artegg-yumi監督&AKIRA監督インタビュー「お互いがいたからこそ」①
以前、名古屋大須のシアターカフェでの上映会で
題材が面白くていいと思い、楽しく鑑賞した『ERASER WARS』。
どんな監督が作ったのだろうと思っていたら
舞台挨拶に立ったのは中学生監督のAKIRA監督13歳だった。
自分が空想していたことを作品にしたと言うのだが
なかなか形にすることまではこの年齢では持っていけない。
どういう環境で育ったのだろう?
誰が彼をそうさせたのだろう?
横浜で11月11日から上映するための準備を行っている
AKIRA監督を取材しようとAKIRA監督の経歴を調べたところ
先に俳優として映画に出演している作品があった。
『こうたろう イン スペースワンダーランド』
AKIRAさんの母親であるartegg-yumi監督が製作した作品だ。
この作品も11日から上映されるらしいと聞き、母子二人を取材した。
yumi監督からは技術的な部分もかなり細かく聞くことができた。
『こうたろう イン スペースワンダーランド』はこうして出来上がった
『こうたろう イン スペースワンダーランド』 ストーリー
時は2200年。
ミゴット星人のこうたろう7歳と子守ロボットのポンちゃんは、
小型のイルカ型宇宙船で旅をしている。
ある日、新しい冒険を求めてチョコレート星に降り立つが、
なんと全土を揺るがすほどの大事件が起きていた。
そこで出会った友達のWAVEくんと一緒に、解決の為、立ち上がる。
Q.普通に実写映画も撮られている監督が主人公以外フルCGでの撮影に
取り組んだのはどういうきっかけだったのでしょうか?
yumi監督
実写は最初2000年の頃、SONYの8mmビデオカメラ「CCD-TR75」で
2年ぐらい音楽家の演奏撮影をしていました。
編集はせず、そのままビデオテープに落としていたぐらいです。
2007年より8cmDVDを使用する「CANON DM-DC10」で音楽PVなどを製作しました。
AVI形式にしたくて、撮影後毎回2度変換しました。
ilinkケーブルから直でパソコンに映像を取り込めることを知ったのはこの頃です。
Adobeは主に授業の関係で「After Effects」をメインに触っていました。
当然、長編映像には動作が重くて、のちに「Premiere」を使うようになりました。
初期の短編映画は人形アニメーションや人間が出てくるものを撮っていましたが、
いずれも背景は合成したものが多かったです。あとは2D系のCGを重ねたりしています。
この頃、合成用に利用したグリーンバックは安価な市販品の布を中心に利用していました。
光量が不足していたせいもあり、抜きが弱かったです。
3DCGにおいては私個人の技術では、なかなかアカデミック版autodeskの「MAYA」を
使いこなすことができなくて、数年間モデリングをメインに時間をかけました。
.objや.fbxなどの互換可能な形式を使い、「CINEMA 4D」をメインに「MAYA」、
「Shade」、「3D MAX」を使用しました。
そして、最後に完成した映像を「Premiere」に入れて編集しました。
製作に時間がかかったので、その間、何度もソフトのバージョンが変わりました。
協力してくださる方とのやり取りはインターネットがメインなので、
私はインターフェース的な役割をしながら監督、宣伝・制作プロデュースを行いました。
勉強しながら、色んな方々のアドバイスを聞きながらの進行だったのでカット割などは
甘い部分もありました。
Q.全編CGというのはでは、これが初めての作品なんですね。
yumi監督
完全に背景・キャラクターまで合成のCGワールドで長編を製作したのは、
この作品が初めてです。
もともと、80s系などのSF、特撮、アニメが大好きだったのもあり、
『こうたろう イン スペースワンダーランド』では現実とは少し離れたような、
夢や希望をいっぱい詰め込んだ今まで以上のファンタジー感が強い作品にしたくて。
自主制作映画でこの規模のものをこの時代に完成させることができたのは、
自分が無謀でいられたから、そして総勢130人、みんなの協力があったからだと思っています。
Q.キャラクターはどのように生まれたのでしょう?
yumi監督
子守型ロボットの「ぽんちゃん」については、ロボットは不滅に近い命を持っているので、
"いつまでも宇宙人である少年の側で一緒に楽しく冒険が続けられるのでは?”
という気持ちから産まれました。大きな意味でのみんなのお母さん的な存在です。
原案デザインは私ですが、沢山の方々の協力で命が吹き込まれました。
友達ロボットでダンスが大好きな真面目な青年「WAVEくん」のデザインは
息子のAKIRAがやっています。
彼がデッサンしたものを原案にして、私がまとめたものを漫画家さんや
アニメーターさん達がみんなで協力してくれて、今の素敵な彼になりました。
手描きの、息子用に作った絵本から誕生した2人は、
主人公の少年を含め3人で冒険をする映画になりました。
現在この2つのキャラクター(ぽんちゃん・Waveくん)は、金型から日本国内製造で
ソフビフィギュア化しました。3DCGデータがあるので、3Dプリンタで出力することも
出来るのですが、あえて3Dプリンタで原型を出さずに、
動画を参考に人の手で製作して頂きました。
海外では同じ価格で1000体作れるところを完全日本国内製造で作りました。
特に、ぽんちゃんはこだわりを重ね、全16パーツで成型しています。
一般的な大人向け着せ替え人形は6パーツです。
Waveくんも、特殊な頭部のフォルムを美しく見せる為、全8パーツで
くみ上げられています。
他に、同型で植毛加工を施しているダイアモンドもいます。
いずれも限定品で東京都美術館でも大人気でした。
現在ニューヨークのTOY TOKYOさんや、日本のOneup.さんで取り扱って頂いています。

Q.AKIRAさん以外全てCGです。撮影の時は実際にはいない登場人物との
芝居をしてもらわなければいけなかったと思いますがどんな段取りで
撮影したんでしょうか?
