映画『平行と垂直』ミッドランドスクエアシネマ トークイベント付き特別試写会 レポート
2026年7月30日、映画『平行と垂直』の上映後トークイベントが開催された。
映画『平行と垂直』あらすじ
兄と妹は、まるで“平行”と“垂直”。交わらないようで、確かに支え合って立っている―。『平行と垂直』は、清掃の仕事に就き、周囲のサポートを受けながら自立した生活を送る自閉スペクトラム症(ASD)の兄・大貴(安田章大)と、カウンセラーとして働きつつ、兄を支えることを当たり前としてきた妹・希(のん)の生活を描く。変わらないと思っていた日常は、希の結婚話をきっかけに静かに揺れ始める。支えてきたつもりの妹、支えられていると思っていた兄。ふたりは初めて、お互いの存在がどれほど自分を形づくってきたのかに気づいていく。結婚を控え、人生の節目にそっと触れ合いながら、自分たちの“これから”を見つめ直す物語
本作は安田章大が山野海の脚本に感銘を受け、佐藤現プロデューサーへ映画化を提案したことで始動した。企画に賛同した小林聖太郎監督とASD専門家監修のもと制作された。安田はASDの当事者や施設と交流を重ねて主人公・大貴を真摯に構築。妹・希役ののんも当事者家族への取材を通して役の背景に寄り添った。二人の丁寧なアプローチから作り出された芝居が、揺れる心情と「人を想うこと」の真実味を支え、観る者の胸にリアルに響く。
イベントには小林聖太郎監督に加え、司会進行として中京大学現代社会学部の辻井ゼミの皆さん(棚橋さん、松永さん、松下さん、細江さん)が登壇。冒頭、ゼミ生から令和8年熊本地震の被災者へのお見舞いと哀悼の意が捧げられた後、温かい拍手に包まれながらトークショーがスタートした。

『平行と垂直』の上映前試写会でのトーク経験はあるものの、「上映後のトークは今日が初めてで少し緊張している」と語る小林監督。学生や観客とのやり取りを通して、撮影秘話や作品への深い思いが明かされたイベントの模様をお届け。
撮影現場の舞台裏と「こだわり」―学生から小林監督への質問コーナー
まずは、中京大学の学生たちから小林監督への質問コーナーが設けられた。
Q. 撮影中に思わず涙が出そうになったシーンや、苦労した点はありましたか?
小林監督:
「自分の涙が出るシーンは……なかったですね(笑)。やっぱり仕事現場なので、胸にグッときても泣くことはないです。苦労したことも実はあまりなくて。準備を本当に丁寧に重ねたことや、ASD監修をしてくださった中京大学の辻井正次先生をはじめ、多くの方々にご協力いただいたおかげで、すごく順調で穏やかに撮影を進めることができました」

小林聖太郎監督
Q. 「この部分を特に丁寧に伝えたい」と意識された点は?
小林監督:
「それは『全部』ですね。この映画を通して、物事の見方が変わるような第一歩や、新しい気づきのチャンスになればいいなと思っています」
Q. 作品を通して、監督ご自身の中で新しい学びはありましたか?
小林監督:
「20年ほど前に『ニワトリはハダシだ』という映画で助監督を務めた際、ASD当事者の方とお話しする機会があり、自分なりに知っているつもりでいました。ですが今回改めて、『一言ではくくれないな』と実感しましたね。一人ひとりが違うという当たり前のことを、より深く学べた気がします」
Q. 大阪を舞台に選ばれた理由を教えてください。
小林監督:
「僕自身が大阪出身・育ちで、これまでも大阪舞台の作品をいくつか撮っているからお声がけいただいたのかなと思っています。また、原案・脚本の山野海さんが大阪を選ばれたのは、関西弁が持つ言葉の可笑しみや柔らかさ、そして人と人との距離の近さをイメージされたからではないかと推測しています」
Q. ASDの特性として「こだわり」がありますが、監督自身の“譲れないこだわり”は?
小林監督:
「『こだわらないようにしよう』と思っていること自体がこだわりかもしれませんが……横断歩道を渡るとき、白い部分を踏む足は「絶対に右足から」と決めているのはありますね(笑)」

