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【舞台挨拶レポート】映画『ナギダイアリー』公開初日名古屋舞台挨拶:深田晃司監督が伏見ミリオン座に登壇!満席の客席と紡いだ濃密なQ&A
映画『ナギダイアリー』が待望の公開初日を迎え、名古屋・伏見ミリオン座で深田晃司監督による舞台挨拶が開催された。
深田監督は、メ〜テレ(名古屋テレビ)との共同製作映画も多く、名古屋には深いゆかりがあるが、公開初日を名古屋で迎えるのは今回が初めて。会場を埋め尽くした満員の観客との濃密なQ&Aコーナーも設けられ、撮影エピソードが語られた。その様子の一部をお届けする。
着想から10年―岡山県奈義町との出会いと制作の経緯
イベント冒頭、司会から「着想から公開まで約10年におよぶ制作経緯を教えてください」と質問があり、深田監督はロケーションとなった岡山県奈義町(なぎちょう)との出会いを振り返った。東京育ちの監督が初めて奈義町を訪れたのは2015年8月。劇団「青年団」を主宰する劇作家・平田オリザ氏からの提案がきっかけだった。平田氏の代表作で東京の美術館を舞台にした『東京ノート』を奈義町現代美術館で映画化する構想を持って奈義町を訪れた深田監督は、磯崎新氏が設計した建築や荒川修作氏らの空間インスタレーション作品、そして窓から見渡せる奈義町のシンボル「那岐山(なぎさん)」が一望できるロケーションに圧倒される。
「この素晴らしい固有の空間を『東京』に見立てて映画を作るのはもったいない」と感じた監督は、奈義町を舞台にしたオリジナル脚本の開発を決意。東京の人間として地方の暮らしを理解するため、10年間奈義町に通い、アーティスト・イン・レジデンスなどを通じて通算約10ヶ月間滞在。取材を重ねて脚本を練り上げたというエピソードが明かした。

深田晃司監督
観客との濃密なQ&Aセッション
続く観客とのQ&Aコーナーでは、映画の核心に迫る鋭い質問やロケ地・奈義町にまつわるリアルな質問が次々と飛び出した。
Q. 「登場人物の心理やセクシャリティなどあえて説明されない部分が多く、観客自身が意味を補いながら見る作品に感じました。脚本段階で登場人物の明確な答えを持っているのでしょうか?」
深田監督:
「人は現実でも本質的にはブラックボックスであり、理解し得ない『他者』です。映画でも分かり合えたかのように安易に表現するのではなく、スクリーンの中の登場人物とお客さんにも『理解し得ない他者』としての関係性を結んでほしいと思っています。私自身、脚本を書くときに登場人物の履歴書を作ったり、心理から逆算して行動を決めたりすることはほとんどありません。小説でも設定通りにしか喋らないキャラクターには奥行きを感じません。半分くらいは直感や思いつきに任せています。私は映画を作る自分と作品の関係を『親と子』に例えます。親にとって子どもは一番身近な『他人』。よく知っているようで、実は同級生から話を聞いて初めて知る一面があったりする。そのくらいの距離感で登場人物を見つめています。だから『この先彼らはどうなりますか?』と聞かれても、『いや、未来のことは分かりません』とお答えしています(笑)」
Q.「ラスト近くで子どもたち二人がたい焼きを食べているシーンがあり、二人の違いがすごく印象的でした。あのシーンも直感で考えられたシーンですか?」
深田監督:
「実はあのシーンは元の脚本にはなくて撮影中に思いついて追加したシーンなんです。奈義町にすごく人気のある美味しいたい焼き屋さんがあって、そこで食べるシーンを思いつきました。現場でセリフを足して撮影したのですが、編集で一部カットしました。よく見てくださっていて嬉しいです。将来二人の間に起きるかもしれないちょっとした食い違いや予感のようなものを想像しながら作ったシーンでした」
Q.「奈義町出身です。連休中は奈義町にいて、今日帰ってきて早速観に来ました。撮影してくださって感謝しかありません。冬の奈義町は風も強くて寒かったと思います。ロケ中で大変だったことや景色の印象、『牛』の演技について教えてください」
深田監督:
「まず大変だったのは、とにかく「寒さ」と「激しい天候の変化」です。3月に撮影したのですが、普通に雪が降っていました。朝6時に起きたときは雪、ロケ地に着く頃には雨、午後には強風と、1日で全ての天候を味わうような気候で、それに合わせた撮影が大変でした。奈義町現代美術館の前でのワークショップのシーンでは、画面には映っていませんが、実は雪が降っていたんです。エキストラの皆さんは半袖など薄手の設定だったので、カメラが回る直前に上着を脱いでもらって、ブルブル震えながら寒さを顔に出さずに演じてくれました。本当に感謝しています。また景観については、津山線のからバスで50分ほど進むと広大な田園風景の中にぽつんとモダンな美術館が建っていて、日常と非日常が混ざり合ったような不思議な感覚がとても魅力的でした。町の中に『緑を大切に』という看板があったのですが、「これ以上どう大切にするんだ!」と思うくらい一面緑豊かな素晴らしい場所でした。そして牛に関しては、地元の二つの牧場にご協力いただき、乳牛と肉牛の両方に出演してもらいました。牧場の皆さんが見事に牛たちをコントロールし、逃げ出さないようにうまく誘導してくださったおかげで素晴らしい演技になりました。現場でモニターを見ながら思わずガッツポーズをしたほどです(笑)」

