷たくて悲しいものだと思っていましたが、今回の映画で涙はあったかいものなんだなということを知らせてもらいました。監督がこういう映画を作ったので、あったかい涙をいっぱい流してくれたら嬉しいなと思っています」
Q.大ベテランの平泉さんとご一緒されていろんな刺激を受けられたと思います。ほとんどお2人一緒だったと思うのですがいかがでしたか?
佐野さん
「撮影の期間はずっと成さんと2人で、撮影の合間も2人で話させてもらう時間が多かったんですが、オープニングの川辺で成さんが写真を撮っているシーンは、フィルムカメラを前日に成さんが自分で選ばれて。そのカメラのフィルムを巻く右手の部分が錆びていたので結構硬くなっていて動きにくかったんですが、「ちょっと今日、俺の部屋に持って帰っていいか」と言われて。その日解散したのがもう夜中12時を過ぎて遅い時間で、 次の日の朝は6時集合だというのに、次の日の朝にはもうすごいプロの手つきになってはって。成さんその時、79歳です。僕から見たら58年先輩の成さんがこんなストイックな生活されているんやということが、改めてですが、勉強になりましたし、衝撃でしたね」
Q.平泉さんは趣味でもカメラを触られているので、やっぱりそういうところは気になるわけですね。
平泉さん
「今はデジタルカメラですけどね、昔はフィルムのカメラなんですよ。今はこうやって押せば全部写っちゃうんですが、 昔はフィルムを1回ずつ巻いて。それでピントをきちっと合わせて。それから撮る。これが大変な作業で。プロカメラマン役ということで、これを瞬時にできるようにちゃちゃちゃっとやりたいと思って必死で練習していたんです。実際に過去には使っていましたが、改めてちゃんと練習しないとプロカメラマンの腕が見せられないなと思って、必死になって練習してなんとかなりました」

Q.秋山監督は成さんの趣味がカメラということはご存知だったんですか?
秋山監督
「成さんにはもう30年以上お世話になっているんですが、佐野くん、成さんとご一緒した『20歳のソウル』という映画の時に成さんが主人公のおじいさん役で、写真館の親父さんの役だったんです。尾野真千子さんとのシーンもあったんですが、僕らは用意して、撮ろうと思うんですが、うちのカメラマンの百足カメラマンと2人で喋り出したら1時間止まらなくて。もう世間話1時間、本番10分(笑)。そんなにカメラが好きなんだと思いまして、成さんが主役になる写真館の親父の話って何かないかなと探したんですよ。そして、あるた先生のこの原作に出会いました。だから成さんの趣味から生まれた企画なんです」
Q.佐野さんは、もう趣味がカメラになりつつあるんですか?
佐野さん
「なりつつあるというか、この作品で完全に趣味になりました。この撮影に入る半年前に監督から「こういうカメラマンの役がある。佐野くんにやって欲しい」というようなメールを直接いただいて。その1月前ぐらいにたまたまカメラを買ったんです。ニコンのZ fcというカメラで、プライベートで友達とかと旅行に行く時に持っていったりして、カメラ好きになりつつあった時に監督から連絡をいただいて、カメラマンの役やったらちょうどカメラが最近好きになりだしているし、ちょうどいいわと思っていたんです。そのひと月後ぐらいに五十嵐太一のメインカメラが決まりましたといって送られてきたカメラが、ニコンのZ fというほぼ僕が持っているのと同じ機種で。びっくりしました」
秋山監督
「デニムの、インディゴブルーという今なかなか買えない機種です。佐野くんが撮った写真は実際に使っているんですよ。エンディングで写真がいっぱい出てくるじゃないですか。最初の1枚は佐野くんが「カメラを貸して」と言って撮ったあの1枚なんです」
佐野さん
「成さんが撮った写真もいっぱいあるんですが、フィルムなので」
平泉さん
「フォーカスを合わせるのに時間がかかるし、フォーカスを合わせている間に芝居をしなければいけないので、プロだからサッと合わせなきゃいけないけど、時間がかかって芝居の時間が伸びてしまうので、合ってなくても合ったふりをしてお芝居するんです」
佐野さん
「成さん、百戦錬磨ですから(笑)」
Q.先ほど佐野さんのことを平泉さんは気遣いの方とおっしゃっていましたが、俳優としての佐野さんはいかがでしたか?
平泉さん
「豊かな感受性と、やっぱりこのスタイルがいいですよね。僕はここにちょっと緊張して立っているんですよ。でも佐野くんはリラックスしている。このリラックス感がいいんですよ。この自然なスタイルがいい芝居を生んでいるんです。緊張しちゃったらだめ、固めちゃったらダメなんです。この柔らかさで、ここに風が吹いてきたらね、その風を感じられる柔らかさをいつも持っているんです。相手がぱっと芝居を変えて投げてきても、すっと受けていけるんですよ。役者としても本当に素晴らしいです」
佐野さん
「うわー、嬉しい!」
Q.監督も佐野さんへは2回目のオファーということになりますね。
秋山監督
「地元が一緒で後輩でもあるので、デビュー前からずっと注目していたんですが、最初に佐野さんがお芝居を一緒にしたのが佐藤浩市さんなんです。最初はかなり緊張感のある中での芝居になって。そのあと佐野くんに1冊本をプレゼントしました。「シネマトグラフ」という本で、演じるな、存在せよというちょっと難しい本なんですが、佐野くんはその日に2回読んできて。次からもうどんどんよくなるんですよ。だから、浩市さんが第1師匠で、平泉成さんが第2の大師匠。本当に師匠に恵まれすぎているので、うまくならないわけがないんですよ」

