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【岐阜推し】映画『先生、私の隣に座っていただけませんか?』堀江貴大監督インタビュー
2021/08/26
漫画家夫婦、5年目の危機。
妻の新作のテーマは不倫。しかもどう読んでも自分たちのことを描いているようにしか見えない。
夫は自分の不倫と妻の不倫の両方が描かれた漫画に翻弄されていく。
妻の真意はどこにあるのか。
9月10日より公開の『先生、私の隣に座っていただけませんか?』は岐阜県岐阜市出身の堀江貴大監督がメガホンをとった。
黒木華、柄本佑、金子大地、奈緒、風吹ジュン。この5人のキャストをメインに会話劇と漫画とがリンクして描かれた作品は堀江監督が脚本も書いている。
TSUTAYA CREATORS’PROGRAM FILM 2018の準グランプリに輝いた作品が満を持して映画化となった。
岐阜市出身というところにとても親近感が湧いた岐阜市出身の筆者がお話を伺った。
堀江貴大監督プロフィール
1988年生まれ、岐阜県出身。
東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻監督領域修了。ndjc2015に参加し、短編映画『はなくじらちち』(2016)を監督。初の長編映画『いたくてもいたくても』(2015)は、第16回TAMA NEW WAVEコンペティションにてグランプリ、ベスト男優賞、ベスト女優賞を受賞。2018年、『ANIMAを撃て!』で商業長編デビューを果たす。映像クリエイターと作品企画の発掘プログラム「TSUTAYA CREATORS' PROGRAM FILM 2018」で準グランプリ受賞作品に輝いた『先生、私の隣に座っていただけませんか?』が劇場公開を迎える。
Q.夫婦の会話劇がたまりません。
堀江監督
「限定的な空間で物語を進めたいなと思っていまして。家と教習所と車の中の往復だけで作品を作りました」
Q.教習所を舞台にするというのがなかなか斬新ですね。
堀江監督
「始めはロードムービーがやりたいと思っていたんです。どういうロードムービーがいいだろうと考えていたら教習車で駆け落ちするというのはどうかと。教習中に戻ってこない。教習車で不倫した男女が駆け落ちするという構想が自分の中にありまして。教習所というよりは教習車が出てくる作品を作りたいと思っていたんです」
Q.教習所に行っておもいついたということではないんですね。
堀江監督
「教習所で思いついたというわけではないです。元々映画の中で車の中を描きたがるところが僕にはあるんです」
Q.教習所と漫画家をくっつけるというのはTSUTAYA CREATORS’PROGRAM FILM用に考えたものなんですか?
堀江監督
「そうですね、それがきっかけになっています。教習車の話を撮りたいという構想は元々ありましたが、それだけでは弱くて、自分が描きたい作品にならないと考えまして。駆け落ちをもし描くのであれば、駆け落ちする前の夫婦を軸に描こうと考えまして。というのもこの企画を考えたのが僕が結婚してすぐだったということもあるんです。自分が書いていく中で自分が実感できるものを入れたいなと思いまして夫婦を軸に描いていきました。不倫に関しては全く実感はありません(笑)。不倫をストレートに描くということには僕は全く興味がなくて一歩引いた目線で描くことでコミカルな部分とかあんまりドロドロしていない不倫映画を作りたいと考える中で、不倫漫画の話にしようと変わっていったんです。不倫漫画を題材にしていこうとなった時に、不倫ものと言われるものをたくさん見たりとか、不倫漫画自体を読んだりして、「こういうこともあるよな」と考えながら、リサーチしながらこの映画の中で描く不倫漫画はどういうものにしようかと考えました」
Q.ではその時の脚本からはあまり変えていないんですね。
堀江監督
「ほぼ、TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILMに出したものと変わっていません。作品を選んでいただいた時に脚本の面白さを評価していただきまして、撮影に向けて脚本の直しはしていますが、基本的には展開、キャラクターは出来上がっていました。タイトルも変わっていませんし、メインの登場人物もこの5人だけなので。漫画の第1話、第2話、第3話と進めていく中で黒木華さん演じる佐和子と金子大地さん演じる新谷の関係性をどう発展させていくかという塩梅は脚本を直す上で探っていったんですが、基本的には変わっていません」
Q.撮影はいつ行われたんでしょうか?
堀江監督
「撮影は2020年の8月から9月にかけてです。真夏のコロナ禍での撮影でした」
Q.てっきりコロナ禍に合わせて少人数での作品に変更したのかと思っていました。
堀江監督
「それは全くなくて。昨年の8月頃って今以上に撮影しづらい状況ではあったんですが、人数も少ないですし、へき地での撮影という企画だったので撮影出来たのかもしれません。始めから場所も人数も少なく作品を撮りたいという企画だったのでそのねらいのおかげかもしれません」
Q.非常に意味深なタイトルですが、タイトルもその時に考えられたものなんですか?結構タイトルが長いと公開時に変わったりもしますが。
堀江監督
「書き終えてからタイトルをどうしようかと考えて、この漫画のタイトルを映画のタイトルにしようと。僕もタイトルが長いので扱いづらいだろうな、公開時は変わってしまうのかなと思ったんですが、「タイトルどうしますか?」と僕が聞いたら、「頂けませんか?」が硬い印象なのでひらがなで「いただけませんか?」にしようかと。それだとまたさらにタイトル長くなりますけどいいんですか(笑)となりましたが、『先生、私の隣に座って頂けませんか?』が『先生、私の隣に座っていただけませんか?』になったんです。それには僕も賛成でした」
Q.すばらしいキャスティングですが、これは前から考えていたものですか?