名古屋ならではのほっこりエピソードも
トークの合間には、深田監督が名古屋に到着してから食べたヨコイの「あんかけスパゲティ」の話題も。「お昼を食べていなくて、お腹が空いていたので1.5倍を頼んだら想像を超えるボリュームで出てきて、「440g」あったんです。標準サイズはそんなに多くないので、標準サイズはどれぐらいの量かメニュー表を見たら「220g」だったんです(笑)。名古屋の基準に驚かされました」というエピソードで会場の爆笑を誘った。
最後に:観客へのメッセージ
深田監督:
「とても新鮮な気持ちでトークができました。本日こうして無事に初日を迎えられましたが、映画は生まれたばかりでこれから育っていくものです。SNSや周りのご家族・ご友人、同僚の方々に感想を伝えていただけると大変力になります。自分は映画において「余韻」が一番大事だと思っています。今日私が喋ってしまったことで余韻を壊してしまっていなければいいのですが、家に帰ってからも時々映画のことを思い出していただけたら嬉しいです」

舞台挨拶後にはサイン会も行われ、観客は監督に直接感想を伝えていた。
映画『ナギダイアリー』 https://starsands.com/nagidiary/ は伏見ミリオン座ほか全国劇場にて公開中。

© 2026 ナギダイアリー・パートナーズ (スターサンズ/⼋朔ラボ/ワンダーストラック) / Survivance / Momo Film Co.
『ナギダイアリー』
出演:
松たか⼦ ⽯橋静河
川⼝和空 藤原聖 藤間爽⼦ ⽔間ロン 申瑞季
松⼭ケンイチ
監督・脚本: 深⽥晃司
製作:四宮隆史
エグゼクティブ・プロデューサー:⼤野⼆郎 Guillaume Morel Jossette Atayde Maria Sophia Atayde Marudo
プロデューサー:⼤野敦⼦ ⻑井⿓ ⾓⽥道明
コ・プロデューサー:⼩⼭内照太郎 Carine Chichkowsky 陈思恩 佐藤央
撮影:四宮秀俊 照明:加藤⼤輝
録⾳:益⼦宏明 美術:⼤⽉由⾹⾥ 彫刻:吉⽥愛美
ヘアメイク:菅原美和⼦ スタイリスト:荒⽊⾥江
⾐裳:渡部祥⼦ キャスティング:吉川威史
助監督:⿅川裕史 制作担当:⼭村亘 編集:Sylvie Lager VFX プロデューサー:平野宏治
カラリスト:Sorawich Khunpinij
⾳楽:李沛芩 リレコーディングミキサー:Olivier Goinard エンディングテーマ:イーノ・チェン
In association with mk2 Films
後援:奈義町
製作:スターサンズ ⼋朔ラボ Survivance Momo Film Co. Nathan Studio ワンダーストラック
制作プロダクション:Lat-Lon
配給:スターサンズ
2026/⽇本、フランス、シンガポール、フィリピン/ヨーロピアンビスタ/5.1ch/カラー/110分/映倫区分:G
© 2026 ナギダイアリー・パートナーズ (スターサンズ/⼋朔ラボ/ワンダーストラック) / Survivance / Momo Film Co.
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