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いつでも直球勝負。おいしい給食はエンターテイメント!(映画『おいしい給食 炎の修学旅行』市原隼人さん、綾部真弥監督インタビュー)

ドラマ3シーズン、映画3作品と続く人気シリーズ『おいしい給食』の続編が映画で10月24日(金)から公開される。その名も『おいしい給食 炎の修学旅行』。時代は1990年代に突入。三年生の担任になった甘利田は生徒達と青森岩手への修学旅行に出掛ける。シリーズ初の校外研修で果たして甘利田はどんな食を堪能するのか。炎の全国キャラバンで愛知にやってきた主演の市原隼人さん、綾部真弥監督にお話を伺った。

Q.これまでたくさんの作品に携わってきた中でも『おいしい給食』シリーズは個性的な作品だと思います。演出や演技のアプローチで特にこだわっている点があれば教えてください。

市原隼人さん
「原作がない作品なので「こういう芝居やってみてもいいですか?」と、綾部監督に相談しながら色々な挑戦をさせていただいています。純粋にお客様のことや、コロナ禍を経ての作品の存在と甘利田という男の意義をもう一度見つめ直して、とにかく振り回されたいと。この『おいしい給食』は短距離走を思いっきり走り続けているような感じです。「今日はもうダメだ」と思いながら、這いつくばりながらも次の日に向かう。それを繰り返している作品なんです。甘利田としてどう生きるか。そのことだけを常に考えていました。また、ビジネスと夢が混沌とする世界でなんとしてでも夢を掴み取ろうとする気持ちは忘れてはいけないと私はいつも思っています。声を枯らしても、体がボロボロになっても、何があっても前に走り続ける。明日こそはもっと夢を掴むんだ。これがエンターテインメントなんだと。『おいしい給食』はごまかすことなく、ストレートに直球で常に向き合ってきた作品です。そして、キングオブポップでありたいと。キャリアを重ねていくとニッチな方に行きがちなんですが、改めてお子様から人生のキャリアを積み重ねた方まで、全ての方に楽しんでいただけるエンターテインメントをという基本に戻って作ることを心がけています」

綾部真弥監督
「本当に『おいしい給食』は直球勝負の映画ですが、最近世間では割とシリアスの作品はシリアス、楽しい作品は楽しいという映画が多くて、降り幅のある作品は少ないんですよ。だから、センチメンタルで少しほろりと泣けてくる芝居でも、ただ悲しいから泣くだけではなくて、そこにふっといきなり笑いが入ってきたり、さっきまで大笑いしたかと思いきや、いきなりそこからふっと感傷的になったりという、この波みたいなものが、とにかく一定にならないように、このシーンはこうです、このシーンは悲しいです、このシーンは楽しいですみたいな割振りではなくて、バランスの中でうまく見飽きないようにということはいつも意識しています」

Ⓒ 2025「おいしい給食」製作委員会

Ⓒ 2025「おいしい給食」製作委員会

Q.甘利田先生が教育論を語るシーンが今回とても多かったと思うのですが、シーズン1から劇場版のこの第4弾までで、甘利田先生は変化はあったのでしょうか。

綾部真弥監督
「甘利田という男は変わらないと思うんですよね。いつの時代もどんな時も変わらないんですが、周りが変化している気がするんです。あれだけ一人孤独に自分自身で男のロマンの給食という道を極めようとする男が、気づいたら生徒たちみんなに慕われていた。敵対する学校、考え方が違う先生たちも影響を受けてしまう、感化されてしまう。つまり周りが変化していく。そうするとおのずと甘利田の評価も変わってくる。変わらないものは変わらないもので、すごく大切な揺るぎなさがあって、一番大事なことです。同時に変わることを恐れないで、うまく変化をしながら、いいものはいい、悪いものは捨て、改めていく。あの時代当たり前だったスパルタ教育は今みたらおかしいですよね。でも当時はあれが当たり前で正義で、樺沢先生は自分を正しいと思ってやっていた。30年、40年時が経つと、今我々が信じていることも違う教え方になるかもしれない。その変わらないことの大切さと、相反するようですが、変わることを恐れないで共に両輪のように進んでいくべきではないかという一つの投げかけになるといいなと思ってやっていました」

