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映画『隣人X-疑惑の彼女-』名古屋舞台挨拶付先行上映 上野樹里さん、林遣都さん、熊澤尚人監督トークレポート
12月1日公開の映画『隣人X』舞台挨拶付先行上映が11月16日名古屋ミッドランドスクエアシネマで開催された。
柏木良子役の上野樹里さん、笹憲太郎役の林遣都さん、熊澤尚人監督が舞台挨拶に登壇。そのトークの一部をお送りする。
⇒映画『隣人X-疑惑の彼女-』撮影現場レポートはこちらから
上野樹里さん(以下 上野さん)
「皆さんこんばんは!うちわやメッセージの札を手作りで作ってくださっていますね。駆け込みで昨日SNSで舞台挨拶があることを知って観にきましたという方いらっしゃいます?」
(客席から手が挙がる)
上野さん
「すごい名古屋。嬉しい。来てくださってありがとうございます。見事に席が埋まっていてびっくりしました。ありがとうございます」
林遣都さん(以下 林さん)
「こんばんは。今日はお越しいただきありがとうございます。平日のお忙しい中、多分休みを取って来てくださった方もいると思います。来て良かったなと思ってもらえるような舞台挨拶にしたいと思います。よろしくお願いします」
熊澤尚人監督(以下 熊澤監督)
「監督の熊澤です。今日はわざわざ公開に先駆けて皆さん観に来ていただいて、本当にありがとうございます。僕は名古屋生まれ名古屋育ちなので、 今回上野さんと林くんの作品で名古屋で一緒にこうやって挨拶ができてすごく嬉しいです。今日は楽しんでください」

熊沢尚人監督
Q.名古屋に来られたのはみなさん、久しぶりですか?
上野さん
「この間中部国際空港でひつまぶしを食べて帰ったんです。とても空港が充実していてびっくりしました。お風呂があったんですよ。今日もここに来るまでに大きなビルがいっぱいですごいなと思いました。ミッドランドスクエアシネマさんは興行成績の良い映画館で、メイクをしてもらっていた部屋に賞状がいっぱいあって。ここで『隣人X』がかかって大丈夫なのだろうかと思っています。皆さまよろしくお願いいたします」
林さん
「お昼に僕もひつまぶしを食べました。実は僕、味仙が大好きなんですよ。本当に取り寄せるぐらい大好きで、今日も食べられたらいいなと思っているんです。でも辛いものはそんなに得意じゃなくて。めちゃくちゃ辛いけど止まらなくなるというか。必ず次の日お腹に激痛が走るんです。でも、そんな代償を払ってでも食べたくなるぐらい好きです。必ず名古屋に来たら行きますね」

林遣都さん
Q.『隣人X』で上野さんと林さんは初共演なんですね。
上野さん
「熊澤さんはこの二人のコンビネーションはどうなると想像していましたか?あれ?何か司会者みたいになってる(笑)」
熊澤監督
「すごくお芝居に関して上手な2人なので、そこはすごく安心していました。どれだけ2人が僕の想像を超えて素晴らしくなるかを見ているのが、撮影しながら楽しかったです。特に2人が出会ってご飯を食べたり、良子さんが料理を教えるシーンもあるんですけども、そこまでの過程にある図書館のシーンとかね。アドリブも交えながら2人が作っていってくれたのが、見ていてすごく楽しかったですね」
Q.林さんも上野さんと初共演ということで、いかがでしたか?
林さん
「本当に素敵な方です。撮影の時にいろんなことを樹里さんから学んで、出会えてよかったなと思ったんですが、久々にこうやって、昨日今日と取材を2人で一緒に受けてきて、毎回会う度に面白い人で、すごく影響を受けることがあるんです。とにかく心で人や仕事、お芝居、全部に向き合う方で、それがすごく素敵で。インタビューでも1人1人その人と会って、その人が何を聞いてくれるか、それに対してその人に伝えたいことを伝えていて。僕もそうでありたいなと思いました。その方が人に響きますし、心を掴むじゃないですか。だから舞台挨拶も何も考えずに立ってから話してみようと思って。あ、でも「来てよかったなと思ってもらえる舞台挨拶にしたいです」というのは、ちょっと考えていました(笑)」
Q.上野さんは熊澤監督とは『虹の女神』以来2回目、17年目ぶりでした。監督は変わりませんか?