堀江監督
「2018年に企画を出したときはまだキャスティングの構想はありませんでした。その時は誰かをイメージして書くということはなく、撮影するとなった時にプロデューサーの皆さんと誰がいいかを考えました。佐和子と俊夫のバランスが一番大事だったので、佐和子には黒木華さんがいいとなった後に俊夫は柄本佑さんがいいんじゃないかと考えてオファーしました」
Q.奈緒さん演じる編集担当の千佳がなかなか面白いキャラクターですね?
堀江監督
「あっけらかんとしている感じで不倫していることに後ろめたさがない人にしたくて。漫画愛ゆえの、漫画が面白くなるなら全然いいんじゃないですかという突き抜けた論理で不倫をするというキャラクターは痛快なんじゃないか、そこに奈緒さんが持っていらっしゃるご自身の明るさとか爽やかな感じがはまって奈緒さんが演じたら相当面白いんじゃないかと考えてお願いしました」

Q.黒木さん、柄本さんに監督からこう演じて欲しいとお願いしたことは?
堀江監督
「撮影前にこういう風にしたいというお話をしました。黒木さんにはこの映画の中には漫画の中にいる佐和子と現実の佐和子という2人のキャラクターがいてそこに微妙な差をつけたいというお話をしました。普段の佐和子はそんなに感情を表に出さないというか、何を考えているかちょっとわかりづらい部分があるけど、漫画の中の佐和子は割と感情が豊かで喜んだときは笑顔もちゃんと出るキャラクターにすると俊夫が漫画を読んで嫉妬できるので、普段の佐和子よりも漫画の佐和子の時は感情表現が豊かな人になってほしいとお話したら、黒木さんはそれを見事に表現してくださいました。柄本さんに関しては、映画の中で話が進むにつれて滑稽になってほしいという話をしました。苦しめば苦しむほど愛せるキャラクターになっていくというか、人間らしさというのがにじみ出てくる。脇の甘さとか、もうダメだというどうしようもなさが愛すべきキャラクターになればいいなと思って。柄本さんは全身で色々表現してくださって」
Q.柄本さんの汗の量が漫画と交差する作品の中で非常に漫画的な量で(笑)
堀江監督
「(笑)。撮影は夏でエアコンも止めますし、無茶苦茶暑かったんです。汗はキャストもスタッフも全員止まらなかったんですけど、柄本さんにはびしょびしょに水をかけていました。痒いだろうなとは思うんですけど顔に水を吹きかけて汗を足していました。こんなに瞬間的にたくさん汗をかかないだろうと思われるほどの汗をかかせようとやっていましたね」
Q.漫画とリンクするシーンが非常に多かったですが、撮影時はカメラマンの方たちとカット割りなども話し合って作られていますか?
堀江監督
「今このシーンで読んでいる漫画はこのあたり、とキャストやスタッフに説明するのがすごく複雑だったので、俊夫が漫画を読んでいる部分や、漫画のシーンを撮影している部分については全部事前にコンテ(カット割り)を作ってみなさんに共有しました。ここのカットの後にこれが入りますというのをみんなが理解して進めないと僕も混乱すると思ったので。「今はこの漫画を読んでいるあたり」と説明しながら進めたんですが、柄本さんはそこをうまくコントロールして演じてくださっています。漫画の撮り方って本当に難しいなと思って。漫画は読む人が好きなように視線を動かして読むことが出来る。それが良さだと思うんですが、それを映画で描こうとするとカメラの動きで映画を観る人の漫画を読む視点を誘導しないといけないんですね。そのカメラワークを考慮しながら撮影をしないといけないので、漫画のコマ割りを映画のカット割りに起こすというのは相当難しいんだなと思いながら、ここは1カットで行こうとか、割って見せようとか、カメラマンの平野と撮影プランを立てていきました」
Q.俊夫と千佳のキスシーンが少女漫画的にキラキラしていました。
堀江監督
「あれは生々しいというよりはちょっとばかばかしいぐらい仰々しくしたかったんです。あのキスシーンは俊夫の脳内の妄想と佐和子が現実に見ていた部分の二人の視点が重なる瞬間です。このキラキラは誰目線でのキラキラなのかを曖昧にさせたかったという狙いもありました」
Q.劇中に漫画が映りこんでいますが、監督が好きな漫画はありますか?
堀江監督
「今回劇中の漫画を描いてくださった鳥飼茜さんが今連載している「サターンリターン」(小学館・週刊ビックコミックスピリッツ連載)は大好きで、それもあって今回お願いして書いていただいています。あとは野村宋宏さんの「うきわ」も好きです。それも不倫ものなんですが。他の色々な作品も好きで読んでいます」
Q.監督から岐阜の方にこの映画をお勧めしてください!
堀江監督
「不倫ものというとドロドロしたイメージがありますが、柄本さん演じる俊夫をはじめとしてユーモアのある爽快な不倫映画になっています。身構えずに、カップルでも夫婦でも観られる不倫映画を作りたいと思って作りました。ぜひ観ていただきたいです」

堀江貴大監督
映画『先生、私の隣に座っていただけませんか?」https://www.phantom-film.com/watatona/ は9月10日(金)より、新宿ピカデリー他で全国公開。
東海3県ではミッドランドスクエアシネマ、ユナイテッド・シネマ豊橋18、TOHOシネマズ(木曽川、モレラ岐阜)、MOVIX三好、イオンシネマ津南にて公開
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