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映画『みんな生きている ~二つ目の誕生日~』名古屋公開記念舞台挨拶レポート

映画『みんな生きている ~二つ目の誕生日~』の公開記念舞台挨拶が2月12日名演小劇場で開催された。自身の白血病闘病経験を元に企画から関わり、自身で主人公・桧山大介役を演じた樋口大悟さん、母・芳江役の武藤令子さんが登壇。その様子をお届けする。

樋口大悟さん(以下 樋口さん)
「皆さんこんにちは。本作の企画原案主演を務めました樋口大悟と申します。本日は短い時間ですが、よろしくお願いいたします」

武藤令子さん(以下 武藤さん)
「大介の母親、樋山芳江をやらせていただきました武藤令子と申します。連休の日にありがとうございます。短い時間ですがよろしくお願いいたします」

左:武藤玲子さん 右:樋口大悟さん

左:武藤令子さん 右:樋口大悟さん

樋口さん
「僕の方からこの映画について少し話したいと思います。僕が25歳のときに急性骨髄性白血病と診断されまして、僕はそれまでめちゃめちゃわんぱくで体育の先生になろうと思っていて、風邪すらひいたことがなくて。俳優を目指し始めたのが24歳ぐらいでそれまでずっと空手をやっていたので、本作と同じようにアクション俳優になろうと思って、アクションクラブに通い始めて1年ぐらい経った時に急性骨髄性白血病と診断されました。すぐ親を呼んで入院ということになって一度は良くなったんですが、その後またすぐ再発しまして、結局最後は骨髄移植しか助かる方法はないとお医者さんに伝えられました。ドナーさんがすぐに見つかったんですが、まだ進行がそんなに早くなくて、骨髄移植も当時はドナーさんが見つかって移植したとしても半分ぐらいは命を落としてしまう治療法だったので、移植すれば、それこそ本当に2ヶ月後に自分がこの世から消えてしまうかもしれない。でも移植をしなければ2年ぐらいはとりあえず生きられるというその2つの選択を天秤ではかるような状態で3年ぐらい過ごしていました。当時は本当に1ヶ月に1度病院に通って、真っ白な手帳が真っ白で、大丈夫ですよって言われてから手帳に予定を書き始める。3年続けて30歳のとき。ガクッと数値が落ちて、移植するなら今しかないというそのときに幸いにも2人ぐらいドナーさんがいらっしゃったので、最後はOKしてくださって、移植して僕はこうして生きています。見た目は男なんですが、僕、関西在住の女性から骨髄をいただいたので、女性の血で生きております。中身は女性ですね」

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武藤さん
「髪質が変わったんですよね」

樋口さん
「すごく柔らかくなって。サラサラになりました」

武藤さん
「性格は変わりましたか?」

樋口さん
「性格は変わらないですね(笑)。でも綺麗な女性を見ると嫉妬するようになって。医学的根拠はないんですけど、DNAなんですかね。多分体がびっくりしたんでしょうね。もちろんドナーさんが嫉妬深かったとかそういうことではなくて、女性の方の血が入ってきた分、元々体は男性なのでびっくりしたんでしょうね。綺麗な女性を見たら嫉妬したって先生に話したんですけど医学的な根拠はありませんと言われて、いや僕の体が感じちゃったので(笑)。そんなこともありましたが、骨髄移植をしてその方の血液のおかげで15年ほど生かせていただいています。そんな思い、感謝の気持ちが年をとるほど大きくなってきて、僕が生きているうちに伝えたいと思ってこの映画を作りました。構想から5年ほどかかってやっと今日皆さんに観ていただけてとても今嬉しく思います。コロナ禍での撮影で、結構大変いろいろ大変でした。僕の故郷の新潟県糸魚川市で撮ったんですけど、東京で撮れない部分を新潟の室内で撮ったりしています。今日は母親役の武藤玲子さんに来ていただいているので、二人で撮影の時の話や親子の関係とか話していきたいと思います」

武藤さん
「最初にお話をいただいたときに、樋口さんと親子ほどは年齢も離れていませんし、私自身大丈夫なんだろうか。まず親に見えるんだろうかということを考えました。私は子供もいませんし、どこまでその気持ちに寄り添えるかなとすごく不安でした。樋口さんのお母様と一度お話させていただいたんですね。そのときにいろんなお話を聞かせていただいて。樋口さんの実際のお母様は看護師さんで、1回転院もされたりしていて、気丈にされているんですよ。看護師さんだから普通のお母さんとは多分またちょっと違う捉え方をされているんですけれども、それでもやはり映画にもありましたけど自分のせいなんじゃないかとか、自分が代わってやりたいと思っていらっしゃったりとか。そういう話を伺ったり、橋本さんという骨髄バンクの方からもお話を伺って、親というのはみんな同じなんだ、家族に対してって同じなんだなというのはすごく思いました。それと実話に基づいているけど違う人間だということでどこか割り切って樋山芳江という役をやることができたかなと」

