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EntaMirage! Movie 岐阜推し!

地域×映画ー自分の街での映画作りの可能性(『MACHI×FILM GO!GO!「Life works」6作品上映&トークセッション』)

8月5日岐阜県可児市文化創造センターで『ROCKFILLJAM2018』が開かれた。

その中の1つの企画『MACHI×FILM GO!GO! ショートフィルム「Life works」6作品上映&トークセッション』は「地域×映画」をテーマに映画の上映とトークセッションを行う企画。

岐阜県各務原市まち起こし映画『光射す』のショートバージョン上映と横浜を舞台に製作された連作ショートフィルム『Life works』の中から6作品が上映された。

『光射す』の大野達也監督がホストとなり『Life works』、『BeRLin』、『さよならドビュッシー』の監督でもあり、役者としても活動する利重剛さんを迎えてトークセッションが行われた。その様子とインタビューをお届けする。

映画を作るきっかけ

大野さん
「岐阜は初めてですか?」

利重さん
「岐阜は何度か。役者をやっていますと色んな所に行きます。でも岐阜羽島駅で降りたのは2回目です」

大野さん
「映画を撮ろうと思ったきっかけは何だったんですか?」

利重さん
「生まれも育ちも横浜だったんですが、中学の頃に突然伊豆の何もない所に引っ越すことになって。映画が観られなくなって映画好きだったことに気がついたんです。そこで沼津の映画館まで1日かけて行って3本ぐらい映画を観に行くという生活をしました。それぐらい映画が大好きだったんですけどある日観た3本ともがつまらない日があってすごく腹が立って。『俺がどんな思いをしてここまで映画を観にきているのか知ってるのか。こんなんだったら俺の方がうまく映画作れるわ!』と思ったときに初めて『あ、映画を作る人もいるんだ。もしかしたら作るっていう手もあるかも』と思ったのがきっかけです。8ミリフィルムで映画が撮れる時代だったので映画の撮れるクラブのある高校に行こうと思って東京に出ました。映画を作ってみたら本当に難しくて」

利重剛監督

利重剛監督

 

大野さん
「岡本喜八監督と利重さんはご縁があったわけですが、岡本喜八監督との出会いを教えてください」

利重さん
「岡本喜八監督に弟子入りさせてもらっていました。きっかけは高校時代に作った『教訓Ⅰ』という作品がぴあフィルムフェスティバル(PFF)で上映してもらえることになった時でした。この作品は高校の中に徴兵制があるという設定の作品で。岡本喜八監督が好きで是非自分の作品を観に来てくださいと熱いファンレターを出したところ岡本監督は本当に観に行ってくださったらしく後から電話がかかってきたんです。「岡本です」って。それでは誰か僕はわからなくて「岡本喜八です」って言われてビックリしたわけです。「面白かったから一度遊びに来ないか?」と誘っていただいて撮影現場に行きました。監督と話しているうちに「映画監督になりたいの?役者もやっているみたいだけど」と聞かれて。「いや映画監督になるなんてそんなおこがましい。役者も人数が足りないからやっているだけです」と答えたんですね。監督は「役者もやった方がいいよ。もし役者で儲かったら自分のお金で映画が撮れる。有名人が映画を撮る、監督になる時代が来るから有名になっておけば映画を撮れるチャンスもあるかもしれない」と話してくださって。僕は一緒にやろうよと誘われて喜八組に入れていただくことになりました」

文字通りの『Life works』

大野さん
「今日は6作品の上映でしたがこの短編シリーズ『Life works』はどんな趣旨で作られたんでしょうか?」

利重さん
「今までで18本撮っている中の6本を観ていただきました。横浜には映画館がいくつかありましてその中のミニシアターのシネマリンさんとジャック&ベティさんと2館で一日一回上映予定の作品前に予告編と同じようにおまけで同時上映しています。毎月1作品という形で新作を上映するというプロジェクトで2014年からスタートしています。去年は製作をお休みしていましたが長く続けていこうと思っているプロジェクトです」

