金沢の夜がアツい!ROJIURAシネマ鑑賞レポート(涼夏のこれが今ツボ⑤)
「ROJIURA CINEMA」を観に金沢に出かけた。
岐阜からは特急しらさぎで2時間半。
「ROJIURA CINEMA」は金沢出身・在住の俳優・星能豊氏が企画した短編上映企画だ。
地方で自主製作映画を観る機会は非常に少ない。
星能氏は様々な作品に出演し、今年の富士・湖畔の映画祭長編コンペ部門で主演俳優賞を受賞している。数々の現場や映画祭で知り合った監督との出会いがこの「ROJIURA CINEMA」という企画に結び付く。
当サイトCafe mirageが企画し、開催した「MIRAGE THEATRE」も地方で短編や自主製作映画を見る機会をと考え、始めた企画。
「ROJIURA CINEMA」はその先輩ともいえる企画だ。「MIRAGE THEATRE」の企画に賛同し、金沢から星能さんが観に来てくださったことが本当に嬉しかった。星能さんの企画する「ROJIURA CINEMA」をしっかりと観てみたいと9月からずっと思っていた。作品上映後には監督の舞台挨拶もあるという。観に行かないわけにはいかないと11月1日イオンシネマ金沢フォーラスに向かった。
4人の監督を迎えて6作品の上映と充実の2時間
オープニングを飾ったのは辻村健二監督の『シブヤから遠く離れて』。一日の始まりと終わりを見つめる一人の男が描く出鱈目なハードボイルド寓話と紹介された本作。様々な作品で活躍する芹沢興人さんがハードボイルドな男を演じる。
流れてくる韓国語のセリフと日本語の字幕が合っているかどうかを気にするか。芹沢興人さん演じる男の妙なハードボイルド感を気にするか。
それぞれによって楽しみ方が違うわずか6分の作品。
モノクロの作品ってなんでこんなに味わいがあるのかな…。
舞台挨拶では「韓国語は字幕と合っていない」と暴露していた辻村監督。思い込みで観てしまっているということを伝えたかったそう。なるほど。
辻村監督の作品はもう一つ。『片目の王様』は青木崇高さんを迎えた作品。ハンターvsハンターの戦い。ここにもハードボイルド感が。8ミリフィルムの渋さ、そして足の下から撮影する手法など、観ていてワクワクする。
この手法を舞台挨拶で辻村監督は鈴木清順監督の『殺しの烙印』なイメージで砂浜を掘ってアクリル板の下から撮影したと裏話を。こういう地道な作業も自主映画らしい。
エンドロールで、近藤龍人さんが照明で参加していたのを発見。終了後に辻村監督に『万引き家族』などの話題作を撮るカメラマンの近藤さんか確認したところ、そうだった。なんと貴重な。
『シブヤから遠く離れて』の後は東海林毅監督の『帰り道』。昭和十九年、徴兵検査の帰り道。伝えられない思いを胸に学生たちは歩く。聞いてはいたけれど徴兵検査のシーンを見ると、そこまでしていたのかと驚く。冒頭カメラがなめて入って来て捉える眼鏡太郎さんの表情が絶妙。切ない恋心。自分の気持ちに正直になっていいのか、でも・・・。そのもどかしさがなんだか痛いほどわかる話だった。
東海林監督の作品はもう一つ。『ホモソーシャルダンス』。好きな女子にアタックする男子を女子の周りに集う男子達が寄せ付けない。よくある学校での光景をソーシャルダンスで表すとこうなるのかと非常に新鮮だった。短編だからこそ出来る手法。東海林監督の作品は過去の作品もそうだが、音楽が非常にいい。作品の世界観を作り上げる上で音楽が不可欠なのはもちろんだが、そのチョイスがたまらない。この『ホモソーシャルダンス』では声楽家によるカルテット。映像と音の共鳴がたまらなかった。
金沢出身の東海林監督はLGBTをテーマに作品を作っている。「自主だから自分がやりたいテーマで作品を撮るというのが大前提」。だからいいんです。

左:小山亮太監督 中央:辻村健二監督 右:東海林毅監督
『國の狗』は小山亮太監督作品。町工場を営み平凡に生きている薬師丸ひろしとルールを完全無視して行動する警察官高田、その後輩矢代。この3人が交わった時、事態は思わぬ方向へ…。
今の時代を皮肉った作品だった。ユーチューバー、なんでも撮ってつぶやく、ひったくり、万引き。何が正しいのかわからない今、この時代を映している鏡として観るのが面白い。警官二人が出てくるバディものでやりたい放題なあたりは『あぶない刑事』方面なのだがそこまでかっこよくないところも人間らしくていい。ちょっとビビっていたり、いい加減だったり。でもどこかでごもっともなことも言っている警官たち。どうつながっているのかの想像をするのが面白い話だった。
私としては筧十蔵さんを久しぶりに拝見し、昔の現場を思い出した。カナザワ映画祭でも上映され、今回金沢では2回目の上映となる。からくり博物館も満喫した小山監督、次回作も映画祭上映に動いているという。
『宮田バスターズ(株)』は、今年様々な映画祭で話題になっている作品だ。坂田敦哉監督は20才。高校時代から映画を撮っているそう。だが、脚本、撮影、特殊効果まで自ら手掛けている引き出しのとても多い監督。伏線がしっかり回収されていくのは見事で、何より造形へのこだわりに唸る。車も電柱も原寸大で手作りとのこと。造形だけに目が行きがちだが、人物描写がしっかりされていて、観客は心を動かされる。インディーズらしさがとてもある作品でもあり、ニヤニヤしてしまう。『宮田バスターズ(株)』は長編を撮ることが決まっている。長編になることでどう坂田監督がブラッシュアップしてくるのか。期待しかない。

左:星能豊さん 右:坂田敦哉監督
この日、21世紀美術館でも別の上映会が開かれていて、インディーズ映画熱が金沢では広がっていると感じた。
映画祭とはいかないまでもこうやって短編を地方で上映するというのは面白いと思う。
監督が地方に来て、地方を知り、また作品に還元する日も来るかもしれない。そして映画を作る人たちの思いをもっとたくさんの人に知ってもらいたいと思う。
「ROJIURA CINEMA」星能氏の取り組みを見て、Cafe mirageでも短編映画企画は継続していかなければと改めて思った金沢の夜だった。

上映後にイオンシネマロビーにて
「ROJIURA CINEMA」上映作品
1.『シブヤから遠く離れて』(辻村健二監督)
2.『帰り道』(東海林毅監督)
3.『國の狗』(小山亮太監督)
4.『片目の王様』(辻村健二監督)
5.『宮田バスターズ(株)』(坂田敦哉監督)
6.『ホモソーシャルダンス』(東海林毅監督)
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