Ⓒ 2025「おいしい給食」製作委員会

Ⓒ 2025「おいしい給食」製作委員会

Q.5年にわたって甘利田先生を演じてこられて、役者としての向き合い方は何か変化はありましたか。

市原隼人さん
「シーズンを重ねていくごとに、どう変化していけばいいのか、どんな甘利田でいるべきなのかということを考えた時に、いつも変わらない甘利田でいなければならないと思ったんです。今の時代は、環境の違いによって、そのニーズによって変化することが求められる時代だと思います。集団の時代から個々の時代にどんどん変化して、もちろんそれは文明の力であって、すごく素晴らしいことでもあると思いますが、甘利田は変化しないでいることがどれだけ大切かということを学ばさせていただいているキャラクターだなといつも感じています。甘利田先生は顔の距離が近いじゃないですか。あれはどこまでも人間愛に溢れていて、人との距離が近い時代の象徴なんです。見せたくない姿も見せてしまった。だからこそみんなが憎めないんです。どんな人でも欠点は必ずあると思います。でも、全てを見せてくれるからこそ、愛すべきチャームポイントになると思います。あの頃はそんな時代だったと。そういうものを表現できるキャラクターでなければならないといつも思っていました。見せなければならない姿と見せてはならない姿が、混ざっていってその歯車がずれていくんですけども、それがうまい具合に笑っていただけるような面白い環境とともに、その甘利田のキャラクターのいい味が出ればいいなと思いながら演じてみました」

Q.今回修学旅行ということで、生徒役の方たちと、どのような交流を図ったのかを教えてください。

市原隼人さん
「我々は本当の主役は子どもたちだと思っています。この作品に出ている子どもたちは、芝居をしているというよりも「映っちゃった」というぐらいすごく自然体で生き生きしているんです。「現場に来なさい」「お芝居をしなさい」ではなく、自らが自発的に現場に来たくなるような、芝居をしたくなるような環境作りをまず第一に作っていました。それは撮影が始まる前からいろんな話をさせていただいて。「まず本質を捉えて、この作品が何のために作られ、誰に何を伝えるべきなのか、そのために何をしなければならないのか、作品や自身の存在意義というものを見つめてみてください」と。役者という肩書きを外しても子供たちが成長できるような、そういう一つの通過点となればいいなという思いがありました。函館から撮影は始まったのですが、撮影が始まる前にプライベートでみんなで函館山にちょっと登ってみたり。記念撮影をみんなでしてみたり。ラッキーピエロ(ご当地ハンバーガー屋さん)に行ってちょっと函館を感じてみたりとか。作品として見えるところではないところも人間愛に溢れていないといけないと思っているのが『おいしい給食』ですので。本読みから段取りからテストから、全て本気で全部フルで毎日毎日子どもたちと過ごさせていただいたので、子どもたちにとって戻りたくなるような一つの青春の場所にこの『おいしい給食』の現場がなればいいなと思い、そういう環境作りをいつもしていました」

Ⓒ 2025「おいしい給食」製作委員会

Ⓒ 2025「おいしい給食」製作委員会

綾部真弥監督
「みんなで本当にバスに乗って旅をしているので、思春期の中学生、高校生の子たちが多いから、気が詰まっちゃうといけないなということで、助監督の発案で宮沢賢治記念館に行って、その館内を見学したりしようかと。映画、本編の撮影はそこではないんですよ。だけど、せっかくだから修学旅行として行かせてあげようと。行くなら行ったで、作品後半で貼り出されている修学旅行の思い出写真というのが必要だったんですよ。市原くんも別に一緒に来るのはマストではないんです。疲れているから休んでいいわけですよ。でも来てくれて、その子供たちの思い出になるように写真をたくさんみんなと撮ってあげて。優しさですよね。あまりにもその写真にいい写真があったので、エンドロールに使えないかなと思って。それを集めて、全部で25枚ぐらい使っているんですが、全員なるべく同じ回数入っているようにしようと思って。大体3枚ぐらいから5枚ぐらい写っている状態を作れるように、組み合わせて作りました。元々の狙いではなかったけれど、そういう素敵なことが生まれる、とても素敵な半日でした」

Q.作品の中で、甘利田先生のモノローグが占める割合が大きいと思いますが、演技上心がけていることはありますか。また、監督から要望などはあるのでしょうか。

市原隼人さん
「モノローグは私がやりたい放題やっているんです(笑)。給食のシーンを撮る日は給食だけの日になるので、前日は寝られないんです。高揚して舞ってしまう、体が動いてしまう動きも全部勝手にやらせていただいて。給食をどう食べるかも、どうリアクションするかも台本に書いてないので、前日に色々考えてきて、好き放題やらせていただいています。モノローグはシーン全体の動きを決める段取りをした後に、先にその場で録って、そのモノローグの音源に合わせて芝居を撮る形なんです。理性を全て解放するような、自制心を壊して向こう側に行くことをいつも求めながらやっています」