大野さん
「映画『Life works』を作ることで広がった繋がりはありますか」

利重さん
「横浜は観光地でもありますし、昔からずっとその土地に住んでいる方もいらっしゃいます。ものすごく面白い街なんです。その街を自分たちで再発見できる。それに映画好きな方が多くて「ここで撮影させていただいていいですか?」とお願いすると快くOKしてくださって映画を作ることで街の人とつながるということがとても大きいと思います。一番よかったのは横浜の地域でやっていたことに興味を持ってくださった方が自分の街でも映画を作りたいので教えてくださいと言ってここ1,2年は北海道をはじめいろんな場所で上映してもらえて、横浜を紹介できるし、これだったら作れそうだなと思っていただけたということですね。夢は横浜で映画を作り続けることもそうですが、それだけでなく皆さんが自分の街で映画を作ってその作品をお互いが交換し合ったら全国の映画館がおまけ映画で埋め尽くされる。それで横浜行きたいなとか各務原行きたいなとか思ってくれる方が出てくるんじゃないかなっていう夢を持てたというのが僕にとっては大きかったですね」

映画を作るのは大変なことか

大野さん
「今僕らは誰にでも、僕らでも映画を作れると思って各務原市で映画を作ることをワークショップ形式で始めているんです。利重さんも誰にでも映画は作れると思われますか?」

大野達也監督

大野達也監督

 

利重さん
「全くそう思います。作るのは難しいですし、面倒くさいですけど作れるかということで言えば絶対に作れます。長編は作るのもそれを上映するのも難しいですが、短編は観てくださってわかったと思うんですが、自分だったり、自分と友達であったり何かしら生きている人はみんな主人公で、それぞれドラマを持っているものですから10分ぐらいのエピソードは作れるはずなんですよ。ですから気負わずに自分の撮りたいものを自由に作るということにつけては面白い映画は誰にでも作れると思います。お金をこうやって集めてとか、上映してお金を回収してとかそんなことは考えないでただ映画を作るということは僕は出来ると思っているし、実際高校生でiPhoneで撮って編集してYouTubeにあげている人たちもいるんです。iPhoneで撮ってもちゃんと音を入れてMixすれば大きいスクリーンでも上映できるレベルになるのでそういう意味では誰にでも作れると思っていますね。それはどこの街でも出来るはずなんですけど、日本って悲しいかななぜかまちおこし映画をつくると大抵面白くないんですよね。色々な人の思惑が入って、余分なものまで入れてしまうからなんですが、純粋にこれが好きだから映画にしたいということがあると思うんです。変なしがらみを取りはらえばいい映画は誰にでも出来ると思います。だから大野さんが全国まち起こし映画祭を企画しようと思っていると聞いて嬉しかったです。世界中、日本中の作品を集めてぜひやってほしいですね。そこからまた生まれるものもあると思いますし」

大野さん
「こういうまちおこし映画だったら注目を浴びるとかありますか?」

利重さん
「続けていくことでしょうね。映画は暗い中で同じ方向を向いて観ていないといけないので音楽のように一体化するという点ではなかなか難しいこともあります。でも映画にはその時にしかない映像が撮れているんですね。『Life works』を撮り始めた時にはあった風景が今ではなかったりするんです。街もひとつの主人公なのでその時のその街、その時の文化が映っていて30年ぐらい経つとびっくりするんです。昔の映画を観ると、今と風景が違うし、びっくりするじゃないですか。それが残っているんです。ずっと各務原市で作る、可児市で作るということを繰り返して10作ほど作ればものすごい文化遺産なんです。いつまででも観てもらえるものになる。すぐ効果が出なくてもいい、面白い、もっと観たいと思ってもらえればすごい財産になるのではないかと思います。横浜では昔『神奈川ニュース』という神奈川のお祭りや公園の催し物をお知らせする映像が映画館で流れていたんです。全然面白くもないのに上映前に流れるので観ていたんですが、今思うとものすごい映像遺産なんですよ。今日観させていただいた『光射す』も今の時代を映している映画だと思うんです。10年、20年経ったら「引きこもりが問題になっていた時代がそういえばあったね」とか違う観点で改めて観てくれる方がいる。映画は時が経てば経つほど価値が上がるものだと思ってます」

『Life works』のこれから

大野さん
「『Life works』は今度は第3期目ですがどんな予定なのでしょうか?」

利重さん
「またこの夏から新作を6作品撮る予定でいます。来年の1月ぐらいから上映を始めたいと思っています」

大野さん
「今回も監督をされる予定ですか?」

利重さん
「中村高寛くんとプロデュースを一緒にやっているんですが、1作だけ監督をして後はプロデューサーに回りたいと思います。いろんな人に広げていけたらと思っているのでいろんな監督が切り取る横浜を観てみたくていろんな所に声をかけて今打ち合わせをしているところです」
上映後、利重監督にさらにインタビュー。『Life works』は様々な横浜の人の生活が詰まっている。利重監督は横浜の地でどんなアプローチで映画を製作しているのか。
Q.今日観た作品はどれも話のテイストが違って横浜の様々な場所が入っていたんですが、街を観てどういう時にこんな話が浮かぶんでしょうか?