上野さん
「いや、その時のこと、あまりちゃんと覚えてないんです(笑)」
熊澤監督
「覚えてないの!?」
上野さん
「17年ぶりで、今回は本当に生粋の熊澤さんとの映画作りになりました。前回は岩井俊二さんプロデュースで、編集にちょっと岩井さんのエッセンスが入っていたんですが、今回は完全に熊澤さんの脚本、演出、編集ということで、17年経った自分とかなり濃い映画作りができるといいなと思って。私自身も36歳になって、良子さんは原作は46歳なんですけど」

上野樹里さん
熊澤監督
「46歳の良子さんが小説にはいますが、それとはちょっと違う良子さんを上野さんで作りました」
上野さん
「はい。なので、一緒に作って楽しかったです」
熊澤監督
「楽しかったですね。脚本づくりは2年間ぐらい、何回も何回もキャッチボールして」
上野さん
「熱量が同じような感じで。私がぶわーって書き込んできたことを熊澤さんも全部手書きでぶわっと書き込まれて。それが反映された原稿が上がってきて。またそれに書き込んだことを全部また手書きで書き込まれて。 現場で、モニターの隣に行った時に監督の台本を見たら、やっぱりぶわっと書き込まれていて、ものすごく安心しました。熊澤さんにはちゃんと時間が積み重ねられている感じがありました」
熊澤監督
「本当に楽しかったです。この2人とやれてすごく感謝です。ラッキーでした」
Q.林さんも15年ぶりですね。ちょっと昔は監督が怖かった感じだったらしいですが、今回の熊澤さんはいかがでしたか?
上野さん
「熊澤さんの前では鬼澤って言わないの?(笑)」
林さん
「あの時はエピソードを舞台上で思い出したから言ったんです(笑)。『DIVE!!』という映画がありまして。今でも仲良くしている池松壮亮とか、若い俳優が集まる青春スポーツ映画だったんです。当時16、7歳で、監督がお芝居や合宿所での過ごし方に対して厳しくて。みんな「この野郎!」と思って陰で監督のことを鬼澤って呼んでいたんですけど、 でも、ずっとみんな監督が大好きで、怖いというよりは、愛情のある厳しさ…(上野さんと熊澤監督を見ながら)なんですか?」
熊澤監督
「樹里ちゃんがそんなに厳しくないよって。私のことを思い出すとソフトな感じだったって」
上野さん
「自分のことでいっぱいすぎて、監督どんな感じやったかなって」
林さん
「僕らは男が集まっていたから」
熊澤監督
「合宿で撮っていて、必ず毎日泊まるから、どうしても修学旅行みたいな感じになってしまう。面白いからいいんですけど、大人の役割でこれ以上やっちゃダメだよと。その辺は厳しくしないといけない部分もありました」
林さん
「でもお芝居の部分でも突き詰めて向き合ってくださって。全員に対して話されていたことをすごく覚えていて。10数年俳優をやってきて、今の自分を監督に見てもらいたいなという思いがあって、お話をいただいた時はすごく嬉しかったです」
Q.公開の撮影の中で思い出に残ったシーンを教えてください。
上野さん
「名古屋の食べ物が出てくるところは、多分皆さん反応されるんじゃないですか?監督が名古屋出身だから」
熊澤監督
「これは見てのお楽しみで。名古屋飯がなんとなく。さりげなく。ちゃんと意味ある形で出ています」
Q.林さんは滋賀出身ですね。撮影は大半が、滋賀でした。ご自身が育ったところでの撮影は違いますか?
林さん
「最初はロケ地が滋賀県と聞いた時に、嬉しいと思いました。しかも熊澤監督の作品で、『DIVE!!』の頃は実家に住んでいましたので、嬉しいなと思って。滋賀が大好きなので、 実家から通ったりなんかもしてみようかなと思ったんですけど、まあそんな余裕はなく(笑)、どちらかというといつもと変わらず、地元にいるという感覚も特になかったです。 ただ、樹里さんと一緒のシーンで僕が学生時代によく過ごしていた場所が、撮影ロケ地に使われているシーンがあるんです。琵琶湖の湖畔なんですが、 本当に学ランを着てずっと歩いていた場所だったので、上野樹里さんと並んで待ち時間にこんな話をしている自分をあの時の自分に見せてあげたいなという思い、感慨深さがありました」
Q.上野さんは林さんと何を話されたんですか?
