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まもなく公開。デンマークの第二次世界大戦末期を描く『ぼくの家族と祖国の戦争』

2024/08/14

名古屋で伏見ミリオン座やセンチュリーシネマを運営、国内の映画配給、宣伝事業も手掛けるスターキャットが海外配給事業にも参入、その第一弾が8月16日より全国公開、デンマークが舞台の『ぼくの家族と祖国の戦争』だ。

あらすじ

1945年4月、デンマーク・フュン島のリュスリンゲ市民大学の学長ヤコブが、現地のドイツ軍司令官から思いがけない命令を下される。ドイツ本国から押し寄せてくる大勢の難民を大学に受け入れろというのだ。想定をはるかに超えた500人以上の難民を体育館に収容したヤコブは重大な問題に直面した。それは多くの子供を含む難民が飢えに苦しみ、感染症の蔓延によって次々と命を落としていくという、あまりにも残酷な現実。難民の苦境を見かねたヤコブと妻のリスは救いの手を差しのべるが、それは同胞たちから裏切り者の烙印を押されかねない振る舞いだった。そして12歳の息子と交流のあったドイツ難民の女の子も感染症にかかってしまう。難民を救うべきか、祖国に従うべきか、家族は決断を迫られる。

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デンマークの第二次世界大戦末期をある家族を通して描く

第二次世界大戦末期、敗色濃厚となったドイツを脱出した20万人以上の難民が押し寄せ、デンマークは今だかつてない大混乱に陥っていた。当時のデンマークはナチス・ドイツの占領下に置かれており、受け入れを拒否する選択肢はなかった。第二次世界大戦での日本や東欧の出来事は様々な映画やドキュメンタリーで知っているが、少し離れた北欧・デンマークの出来事を今回この映画で初めて知った。現在、ウクライナやパレスチナ・ガザ地区での戦乱で住む場所を失い、彷徨う難民達のニュースを見ると、映画の中の世界は忘れられた過去ではなく、目の前の現実であることがわかる。

『ぼくの家族と祖国の戦争』は当事国であるデンマークの人々にとっても知られざる実話からインスパイアされた作品だという。デンマークにも戦争を描いた作品は沢山あるが、今まで敢えて触れてこなかった部分、ドイツ難民に焦点を当てた。デンマークで大きな反響を呼び、同国のアカデミー賞と呼ばれる2024年のロバート賞で5部門(観客賞、プロダクションデザイン賞、衣裳デザイン賞、メイクアップ賞、視覚効果賞)にノミネートされた。

12歳の少年セアンの視点を通して、ナチスドイツの占領下のデンマークの人々が描かれる。逃げてきたドイツ人に対する冷ややかな対応も、貧困や病気で倒れる人々に手を差しのべる人も確かに当時のデンマークに存在していた。自身もナチスを嫌っているが、非難されながらも困っている人々に手を差しのべる両親の姿や大学の人々の行動を見ていくうちにセアンの気持ちにも変化が訪れる。

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セアン役のラッセ・ピーター・ラーセンは子役とは思えぬ繊細な演技でストーリーを引っ張るが、驚くことに演技未経験で、この役をオーディションでつかんだという。

目の前に命に関わる苦しい状態の人がいたら。自分も反抗勢力と思われるかもしれないとわかっていながら手を差しのべたデンマークのある家族の姿を見ながら今の自分達を考える。世界でまた戦乱によって平和な生活が出来ない人々が増えている。同じ境遇になった時、自分ならどう動くのか。

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『ぼくの家族と祖国の戦争』https://cinema.starcat.co.jp/bokuno/ は8月16日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMA他で全国順次公開。東海3県では8月16日(金)より伏見ミリオン座で公開。

監督・脚本:アンダース・ウォルター
出演:ピルー・アスベック、ラッセ・ピーター・ラーセン、カトリーヌ・グライス=ローゼンタール

2023 年/デンマーク/デンマーク語・ドイツ語/101 分/カラー/シネスコ/5.1ch/英題:BEFORE
IT ENDS/日本語字幕:吉川美奈子
配給:スターキャット 宣伝:ロングライド

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