利重さん
「そもそも散歩が好きなのが大きいですね。今日は上映していないんですが『雨の車内で』という作品があります。横浜では有名な日本大通りの端に車が停めてある中で昔の友達が話しているというだけの作品なんですが、フロントガラス越しに見える風景が映画みたいに見えるよね、歩いている人たちが登場人物みたいだねと話しているんです。僕にもそうやって見えることがあって家族連れがただ楽しそうに歩いているだけなのにジーンと来る時があってその人たちのストーリーがパッと浮かんだりするんです。みんながやっぱり主人公なんですよね。横浜が面白い場所だということもあります。海もあって里山もあって中華街もあって。とにかく横浜市の中にいっぱいあって混沌としている。どんな物語でも撮れるんですよ。散歩していると港町だから船員さんもいるじゃないですか。外国の船は何日泊っているんだろう?2日泊っていれば何か飲み屋に行って恋したりするのかな。そうすると別れの時はどうするのか、また会いに来るのかなとか映画にする前に色々想像して楽しんでいるところはありますね。結果として映画になっているというか。テーマがあるというよりはインスピレーションですね。街の中で面白い人を見つけるとこういう人を主役にして映画を作りたいなって思っちゃうんです」

利重剛監督インタビュー

Q.音楽も非常に効果的に作品に入っていました。映画の中の音楽をどのように捉えていらっしゃいますか?またどんな音楽がいいとか要望も出されるんでしょうか?

利重さん
「今日上映していない作品の中にはセリフなし、全くのサイレントでピアノを清塚信也さんに弾いていただいているものもあります。音楽は好きですね。妻がミュージシャンなので何作も作ってくれていて。話しやすいんですよね。「こうやって。ああやって」と。映像に合わせてぴったりと作る感じというよりも目を瞑ってイメージだけで作ってもらった方があとで合わせた時すごくよかったりとか。音楽はすごく好きなんですけど、日本には音楽を生かした映画は少ないかなと思っているので頑張ってはいます。1作目の『お前とおれ』はjazzで行こうと決めていたんですね。撮影場所は中華街のバーなんですけど横浜の中華街って元々バーが多いんですね。歴史を遡ると船員さんが多いのであの一画はバーだったんですが、華僑が入ってきて南京街になり、中華街になったんですが今でもバーはたくさんある。その文化を撮りたくて。そうしたらやっぱりjazzなんですよ。あの店も船の中みたいに暗くてインテリアも船の中みたいなんです。船を降りた船員さんはそれが落ち着くらしいんですけど。そんなバーも含めた街なんですよ。外に出れば中華街なんですけど。船員さんたちはそこに楽器を持ってきていて飛び込みでサックスを吹いて帰っていったそうで、そんなこともあってjazzが根付いたのはそういう文化があったからみたいでそこも含めて横浜。中華街だけどバーでjazzだなと。地元の人は作品を観ればどこの通りにある店なのかわかってしまうんですけどね。『泣き女』は脚本家なのに趣味で音楽を作っている友人がいて、いくらでも使っていいというので使ってますし」

Q.映画は日常でもあり、特別体験の場でもあると思いますが観る側にどんな風に楽しんでもらいたいと思いますか。

利重さん
「とにかく一生懸命作るしかないんですけど、なんでもいいから心が動く素材に作品がなっていればいいと思っています。こういう風に感じて観てほしいと思っても大抵そういう風には感じてもらえない。100人いれば100本の映画が出来るんです。
全く観て感じていることが違うんです。何か伝えたいというより、自分が一生懸命作ることで何か感じてもらえればそれでいいと思っています。皆さん、映画を観ながら色んなことを感じてスクリーンとお話したり、自分と会話したりするんです。旅行でもそうですよね、風景を観ながら帰ったら自分はこうしようとか。自分のことを考えているんですよね。映画もそれでいいと思うんです。たまたまそこで映画を観てその世界に完全に入ってしまうこともありますけど観ながら他のことを考えたり、自分のことを考えたり。それでいいんだと思うんですよね」

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映画には夢もあり、もう一つの日常がある。

自分が生きている街で映画が撮影されることが日常になる日も岐阜ではそんなに遠くはない気がしてきた。

 

 

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