上野さん
「撮影の合間に俳優になられる前の遣都くんのいろんな思いや話を聞けました。パーソナルな部分でお互い過ごせていたので、そこがまたお芝居にもいい意味で反映されているかなと。良子さんから見て記者である笹は肩書きを意識すると、良子から見たら笹は異質な存在で、最初はこの人どうして私の近くに来ているんだろうという違和感を抱きますし、笹からすると良子さんがXなのではないかという疑惑が拭いきれないというのがあったと思うんですけど、プライベートの話を裏ではできていたので、自然といい空気感で穏やかに過ごしました。私はマンスリーハウスを借りて自炊をしながら、そこで本当に暮らしているような感じで撮影ができました」
Q.これから映画を観る方へメッセージをお願いいたします。
熊澤監督
「林くんが演じる笹憲太郎がX探しをするところからお話が始まりますけれども、Xは誰かと言った瞬間にどうしても無意識の偏見が生まれてしまうと思うんですね。皆さんの中でもXは誰なんだろうと思った瞬間に生まれてしまうものがあると思うんですよ。無意識の偏見です。今回この映画を観て、そうやって生まれてしまう無意識の偏見と皆さんだったらどう向かい合っていくのか。それを映画を観終わった後、考えてもらえるんじゃないか。それが描きたくてこの映画を作りました。観終わった後も持ち帰って考えることができる映画だと思うので、もう1回観るとまた違う角度で面白かったりすると思います。ぜひ観て考えて、友達と「私はこう思った」、「僕はこう思った」と話してもらえると嬉しいなと思っています。よろしくお願いします」
林さん
「僕も観れば観るほどいろんなことを考えさせられる映画でした。今SNSとかが発達して色んな情報がいっぱい入ってきて、人と比べたりだとか、自分自身がこれでいいのかなとすぐ考えてしまいやすくなっている世界だと思っています。樹里さんと一緒に取材を受けていて、僕自身が勇気をもらった、印象に強く残った言葉があります。自分の見え方、人にどう見られているかをすごく気にしやすくなってしまう世の中だと思うんですけど、大事なのは自分がどうありたいかというところをやっぱり大事にしていくべきだ、この映画からそういうことを感じてほしいとおっしゃっていて。自分らしくいた方が、心で人と会話した方が楽ですし、呼吸がしやすくなるというか。息苦しい世の中ですが、自分のことを信じて、愛してあげて、 自分らしくいる方がすごくいいことがいっぱいあると思います。そういう風に生きている姿を見せてくれる登場人物たちだと思うので、そんなことを考えながら、観ていただけたら嬉しいなと思います」
上野さん
「今日来てくださって、本当に感謝しています。コロナ禍にこのお話をいただきました。隣を見れば、周りを見渡せばマスクで顔が見えなかったり、本当の素顔が見えにくいという世の中です。いろんな情報が素早く飛び交って、便利になりましたが、同時に本当に今自分が何を感じているかということも、簡単に見逃しがち、見失いがちだったりすると思いますし、同時にいろんなことを考えるみたいなことにも慣れてしまっています。だからこそ心の静寂を保つ時間も大事だと思うんです。自分の心に耳を澄ます時間は何にもなさそうで、実はすごく大事な時間だと思うんですね。良子さんは「え。なんでヒロインなの?」という感じがすごくしますが、笹が追っていくうちに、笹の心に徐々に変化が現れていきます。皆さんもこの劇場で、今日は笹憲太郎と共に良子さんという1人の女性を追っていきながら、自分の心の偏見というフィルターの変化を体感して楽しんでいただきたいです。そしてまた、それが二転三転して、最後に誰がXだったのかはわかるんですけれども、わかったところで終わりじゃないという。この映画の伝えたいメッセージは何だろう、あのシーンから僕はこんなことを感じた、私はこんなことを感じたと引っかかるポイントも違うと思います。偏見だけじゃなくて、概念とか常識とかもそうですが、多数の方が同じ意見だから、それが正解としてまかり通っている世の中というものは本当にそれでいいのだろうかとか、世の中は誰が動かしているんだろうかとか。1人1人の心のあり方を、今一度この映画を観て考えていただければと思います。そしてこの世界を作っているのは自分自身、そして隣にいる大切な人だと思うので、それを今日は体感していただきたいと思います」
映画『隣人X-疑惑の彼女-』https://happinet-phantom.com/rinjinX/ は12月1日(金)より新宿ピカデリー他で全国公開。
東海地区ではミッドランドスクエアシネマ、センチュリーシネマ、ミッドランドシネマ名古屋空港、イオンンシネマ(名古屋茶屋、各務原)、ユナイテッド・シネマ(豊橋18、岡崎、稲沢、阿久比)、コロナシネマワールド(安城、小牧、大垣)で12月1日(金)より公開。
出演:上野樹里 林 遣都
監督・脚本・編集:熊澤尚人
原作:パリュスあや子「隣人X」(講談社) 音楽:成田 旬
配給:ハピネットファントム・スタジオ
制作プロダクション:AMGエンタテインメント 制作協力:アミューズメントメディア総合学院
©2023 映画「隣人X 疑惑の彼女」製作委員会 ©パリュスあや子/講談社
2023年/日本/120分/カラー/シネスコ/5.1ch
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