キャスティングの裏話も。観客からの質疑応答
続いて、会場に集まった観客からの質問に小林監督が答えた。
Q. 主演の安田章大さん、のんさん、それぞれの印象的なシーンは?
小林監督:
「安田章大さんは、撮影初日に撮ったラスト近くのシーンで見せた大貴の笑顔がすごく良くて、印象に残っています。のんさんは、やっぱり最後の川のシーンですね」

©2026「平行と垂直」製作委員会
Q. 紗奈役(河野咲良さん)の選考理由や撮影時の印象は?
小林監督:
「オーディションで決めました。僕が演じた演技を動画で撮ってお渡しし、それを覚えてきてもらったんです。咲良ちゃんは当時6歳ですが、どうしてあんな風にお芝居ができるのか……本当にすごいですよね」

©2026「平行と垂直」製作委員会
会場全体で「○×クイズ」&ウルトラマン風ポーズで記念撮影!
質問コーナーの後は、主人公・大貴の行動からASDへの理解を深める「○×クイズコーナー」を実施。映画を観終えたばかりの観客たちの正答率は非常に高く、小林監督も「ちょっと問題が簡単すぎましたかね(笑)」と笑顔を見せていた。
イベントの締めくくりには、会場全体での記念撮影を敢行。映画のタイトル『平行と垂直』にちなみ、片腕を床と平行にし、もう一方の手を垂直に立てる「平行と垂直ポーズ(ウルトラマン風ポーズ)」を全員でとり、終始和やかな雰囲気のなか撮影が行われた。

中京大学辻井ゼミのみなさんと 中央右:ASD 監修 辻井正次教授 中央左:小林聖太郎監督
イベントの最後には、小林監督とゼミ生から温かいメッセージが送られた。
小林監督:
「今日観た感想を持ち帰っていただき、ご家族や知り合い、職場の方など、いろんな方に『観たほうがいいよ』と勧めていただけたらありがたいです。遅くまでお付き合いいただき、ありがとうございました」
中京大学辻井ゼミ生:「私たちは今回の活動を通し、『違いは誰にでもあるものであり、それを理解しようとすることの大切さ』を学びました。この映画が、誰かの見え方や感じ方に少し思いを巡らせるきっかけとなり、その景色が皆さんの日常につながれば嬉しく思います。本日は誠にありがとうございました」
人はみんな違う。こだわりもルールも違う。それでも家族は一緒に生きていく。お互いを理解し、支えあって生きていく。登場人物それぞれの人を想う気持ちが強く伝わる作品だ。
映画『平行と垂直』https://www.toei-video.co.jp/heikoutosuichoku/ は、8月28日(金)より全国公開。東海三県では8月28日(金)よりミッドランドスクエア シネマ、センチュリーシネマ、イオンシネマ(名古屋茶屋、豊田 KiTARA、東員)、ユナイテッド・シネマ(豊橋18、岡崎、稲沢、阿久比)、安城コロナシネマワールド、MOVIX三好、岐阜CINEX、10月2日(金)より伊勢進富座で公開。
『平行と垂直』
出演:安田章大 のん
伊島空 高山トモヒロ 谷村美月 福田転球 芦川誠 早織 久保田磨希
河野咲良 髙田幸季 武藤凪 林英世/神野三鈴 菅原大吉
監督:小林聖太郎 原案・脚本:山野海 音楽:富貴晴美
企画:安田章大 企画プロデュース:佐藤現
プロデューサー:樫﨑秀明 竹下新悟 撮影:大塚亮
照明:藤井勇 美術:須坂文昭 録音:西條博介
スクリプター:川野恵美
編集:宮島竜治 スタイリスト:山﨑忍
ヘアメイク:山井優 助監督:木川学
製作担当:土田守洋 キャスティング:伊藤尚哉
宣伝プロデューサー:丸山杏子
ASD 監修:辻井正次 伊庭葉子 浮貝明典
製作:「平行と垂直」製作委員会
特別協力:大阪府堺市
取材協力:さくらんぼ教室、NPO 法人アスペ・エルデの会、NPO 法人 PDD サポートセンターグリーンフォーレスト
後援:日本発達障害ネットワーク、日本自閉症協会
制作プロダクション:セントラル・アーツ
製作幹事・配給:東映ビデオ
©2026「平行と垂直」製作委員会
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