ぼくいこ公開記念 大垣試写会 宮川サトシさん×大森立嗣監督トークショー公開!
映画『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』の試写会が2月3日映画の撮影地となった岐阜県大垣市の大垣コロナシネマワールドで開催された。
この作品の原作者で岐阜出身の宮川サトシさん、映画のメガホンを取り、脚本も担当した大森立嗣監督をゲストに迎え、上映後にトークショーが開催された。
その様子をお届けする。(聞き手 岐阜新聞社東京支社長・後藤さん)
後藤さん
「まず宮川さんに映画を観た感想を伺いたいです。ご自分のことを安田顕さんを通して描かれているわけですがいかがですか?」
宮川さん
「漫画家の宮川サトシです。今日は岐阜に凱旋できました。ありがとうございます。最初僕は主題歌が入る前のラッシュの状態で試写室で見せていただいたんですけど、自分のことだし、母親との死別のシーンはそのままを映像にしてもらった感じなので光の入り方から何から何まで、においまでしてくるぐらい当時を思い出してしまって辛くて顔がぐっちゃぐちゃになってまともに見られなかったんです。先日の東京での完成披露試写会で観させていただいた時にちょっとだけ客観的に観られてすごくいい映画なんだなと。原作にない追加要素、オリジナルの部分がすごく良くて。よく原作ファンの方が映画はちょっと違うよとか言われますよね。僕も好きな漫画の実写化を観ると原作の方がいいなとか映画の方がいいなとか思うんですが、僕自身の作品が映画になるのが初めてで、もう大満足というと偉そうですけど、なんら文句がない。完璧だと思いましたね」

宮川サトシさん
後藤さん
「監督には小林プロデューサーから監督オファーを受けてどう映画化に至ったのかという経緯をお聞きしたいです」
大森監督
「大垣に久しぶりに今日来ました。おととしの夏にここで撮影していましてすごく懐かしいです。駅前のビルが無くなっていたりして変わったなと思いました。やっと大垣で上映が出来て嬉しいです。最初小林プロデューサーからこれをやりたいと原作をいただきまして。宮川さんのエッセイのようなすごく距離感が近い、一人称で描かれているものを映画化することをなかなかやったことがなくて、『日々是好日』もエッセイなんですが、そちらの脚本を先に書いていまして、そういうエッセイが続く感じもあって最初は気乗りしなかったんです(笑)。ただ宮川さんの他の漫画を読んですごく面白かったんですよ。特にギャグマンガが。僕はギャグマンガが大好きなんです。もしかしたら自分の身内のことを書いてるんですが、そうでない距離感でもできることを書いても許してくれるんじゃないかと思って。やってみようと。それと自分自身が母親との関係がいい歳こいて希薄なのでそういうことを考えるいいきっかけになるんじゃないかと思ってやってみようと思いました」

後藤さん
「原作通り岐阜が舞台なんですが、岐阜市ではなく大垣での撮影になったのは監督の希望ですか?」
大森監督
「岐阜市でやろうと本当は思ったんですよ。撮影の条件がありまして大垣方面になりました」
後藤さん
「映画を撮ると決まった時に大垣フィルムコミッションの方がすごい情熱でロケハンされて。岐阜市もいいところがあるけど、大垣市の方がよりいいところがあるということで決まったと伺いました」
大森監督
「撮影の効率を考えてしまうんです。移動が長いと撮影効率が落ちてくる。その点で大垣市は撮影がしやすかったんです。それにこの映画でいうと俳優さん達にとって家の周りに色々なものがあるというリアルな風景が大事だったんです。いいところですよね」
後藤さん
「スタッフ、キャストも含め大垣で本当に盛り上がって。暑い中ですがいい雰囲気で撮影していましたよね。宮川さんはロケ地についてどう思われましたか?」
宮川さん
「僕は岐阜市出身ですけど、大垣に全く縁がないわけではなくて。僕の妻が大垣市出身で、デートの待ち合わせはノースウエストというところがあって。今は平和堂があるところなんですけど。そこの駐車場で待ち合わせをしていました。僕は大垣市のもう少し先にある垂井町で映画の中でもやっていた塾をやっていまして。母親の闘病とか妻と付き合っていた時は大垣にいた時間の方が多いんです。なので大垣での撮影はなんら問題なく(笑)」