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樋口さん
「僕自身も僕をベースにはしているんですが僕ではないので。病気の僕は現在も死の恐怖を体が覚えちゃっているんです。病気の告知のされ方とかも実際とは違いますし、「白血病です」と言われたときに、うわーってなる。僕自身はバーって一気になっちゃうんです。でも大介はそんなのが信じられないはずだから、そういうところの恐怖を抜き去る作業というか、その辺が僕は実は苦労したんです」

武藤さん
「こういうお話とは他にも見たこともありますし、最初台本を読んだときにこの患者さんのリアクションだったりというのを想像していたんです。でも本人じゃないですか、そういう当時の話をすると、もうその段階でもう涙があふれてくるという、もう10年経ってもやはりそのときの感覚が蘇ってくるのを見て、なんか私ももう本人にしか見えないというか、それはやっていく中でもすごく助けられたというか、ここに本人がいるんだという。もう本当に助かってほしいという気持ちになりましたし、ドナーの方も本当に大変だということを今回私も初めてちゃんと知ったんです」

樋口さん
「僕自身も患者側なので、ドナーさんサイドを見ることはないわけですよ。本当に自分が元気になって5年ぐらいまではもう自分のことで本当に精一杯でドナーさんにはもちろん感謝はしているけども、でもあまり想像もできないし、この映画を作るにあたって本当に構想から5年ぐらいかかって。僕の頭の中でもう10年ぐらい、なんとなくずっとあったものでした。それをこの映画を撮ることによって、ドナーサイドを松本若菜さんや岡田浩暉さんが演じているのを僕は一緒のシーンはないんですけど、ずっと撮影現場にいたので、見ている中でこうやって決めてくれたんだなって。一例ではありますが、よく聞く話で、こうやって決めてくれたんだなと思うとこの映画を作って、本当にその中でより感謝が生まれてきて」

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武藤さん
「すごいことですよね。善意というか良心というか」

樋口さん
「この映画を作ってより一層感謝の気持ちが増えていきました」

武藤さん
「私が撮影する前に樋口くんが実際闘病しているときの映像をいろいろ見せていただいたんです。すごい意外だったのが、骨髄移植しているときの病室の雰囲気がイメージだとすごく緊迫感があって、誰も人も入れない状態でという感じなのかなと思っていたんです」

樋口さん
「そうですね、あのあとめちゃめちゃガツッと落ちて大変だったんです。移植したときは免疫力を全部落とすんです。もう本当に、この辺の常在菌を触っただけで下手をすれば命を落としてしまうという時間が3週間ぐらい続いたので、その時は本当に毎日明日目が覚めればいいなと思って過ごしていました。僕は動画撮っていたんですけど、先生に動画撮ってる人は初めて見たと言われました(笑)」

武藤さん
「お友達もね、映画でも友達役をやっている」

樋口さん
「鈴木周哉です。修二という音楽も担当している彼は本当に僕の友達で、ミュージシャンで15年前に実際の僕の闘病生活を見ていて今回が初演技だったんですけど、実際出てもらって歌と音楽をやってもらったんですけど、劇中で出てくる「僕は飛行機」という曲は僕が15年前に病室からベッドで寝ながら窓越しに見ていた空。曇り空に飛ぶ飛行機が自分と重なって当時Yahooブログに名前を伏せてニックネームで乗せていた詩を彼が見つけてCDにして持ってきてくれたんです。それが15年後にまさか映画の中でかかるなんて思っていなかったです」

樋口さん
「武藤さんの印象に残っているシーンはありますか?」

武藤さん
「やっぱり電話のシーンだと思うんですけど、実際骨髄バンクの橋本さんと話をしている時のシーンというのはその立場の人というのがどれだけの思いなんだろうというのを自分の中でも自分が一番本当に大事なものとか大切なものを失う時というのはどうなんだろうと結構自分の中で苦しんで追い込んでいたのですごく印象に残っています。それともう1個。撮影の丸刈りのところのシーンを最後に撮ったんですよ。断髪式みたいな感じでみんなで今から丸刈りにするぞと言って丸刈りになったんですね。そうしたら監督が、「俺も丸刈りにする」って言って丸刈りにされまして、坊主2人になったわけですね。ラストシーンを撮った時に感極まって「監督ありがとうございました!」って2人で抱き合っているその坊主2人の姿がなんかすごく面白くて泣きながら坊主であれがすごく残っています」