yumi監督
脳内で空間を認識し、目線の方向だけ毎回伝え、あとは想像力だけで
イメージしてもらっていました。
数年後に出た実写版『ジャングルブック』のような、等身大模型みたいなものは一切なく、
ただバックに緑の紙が貼ってあるだけでした。
台詞のタイミングのみ素人の子供なので、アニメキャラクターの役の声優のおねえさん達が
毎回同録で左右にいてくれました。
スタジオは最初、愛知県のスチールスタジオで試しましたが、時間の制約と
子役の年齢に対する距離で長期の撮影が難しいと思い諦めました。
次に、三重県でワンルームを2回借りてテストしましたが、
こちらも録音などの環境で断念。次に身近なフィルムコミッションが
有料で紹介してくれた施設があったのですが、体育館サイズの窓からくる
外の光を毎回遮断しなくてはいけないのと、1階からのカラオケが止まらないので断念。
結局全編自宅寝室での撮影でしたので狭くて申し訳なかったです。
撮影は、毎回ベッドをどかし、スタンドを組み立ててライトをはめたりして
準備するところから始まりました。こちらの音声はアフレコせず、
カメラ付属のDolbyでそのまま撮りました。カラスの声や、近所であった工事の音が
入り込まないかハラハラでしたが子役は成長するので撮り直しが難しいため、
全行程の中で一番スピードを上げてこなしました。
撮りためた映像を4人でそれぞれキーイングし、完了したものから
アニメーターさんに送ります。
上手くキーイングで抜けない部分もあり、その場合は丁寧に手作業を行いました。
(キーイング:映像編集技術の一つ。色や明暗の違いを利用して
映像の一部を取り除いたり切り出したりすること。)
1秒間で30フレームなので、5秒分を手作業でやると、
150回設定をしなければなりません。
結局クオリティの問題で、撮影したデータを3回ぐらいキーイングし直し、
合成まで完了した映像の全編確認も入れて各シーン毎3~4回ずつ高品質で
レンダリングしました。
(レンダリング:形成した立体物に色や陰影を付けること。)
日本の様々な場所に住む複数のクリエイターでクラウドの共有サーバーを使って
やりとりをしました。高画質データのアップロード、レンダリングは
本当に時間がかかるので、みんな大変だったと思います。
HDDを直で送りあうこともありました。クオリティが低くても、完成させるという
モチベーションだけはあったのですが、最終的に見ていただけるぐらいの形にはなり、
本当に奇跡が起きた。良かったと思っています。
各クリエイター様への深い感謝なしには語れません。

出演したAKIRAさんにも作品について聞いた。
Q.お母さんの作品『こうたろう イン スペースワンダーランド』に
出演したきっかけはどんなことからだったんですか
AKIRAさん
ものづくりが大好きなお母さんだったので、一緒にいろんなものを作りました。
クッキーも作りましたし、牛乳パックなどを使って作るおもちゃも作りました。
小さかったのであまり覚えていないのですが、一緒に内容を考えたりしているうちに、
「おもちゃ買ってあげるから映画に出てくれない?」と言われたような(笑)。
Q.AKIRAさん以外全てCGです。撮影の時は実際には
いない登場人物との芝居をしなければいけなかったと思いますが
どんな感じで撮影したんでしょうか?
AKIRAさん
想像するしかなかったです。チョコレートやパンケーキは実際食べました。
感情的な演技をする時が一番大変でした。
毎週土日のどちらかを使っての撮影だったんですが
おじいちゃんに突然前髪を切られた時はこまりました。
映像が繋がらなくなってしまうので…。
また、撮影時、歯が入れ替わり抜けた時は、アニメーターさんが
歯を動画に合成してくださって驚きました。
Q.出演するのと映画を撮るのとではどちらが今はやりたいですか?
AKIRAさん
物語を考えるほうが好きなので撮る側に興味を持っています。
インタビュー後編ではAKIRA監督の『ERASER WARS』について聞いた。
そちらもご覧ください。
Q.これから観る方へ見所を教えてください。
yumi監督
ほっこり優しく、かわいらしい世界観で製作したので、
大人から子供まで楽しめる作品です。主人公の少年が問題を解決するために、
勇気をもって立ち向かっている様子を見てほしいです。
感情の高ぶりをよりクライマックスにぶつけていくために、
あえて全編順撮り撮影をしています。
また、実際にあるロボット教室のブロックを使用しての作品ですので、
ワクワクする気持ちになれるのではと思います。
Q.どちらのブロックなんですか?
yumi監督
マーゼンプロダクツさんのアソブロックと
ヒューマンキッズサイエンスさんのロボット教室のブロックです。
artegg-yumi監督Q.これからどんな作品を作ろうと思っていますか?
または制作中の作品があれば教えてください。
yumi監督
現在、編集段階に入っているものは、実写のLGBT系作品です。
それが完成したら長い間構想していたアニメーション作品を作る予定です。
新しい音楽アルバム、写真集も制作しています。
来年以降は関わる作品数を減らし、より集中して制作していけたらと思っています。
随時、公式サイトやFacebook、Twitter、インスタ、アメブロ、Youtubeなどで
告知していく予定です。
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