綾部真弥監督
「基本的には台本の読み込みと甘利田という男を使っての表現力はもう市原くんのものです。あるとしたら、ここはこういう撮り方になるからここで繋げてほしいとか、映像の完成を見越しての微調整ですね。あとは時々「こういうのを入れてみて」とか、その場で「「カリッ!ジュワー!」って言ってみて」とか(笑)。台本だけではない、サプライズ的なものを一個渡してあげると、それでさらにプラスアルファで臨場感が出てくるんです。そういう味付けを、脚本からさらにイメージが膨らむようにと考えてやっています」

Q.公開記念の「炎の全国キャラバン」はまだ始まったばかりです。80回は異例だと思いますが、意気込みを教えてください。

綾部真弥監督
「純粋に本当に一人でも多くの方に観ていただきたいです。市原くんが行くことによってお客様が来てくれる。それで、観る機会が増えるというのが嬉しいです。映画のためにもやっぱり観てもらわなければ本当に意味がない。いくら良い作品でも埋もれていては意味がないので。そういった意味で一人でも多くの方に認知してもらいたいというのが一番の希望です。今日の名古屋の舞台挨拶のように笑顔で握手をしていただけるということで僕らも救われますし、これを続けていいんだと思いました。また市原くんがよく言う、「お客様のためにまたこの作品を作る」ということに、そこに意義があるんじゃないかと。求められていることに対して、そこに立ち向かうという。綺麗事ではなくて、舞台挨拶に行きたいんです。舞台挨拶に行って「映画どうでしたか?」と聞く。喜んでいただける姿を見たいから、できるだけたくさん時間の許す限り一緒に『おいしい給食』のこの世界観をみんなで共有できたら、お互い頑張れるのではないかなと思っています。皆さん無理のない程度にぜひ来ていただいて、一緒に映画を観て話せたらいいなと思っています」

市原隼人さん
「本数は本当に気にしていないんです。純粋に求めていただけることが、作品としても役者としても本当に嬉しくて。そのために役者をやっていると思っていますので、その感謝の気持ちを伝えたくて。ただただ会いたいと。どこまでもお客様本位でなければならないと思うんです。全ての作品が「作り手」のエゴではなく、お客様のためにあるべきだなと思っていまして。行ける限り、お声をかけていただける限り、時間が許す限り、どこでも。何か伝えられればそれが全て私の夢なので。夢を見させていただき、本当にこれ以上ない感謝をしています。全国キャラバンということをやることで、本来エンターテインメントとはどういうものなのか、役者としては何を考え、何のために現場に立ち続けるべきなのかというものを学ばせていただいています。お客様のために余力を残すことなく全力で。今回もそうなんですけども、会場を走り回りながら流れる汗も気にせず、お客様の心に寄り添っていきたいと思っています」

左:綾部真弥監督 右:市原隼人さん

左:綾部真弥監督 右:市原隼人さん

映画『おいしい給食 炎の修学旅行』https://oishi-kyushoku4-movie.com/ は10月24日(金)より新宿ピカデリー他で全国公開。東海三県ではミッドランドスクエア シネマ、センチュリーシネマ、イオンシネマ(大高、名古屋茶屋、ワンダー、岡崎、豊川、豊田 KiTARA、長久手、常滑、各務原、土岐、津南、桑名、鈴鹿、東員)、ユナイテッド・シネマ(豊橋18、岡崎、稲沢、阿久比)、コロナシネマワールド(小牧、豊川、ららぽーと安城、大垣)、ミッドランドシネマ名古屋空港、MOVIX三好で公開。

Ⓒ 2025「おいしい給食」製作委員会

Ⓒ 2025「おいしい給食」製作委員会

『おいしい給食 炎の修学旅行』
配給:AMG エンタテインメント

出演:
市原隼人
武田玲奈 田澤泰粋 栄信 田中佐季
片桐仁 いとうまい子 赤座美代子 六平直政 高畑淳子 小堺一機
監督:綾部真弥 製作総指揮:吉田尚剛 企画・脚本:永森裕二 プロデューサー:岩淵 規 撮影:小島悠介(JSC) 照明:西野龍太郎(JSL) 録音:井家眞紀夫 美術:伊藤悟 小道具:千葉彩加 衣裳:小磯和代 ヘアメイク:近藤
美香 フードスタイリスト:松井あゆこ 助監督:湯本信一 制作担当:田山雅也 音楽:沢田ヒロユキ・ペイズリィ 8(ロゴ有り) 編集:岩切裕一 グレーディング:河野文香 整音:田中俊 効果:佐藤祥子 ポスプロ・マネージャー:豊里泰宏
制作プロダクション:メディアンド 企画・配給:AMG エンタテインメント
2025/日本語/5.1ch/ドルビーデジタル/114 分/Ⓒ2025「おいしい給食」製作委員会
公式

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