樋口さん
「最初から監督と二人三脚でクラウドファンディングをさせてもらって、そこから始まった映画で、キャストの皆さんも増えていったんですけども、その思いがやっぱりあるのでクランクアップした瞬間に監督の所にぶわっと走っていったんです。受付にパンフレットがあるのでぜひその中に載っております。見ていただくと「このシーンか!」というのがわかっていただけると思うんです」

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武藤さん
「監督が「俺も丸刈りにする!」と言った時、別に監督はしなくてもいいじゃないですかといいつつ、あれもちょっと面白かったですね、みんなで動画を撮って」

樋口さん
「その後もよく監督と2人で新宿で打ち合わせとか多かったので、丸坊主2人でよくいましたね(笑)」

武藤さん
「しかも2人ともそんなに人相があんまりよくないのにやっているというのがまたちょっと面白い。それと空手の子どもたちですね」

樋口さん
「空手の子供たちは実際、子役ではなくて実際に僕が空手を教えている子供だったりとか、各地の道場から集めた子たちで。子どもたちってすごいなと思って。大人はカメラがあると意識するんですけど、彼らは一生懸命頑張ってやってるだけだから。愛おしぁったですね」

武藤さん
「練習をすごく一生懸命撮影までにやって」

樋口さん
「この映画は夏、2021年7月7日に願いが叶いますようにとクランクインして3週間ほどで撮ったんですよ。夏と梅真っ盛りで暑い中、東京は梅雨は明けてましたね。新潟は梅雨だったんです。そんな中で撮影しました」

武藤さん
「まりあ役のりーねちゃんが樋口さんの大ファンになってしまって」

樋口さん
「そうです。子役の女の子がオーディションですごく気に入ってくれて。まだこの間久しぶりに舞台挨拶で1年半ぶりぐらいに会ったんですけど、まだ好きって言ってくれていたので良かったなと思って。ちょっと来年ぐらいはもう1年生、2年生ぐらいなので、当時大悟兄ちゃんが一番好き。僕ちょっとテンション上がって喜んでいて、よく聞いたら0番がいた。「0番がおるんかい!」って(笑)。同級生にいるみたいで。映画のそのままのかわいい感じで言ってましたね」

武藤さん
「やはり私自身もこの作品に携わったことで、ドナーさんのことだったりとか骨髄バンクのことを考えたりとか、あと誰かのおかげで生きているんだという、今があるとすごく考えさせられるいい機会になりました。観ていただかなければやっぱり知っていただけない、ドナーさんも今また減ってきたりしているそうなので、少しでも本当に多くの方に観ていただけますよう願っています。本日は本当にありがとうございました」

樋口さん
「本日はありがとうございました。この作品の根底にある思いはこの映画が一つでも多くの命につながるきっかけになったりですとか、今この瞬間も苦しんでいる方もたくさんいらっしゃいますが、その方のご家族だったり、ご本人は今は観れないかもしれないですけど、社会復帰が見えてきたときに、観ていただいて少しでも勇気を持ってもらえたら嬉しいなと思ってこの映画を作りましたし、僕自身がこうして元気にさせてもらっているので、希望を持ってもらえるかなと考えて企画と原案と主演をさせていただきました。僕のドナーさんは関西在住でどこかにいらっしゃるんですけど、どこかで観てもらえたら嬉しいなと思っています。今日観ていただいた皆さんの心のどこかに勇気とか希望とか明るい気持ちを持っていただいて、ホッととなって帰っていただければ幸いだと思います。本当にありがとうございました」

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映画『みんな生きている ~二つ目の誕生日~』https://www.min-iki.com/ は現在全国順次公開中。
名演小劇場でも現在公開中。

名演小劇場 舞台挨拶情報

2月18日(土) 14:05の回 上映後
ゲスト:樋口大悟(企画・原案・主演)、榎本桜(出演・プロデューサー)、両沢和幸(脚本・監督)

2月19日(日) 14:05の回 上映後
ゲスト:榎本桜(出演・プロデューサー)

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