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3度目の実写シティーハンター、出来栄えは?(『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』)

2019/11/29

29日公開『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』は北条司原作の人気コミック『シティーハンター』の実写版だ。

『シティーハンター』は過去に何度か実写化されているのだが、残念ながら日本ではなく海外での実写化ばかりなのだ。

シティーハンターの主人公・冴羽リョウ(獣へんに尞、本文ではカタカナ表記で記載)は過去にジャッキー・チェン、イ・ミンホ(『シティーハンター in Seoul』)に演じられてきた。(補足:日本では『エンジェル・ハート』という『シティーハンター』のパラレルワールドがドラマ化されたことがあり、上川隆也がかなり完成度の高い冴羽を演じたが、『シティーハンター』ではないので、ここでは除外する)

そして、今回の冴羽リョウはなんとフランス製。顔にアジア系の雰囲気もなさそうだがどうなるのか?

フランスでの製作が日本で伝えられた時、「大丈夫なのか?」という反応がSNSでも多く見られたが、メインビジュアルが公開され、ファルコン(海坊主)の再現性の高さに、日本のシティーハンターファンの注目が高まってきていることを感じていた。

今年2月に公開された『劇場版シティーハンター<新宿プライベート・アイズ>』も観に行ったのだから見逃すわけにはいかない。

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フランスのシティーハンター、ビジュアルと笑いのセンスはアニメ寄り重視

XYZの伝言板、聞きなれたアニメ版のBGM、〇っこり、女好き、100tハンマーにカラスととにかくシティーハンターの世界が忠実に再現されている。

監督はフランス映画界の新世代クリエイター、フィリップ・ラショー。ラショーは自身が持つ笑いのセンスとシティーハンターの世界を見事に融合させ、日本のシティーハンターファンを楽しませてくれる。ラショーはフランスのテレビ番組で『NICKY LARSON』というタイトルでオンエアされていた『シティーハンター』や『ドラゴンボールZ』を見て育った世代。企画書とプロット、直筆の手紙を原作者の北条司の事務所に送付した。そのプロットを北条司が気に入り、ラショーが脚本を携え来日して映画化の権利を得たという。

北条司が原作に入れたかったというほどのストーリーは、シティーハンターを愛しているラショーと同世代の仲間たちだからこそ作り上げることが出来たと言える。ラショー自身で主演も務め、8カ月に渡る肉体改造そしてアクションの練習を重ね、ビジュアル部分を原作に近づけていった。2019年2月のフランスの公開では観客動員168万人を超える大ヒットとなり、フランスで日本のアニメ原作の映画が受け入れられた。そして2019年11月29日、いよいよ日本で公開される。

日本もシティーハンターイヤー C.H.Y.!

『シティーハンター』が週刊少年ジャンプで連載開始されたのは1985年。87年にテレビアニメもスタートし、シリーズ全140話、スペシャル作品3作、劇場公開作品3作が現在までに公開されている。1999年のアニメスペシャルから20年ぶりの新作が2019年2月に『劇場版シティーハンター<新宿プライベート・アイズ>』として公開され、興行収入15億を突破。アニメオンエア時代からのファンも新しいファンも巻き込んだ大ヒットとなり、10月30日にDVD&ブルーレイが発売された。また12月25日にはアニメ『シティーハンター2』のDVD-BOX発売も決まっており、根強い人気のある作品であることが証明されている。フランス版のシティーハンターはこの人気に乗って日本に上陸する。

気になるストーリーは

「XYZ」。ボディガードや探偵を行うスゴ腕の男・シティーハンター冴羽リョウ宛ての新しい仕事の依頼は依頼人ルテリエの父が開発した<香りを匂ったものを虜にする「キューピッドの香水」>を悪の手から守ってほしいというものだった。冴羽は全くその効果を信用しないため、ルテリエが自分につけた香水を冴羽に嗅がせ、一瞬にしてルテリエの虜にしてしまう。それでも信用できず、相棒の槇村香に吹きかけた香水の効果を確かめるため、香を歩かせた瞬間、現場を爆風が襲い、「キューピッドの香水」が奪われてしまった。香水の効き目を48時間以内に解毒剤で解かないとずっとそのままだと聞かされたリョウたちは香水を取り返すべく、奔走する。

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吹き替え版上映の声優陣は…

日本での上映は「デラックス吹替版」。日本でなじみのある役名で公開される(フランスでは冴羽リョウはニッキー・ラーソン。香はローラ・マルコーニという名で製作されている)

主人公冴羽リョウの声を担当するのは山寺宏一。前述した今年公開の『劇場版シティーハンター<新宿プライベート・アイズ>』で重要な役柄である御国真司を担当した山寺宏一はシティーハンターのテレビアニメ放映時に様々な役で毎回レギュラー声優として関わっていた。七色の声を持つと言われる山寺宏一の原点でもあるシティーハンターの主人公冴羽を洋画の吹き替えで数々の主人公を演じてきた山寺がどういった形で演じているのかは皆さんの耳で確認してほしい。

槇村香役はルパンⅢ世の峰不二子も担当している沢城みゆき。人気と実力を兼ね備えた沢城が伊倉一恵が長年担当してきたこの役を引き継ぐ。

アニメ版でずっとリョウを担当していた神谷明と香役を担当していた伊倉一恵も違う役で出演しているのでどの役なのかも探してほしい。アニメ版シティーハンターの声優陣も集結。海坊主ことファルコンを玄田哲章、槇村秀幸を田中秀幸、野上冴子を一龍斎春水が担当。人気声優の浪川大輔、多田野曜平、土師孝也も参戦。エンドロールで「え!この人も出ていたの?」と思う出演もあるのでどの役がそうなのかもう一度鑑賞して探してみるのも面白いだろう。

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日本のアニメが好きな人への隠し玉が

原作好きのファンには随所にツボに入る小ネタが冒頭からちりばめられているのはもちろんなのだが、フランスで作られたとは思えないほど、日本のアニメのネタが出てくる。日本のアニメがどれだけ海外で愛されているのか。それも感じることが出来た。ラショーの笑いのセンスはシティーハンターの世界観にぴったりで、コミックをそのまま再現しているわけではなく、映画としての新しい笑いのシーンになっている。日本で製作されたなら出来ないと感じるものであり、シュールな笑い、ストレートな笑いの両方が楽しめる。

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原作者の北条司が実写版を許すのはシティーハンターへの愛と再現性の高さ。北条司も絶賛したフランス発の逆輸入『シティーハンター』はコミックのシティーハンター、アニメ版のシティーハンター、そして過去に実写化されたシティーハンターへのオマージュとリスペクトが溢れんばかりの作品となっている。派手なガンアクション(香のノーコントロールな銃さばき、派手な建物破壊ももちろん含む)、お色気ネタ、お互い伝わらない切ない恋心。細かいディテールまでシティーハンターだった。観に行って損はないと原作もアニメも全部見た筆者が保証する。

シティーハンターおなじみのあの曲が流れた時の感動は『劇場版シティーハンター<新宿プライベート・アイズ>』の時と同じくらいの感動だった。
そしてまたコミックやアニメが観たくなる。年末年始にじっくりまた観賞したい。

映画『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』https://cityhunter-themovie.com/ は
11月29日(金)より全国公開

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