佐野さん
「師匠と呼ばせていただいている方々がもう大先輩すぎて。緊張しますが、本当にたくさんのことを学ばせていただいています」
Q.佐藤浩市さんも友情出演されていますが、そのシーンは緊張されましたか。
佐野さん
「浩市さんのシーンが僕は一番ホッとしていました。成さんへの愛を持って登場されている友情出演の方々がすごい大ベテランの方々で。皆さん初めましてで、クランクインされるたびに緊張していたんですが、浩市さんだけは『20歳のソウル』の時に1回ご一緒して、そのあと1回食事に行ってそこでたくさんお話をさせてもらったので、浩市さんとの撮影の日はちょっとリラックスしてというか、ほぐれながらありのまま撮影できた感じがします」
Q.楽しいお時間はあっという間、そろそろお時間になりましたので、皆様より締めのご挨拶をいただきたいと思います。
秋山監督
「最近ちょっと息苦しいなと思うような世の中に満ちている悪意とか意地悪な心があります。それはもちろん僕らにもありますが、そうではないものもあっていいんじゃないかと思い、『明日を綴る写真館』を作りました。映画は刺激的なものも好きですが、こういう日常を描いていくものも作り続けなければいけないんじゃないかなと思っていて。成さんの80歳というこんな大切な時にご一緒できて、しかも佐野くんのデビューと一緒というタイミング。奇跡のようなメンバーが集まって、こうやって撮れたことも、この作品自体が世に出たいときっと思ってくださったのかなと思っています。最近ドラマとかで人物相関図がすぐ出てくるじゃないですか。こうやって見なさいという感じで出てくることがすごく好きじゃなくて。作品は観ていただいたら、もう作り手は関係なく、観てくださった方のものだと思います。だから観てくださった方が自由にどう解釈していただいても、それが正解で、皆さんの映画なので、皆さんの映画として2回目、3回目、4回目の方は、5回目、6回目と観てくださったら非常に嬉しいと思います。本当に今日はありがとうございました」
佐野さん
「成さんが芸歴60年、80歳にしての初主演というこのタイミングでこうやって相手役として撮影で一番長くご一緒できて本当に幸せでした。もう観てくださっている皆さんにはこの作品の温かさも十分伝わっていると思いますが、その温かさは脚本とかお芝居とかではなくて、成さんが一番前を走ってくださっていて、その成さんのためならと言ってついていく友情出演の豪華な大先輩の俳優さん、女優さん、声優さん、成さんの背中が大好きでついていく僕ら若手の面々、 成さん主演で撮りたいんやという愛情深い秋山監督とか、そういう素敵なチームだから温かい優しい涙を流せる素敵な映画が撮れたと思っています。今日の舞台挨拶を経て、成さんのチャーミングさを知った上で、もう1回観たらまた見方も変わってくると思います。何度も何度も味わって楽しんでいただいて、ぜひ観終わった後にちょっとお母さん、お父さんに連絡してみようかなとか、あの時のあの人どうしているかなとか、みんなの思い残しを晴らすいいタイミングになれば幸せです。これからもこの映画を愛していってください。本日はありがとうございました」
平泉さん
「秋山純監督の映画に対する情熱と愛情がこんなにも温かくて優しい映画を作ってくれました。私も愛知県出身ですからここでご披露出来たことを本当に嬉しく思います。今日は本当に皆さんありがとうございました」

映画『明日を綴る写真館』https://ashita-shashinkan-movie.asmik-ace.co.jp/ は現在ミッドランドスクエアシネマ他で全国公開中。
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