後藤さん
「宮川さんの奥様は映画を観てどんな感想をもたれましたか?」
宮川さん
「うちの奥さんはもうぼろ泣きで。特に倍賞さん演じる明子さんが抗がん剤を始めてほっかむりした姿を観たときに小声で「お母さんだ…」って隣で呟いて。それに僕はもらい泣きしてしまったんです。すぐ泣く妻なんですがなんだかんだ誇らしく思っているんじゃないですかね。友達と電話しているのを盗み聞きするんですけど、色々映画のことを自慢しているようです(笑)」
後藤さん
「今回の映画はキャスティングが素晴らしいんですが、どのように決められたんですか?」
大森監督
「安田さんについては僕が関わる頃には安田さん主演で行こうと決まっていました。ちらっとお会いしたことはあったんですが、ちゃんとお話する機会がなくて会ってお話したら安田さんが原作に惚れていらっしゃいました。倍賞さんは大先輩で僕が映画に関わった頃から自分の好きな作品に出ていらっしゃって、一度お会い出来たら嬉しいなと思っていた方です。映画の匂いがする芝居をしてくださる方なのでお忙しいかなと思いつつオファーさせていただきました」
後藤さん
「監督から見て妻役の松下奈緒さんは如何でしたか?」
大森監督
「松下さん演じる真里が病院の駐車場から自分のアパートに帰ってきてサトシに結構きつく言うシーンがあるんですけど、そのシーンの松下さんは人を愛すると言うことを言いながら自分も嗚咽してしまうんです。その芝居は素晴らしいですよね」
後藤さん
「大森演出で素晴らしいのは緩急の付け方だと思います。カレーライスの話で大爆笑の後の展開やプロポーズのシーンの後の展開のめりはりが映画的に非常に良くて」
宮川さん
「カレーライスのシーンはやられたとしかいいようがなくて。僕の漫画はエッセイ漫画なので一話ずつ一作品みたいに書くんです。最初にフリがあって最後にオチがある小さな話が16個あるんです。それを切り取って組み換えてグッと現実に引き戻す感じは映画じゃないと出来なくて嬉しいですね。僕はもともとショートムービーが撮りたくて漫画を書き始めたので映画っていいなと思いましたね」
後藤さん
「映画の中では震災のニュースも流れました」
宮川さん
「映画を観てはっとしたんです。漫画を書いたのは4、5年前で忘れていたんですが、思い出してみるとうちの母親が抗がん剤を入れている時にラジオから震災のニュースが流れて。不謹慎かもしれないですが、周りの人にお母さんが元気か聞いたりとか。僕と同じくらい辛いといいなと思ったりとか。そういう精神状態だったんですよ。震災のニュースを見た頃には母親も大分弱っていて。沢山の方達が震災では亡くなっているんですが、自分達も同じというか。当時はこれも漫画にしようと思ったんですがとてもじゃないけど表現出来ないというか、触れられないしそういう葛藤みたいなものが当時自分の中にあったことを映画を観て思い出して。その後の「生きてるんじゃなくて生かされてる」というセリフが腑に落ちるんですが、そういう心持ちで当時はいたなあと。映画でそういうところまで表現されていて完結したなあと。何かが解決したわけではないんですが、思うところはありましたね」
後藤さん
「映画には山本KIDさんのカットが入ってきます。昨年癌で亡くなられたんですが、オファーもされたと聞きました」
大森監督
「最初僕はファンなだけで全く癌と知らずに、出演して欲しいと最初はお願いしたんですが、当時沖縄に住んでいらして出演は難しいと言われて。でも写真なら大丈夫と言われたのでこういう演出で出来るかもしれないと思ったんですが、映画が完成した頃病気だということが公表されて、その2カ月後に亡くなられてしまったんです。なので映画が持っている印象とお客さんに伝わる印象にズレが出てしまったことに対しては自分自身何とも言えない気分なんですが、KIDさんは癌を患っていても写真で出演することを快諾してくださっていたのでそれを無くすのは自分では有り得なくて。お客さんは奇妙な印象を持つかもしれないですけど僕はそのまま行きたかったんです」
後藤さん
「皆さんに最後に一言お願いします」
大森監督
「岐阜から特に大垣から火がついて全国で大ヒットするように皆さんも広めてください!」
宮川さん
「その映画の大ヒットから原作にも火がつきますように映画も原作も同じくらい愛してやってください。よろしくお願いします!」

映画『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』は現在公開中。
撮影地となった岐阜県の映画館6館(岐阜CINEX、関CINEXマーゴ、TOHOシネマズ岐阜、TOHOシネマズモレラ岐阜、イオンシネマ各務原、大垣コロナシネマワールド)も2月22日(金)より絶賛公開中
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